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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

超少数派だろうけど、自分がドラゴンボールで一番好きなのはこの場面(バトル)でした。

鳥山明の追悼、漫画史的な位置づけを語れる人は、山ほどいると思う。
そういうものを、基本的には「読む」側になって、あの巨人を追悼したいと思う。


だから、そういう論になる以前の、ごく素朴な個人的好みを描くね。

自分は超熱心な読者ではないけど、雑誌連載におけるドラゴンボールをおそらく完走したひとりだ。その自分が「ドラゴンボールで一番好きなところは?」と聞かれたら、本当にクリアに、すぐに答えられる。

この場面、このバトルが、大好きなのだ。六巻における忍者ムラサキとの対決。(ムラサキはレッドリボン軍の一員。名前が色だしね)

ドラゴンボールで一番好きな、悟空vsムラサキ


忍者ものでは、じつのところ「おなじみ」の見せ場である、畳をばーんと跳ね上げて盾代わりにする、というテクニック。ハットリくんも使ってた。

実のところ、そのお約束を大前提にしたパロディなのだ。
彼から奪った手裏剣を悟空が投げても、ムラサキはその「畳み返し」で手裏剣を防いで調子に乗る。どんどんやってく。
そして……

ドラゴンボールで一番好きな悟空vsムラサキ


畳の数が足りずに、頭に手裏剣ぐっさり。「やはり四畳半では…六畳一間にしておけばよかった」

手裏剣が刺さっても普通に生きてるギャグも含めて、完璧すぎるでしょ。これ、多分単行本で修正かかってて、セリフの「次では」は雑誌では「来週号では思い知らせてやるからな」という楽屋オチだったと記憶している。


この巻、6巻だけ持ってるんだから、間違いなくこの部分が一番自分は好きなのだ。


ただし、一般的にはこの路線は非常にウケず、打ち切り危機ですらあった、ということだ。

ドラゴンボールの「打ち切り危機」
 Q ドラゴンボールはずっと順調だったんですか?
 
 A いや、それが最初は良かったんだけど、順調じゃなかった。Dr.スランプの作家なので最初は色ページが付いていた。ところがそれがなくなってくると、じりじりと人気が落ちてくるわけです。このままじゃまずいなと。読者アンケートで10位くらいまで落ちて、このままだと連載打ち切りだと。
 彼と話をして、「主人公がやっぱりぱっとしない」「生きていないね」と。で「(主人公の)孫悟空ってどういうキャラクターなの?何をしたい奴なの?作品のテーマって何なの?」と徹底的にディスカッションした。ひと言でいうと「悟空は『強くなりたい』というキャラクタ―…(後略)


www.tokyo-np.co.jp

鳥嶋氏:
…実は『Dr.スランプ』の末期に鳥山さんが苦しまぎれに運動会で話数を稼いだら、それが大好評で『北斗の拳』を抜いて1位になったという事件があって、僕も「日本人は甲子園みたいなトーナメントが、やっぱり好きなんだな」とは思ってたのよ。
 
――でも、その鳥山さんの判断は大当たりで、以降の『ドラゴンボール』はトーナメントに引っ張られる形で看板作品に育っていきましたよね。
 
佐藤氏:
 その後、他のマンガもどんどんトーナメントを狙うようになっていったけど、鳥嶋さんはどう見ていたの?
 
鳥嶋氏:
 やるのは勝手だけど、二番煎じには新しさがないよね。
m-dojo.hatenadiary.com


そうなんだろうな。だいたい、上の話は、いくらニンジャ大好きの外国人だってついてけないだろうし(笑)。「タタミ」も四畳半と六畳一間のギャグも……。いくらなんでもハイコンテクストすぎるだろ。

でも、自分にとっての鳥山明って、こういうものだったんだよな。

あらためて、その自分にとっての鳥山明も、世界の人が愛したトリヤマ・アキラも偲びたい。

ありがとうございました

余談だが、「Dr.スランプの一番好きなシーン」も即答できる

ここ。

鳥山明vs桂正和

当時はラジオや雑誌の投稿欄でも、客観的には田舎には程遠いようなところに無理やり因縁をつけて「お前らんところはド田舎だ」「ダサイタマだ」とDisり合う遊びが流行ってて(翔んで埼玉もこの風潮の産物)、その類型を出ているわけでないけど…ただ「男らしくはっきりみとめたらどうだ!?」「わしはこんな次元のひくいあらそいはもうしたくないぞ!」という決めゴマと極め台詞は、いまでもまざまざと、そらんじられる。


やはり自分にとっての鳥山明は、そんなふうな作家であった。これもまた海外版で伝わるかね……