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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

ダニエル・スバーンが自伝を書いてて、赤裸々に「オブライトみたいなデブの引き立て役だなんて!」と怒りをぶちまけているらしい(柳澤健「2000年の桜庭和志」より)

柳澤健の「2000年の桜庭和志」は現在、雑誌 number で好評連載中だが 連載3回(957号)でなんとダニエル・スバーンの自伝というマニアックな資料を詳しく紹介している。そんでまあ、これが結構赤裸々なんだわ。

UWFインターナショナルは真実を覆い隠し、ファンを欺いていた。もしリアルファイトであったら私は間違いなく高田を倒していたはずだ 。
ゲーリー・オブライトは興味深い仕事仲間だった。トレーニングは対してやらなかったが、日本人がゲイリーの大きな体に魅了されていたために、さらに体重を上乗せしようとしていた。もちろん健康にいいはずがない。(略) 2000年、ゲーリーはリング上で心臓麻痺を起こしそのまま亡くなった、それでもゲイリーの不健康な習慣を非難することはできない。
(略)
ギャラはキャッシュで支払われるから、金額の多寡は封筒の厚さでわかる。私の封筒は薄くそよ風にも吹き飛ばされそうだったが、ゲイリーの封筒にはかなりの厚みがあり台風の前でも動きそうになかった。私はゲーリーよりも優れたアスリートだ。しかしゲイリーの大きな体は客を呼ぶとオフィスの人間は考えた。
レスラーの強さはリング上では簡単に偽装できる。だからオフィスがより体の大きなレスラーをプッシュするのも無理はなかった。
そのぶん私はゲーリーの引き立て役にされた。高田に捧げる生贄にされたばかりでなく、多くの試合で負け役を演じることを余儀なくされたのだ
(略)
もし私に養うべき家族も、毎月の住宅ローンもなければ、私が負け役を容認することは決してなかっただろう。
私の急所用サポーターさえ持ち上げられないデブ野郎に負けなくてはならないことは本当に腹立たしかった

いや面白い自伝もあるものだね、
ネット界でひねリンさんやPoetさん、tadさんらが自在に活躍した頃ならもっと頻繁に紹介されていたかもしれないな、これ(笑)

しかしまー、ちょっとぐらい聞いてたけれど、それでも紳士然とした振る舞いの中に、スバーンもこんな熱い、そしてやや暗い情熱と憤怒の炎を燃やしていたのだな(笑)

それはまあ実際のところそうだったんだろう。
ただ、オブライトの方もね、やはりこう言うシューターが自分の引き立て役、負け役になっていることを相当に配慮している節はあった。未だに鮮明に覚えているのは、「ガッツとガッツのくらべっこ」と題したオブライトのインタビューで(聴き手は斎藤文彦氏だったと思う)「スバーンは本当に実力者なんだが、優しすぎるので相手にとどめを刺せない。だから自分は、相手が自分の妻を殺して、娘をレイプした!と思って戦うんだとアドバイスした」と答えていたんだな。 自分はそれを選んで「ほう、スバーンはそんなに強者なのか」と素直に信じたんだけど(笑)、逆に スバーンから見たら、それが事実かフェイクかに関係なく、そんな言い方されることが不愉快だったかもしれないなあ。

ここで気になるのは、…実はブロディ本を 読んで思った話なんだけれども、大きな大きなテーマに収斂される。

「プロレスは勝者と敗者があらかじめ決まっている」
「だからといって勝敗はどうでもいいわけではない。レスラーはみんな、結果が決まっているからこそ強烈に勝ち役になりたがる」

という二つの大テーマがあり、その中でどうやって勝ち役に回っていくのかという大戦略が必要らしい、ということだ。

その複雑なゲームに勝ち上がるために頭を振り絞るなら、普通にガチンコの試合で勝っていく方がよっぽど楽なのかもしれない。てか藤田和之は、まさにそのように考えて、新日本プロレスを離脱しPRIDEなどの総合格闘技に身を投じたわけだから。

そんなことを考えさせられるダニエル・スバーンの回想だし、 結局のところ UWF インターの中で、桜庭和志はまさにスバーンのような役どころが回ってきたのである。 そこからまた一段興味深くなっていくだろう。

ちなみに、高田のこんな場面をも回想している。

高田がシャワーブースから出てきた。サンダルを履く以外は全裸だ。すると若手レスラーが慌てて駆け寄った。高田の全身の水分をタオルで拭き取るためだ。
「なんてことだ。高田は自分を王様だとでも思っているのか?」
決して口には出さなかったが、私は自分が高田よりも優れたファイターであることは分かっていた。