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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

小林まこと先生「柔道部物語」創作秘話語る 現在の「JJM」は「漫画家を引退してたが復帰した」とのこと

「近所に金メダリストが引っ越して来たら……」。小林まこと先生が語る『JJM 女子柔道部物語』が生まれた奇跡

という前、後編の記事がある。

https://melos.media/hobby/9607/
https://melos.media/hobby/9609/

JJM 女子柔道部物語(1) (イブニングKC)

JJM 女子柔道部物語(1) (イブニングKC)

JJM 女子柔道部物語(2) (イブニングKC)

JJM 女子柔道部物語(2) (イブニングKC)

JJM 女子柔道部物語(3) (イブニングKC)

JJM 女子柔道部物語(3) (イブニングKC)




以前、偶然見ていた「僕らはマンガで強くなった」というNHKの番組の中で語られていた話も多いのだけど、それを見ていない人も多いので、興味深い話の人も多いのでは

当時は『What's Michael?』連載中でメチャメチャ忙しい時期だったんだけど、ヤングマガジンが創刊5周年ということで読み切りを頼まれたんです。題材も自由だったので、俺の実体験をベースに、柔道部に騙されて入部して、その1週間後にセッキョー(新入部員歓迎のシゴキのこと)されて、「あー騙された!」っていう話を考えたんです。それでネームを切り始めたら、30Pじゃ収まらない。100Pはいっちゃうんですよ。なので編集部に「悪いけどこれちょっとだけ連載にしますよ」って言って、「騙された!」の先は後で考えればいいやって、連載にしてもらったんです(笑)。

 

当時日体大古賀稔彦さんからファンレターをいただいたんですよ。「あのスーパースターの古賀稔彦から手紙が来た!」って興奮しちゃってね。これは本気でやらないと、三五(十五)が日本一になるくらいの前向きな漫画にしないといけないって・・・・・・

となるのだが、前述のテレビ番組によると、その当時はまるで人気がなかった。アンケートは良くなかった、のだそうです。ただ、全国の柔道部生には熱烈に支持されるような、「一部の関係層にはめちゃくちゃ受ける」タイプの作品だったそうです。しかし、それが人気作になるとなると、やっぱり主人公が成長して強くなるというのはカタルシスなのでしょうね。


ここも面白い。

    • 三五の最大のライバルで、劇中の登場人物の中でも人気が高い西野はどのように作られたんでしょう?

まず大前提として『1・2の三四郎』のときの宿題があったんです。あの作品を終えたとき、当時の編集長に「本当の敵を描かずに終わっちゃったな」って言われまして。みんな仲間になっちゃったから、やっつけなきゃいけないライバルを描けなかったんですね。なのでどこかでそれに挑戦しなきゃいけないというのは自分の中であったんですよ。そこで最初は樋口を最終的なライバルのつもりで描いていたんだけど、なんかちょっと力不足になってね(笑)


自分もまだ未完成ながら、

21世紀型新悪役論〜 悪のキャラクターの個性、造形の過去と未来をあれこれ考える - Togetterまとめ https://togetter.com/li/1150185

で一部かいているように、悪役造型の分類や分析はずっと追っていきたいテーマだ。この時に西野も入れてもよかったな。

ただ、「途中で力不足になった」樋口も忘れ難い話があって、最初に主人公の三五十五が勝利するときは「技あり」を先取した三五が、その後は徹底的に逃げ回り、指導などを受けつつポイント差で勝利する
「スキがあってもまちがっても技なんかかけるんじゃないぞ」という先輩の応援?を聞いている三五も
「当然だ!二度と技なんかかけられるもんか! 早く時間よたて〜〜〜」と納得して逃げ回り、カッコ悪く勝つ。

これが、とてつもなくリアルだった。
その語、物語的には力不足というより怪我で退場していくのだが、それはこちらを参照いただきたい。http://yamakamu.net/jjm

また

試合シーンのリアルでスピーディーな描写も素晴らしいのですが、描かれるときには特にどんなことを意識していたのでしょうか?

自分に柔道経験があるので、ウソは描けないんですよ。だから一生懸命描いてましたね(笑)。例えば投げたシーンだと、柔道の教則本を参考にして描くと、まったく勢いがないんですよ。それに勢いをつけるには、下に影を入れるんです。そうすると投げられて畳に打ち付けられて、弾んで……というコマに仕上がる。そういう細かいところに気を使っていましたね。あとはスピード感を出すためのコマ割りは自分なりに考えました。1コマ入れるか入れないかで、スピード感は大きく変わってきますからね。

    • スポーツでいちばん大事なスピード感とダイナミズムはそのままに、一瞬の駆け引きや仕掛け、心理などを的確に描写していく『柔道部物語』は、のちのスポーツ漫画の試合描写に大きな影響を与えていると再認識しました。

でもこれは俺のやり方だから、俺の描き方が正解とかじゃなくて、また新しい作家さんが新しい表現でスポーツを描いてくれるとうれしいよね。

ひとつの試合を描くとして、どういうふうにコマを割って描写を作るのか。「オールラウンダー廻」や「帯をギュッとね!」「プロレススーパースター列伝」「ホーリーランド」などの格闘漫画を再読してもそこが面白いのだが、さらにいうと実録として、本当のスポーツゲームを漫画にした時の個性の差を読み比べてみたい気がする。

実は「引退した」つもりだった?こわいなあ…

今回の「JJM」に関して、一番驚いたのはこれ。

https://melos.media/hobby/9609/

    • 『柔道部物語』終了から20年以上の時を経て、『JJM 女子柔道部物語』が始まりました。2014年に『瞼の母』をもって引退されていた小林先生がなぜこの作品で復帰するに至ったのでしょうか?

瞼の母』が終わった翌日からは音楽活動に励んで、完全なる引退生活を送っていたんですよ。1年半でCDを3枚作りましたからね(笑)。そのバンドの練習スケジュールのやりとりのためにFacebookを始めたんです。そうしたらある日そこに恵本裕子という女性からメッセージがきたんですよ。「こんにちは。『柔道部物語』読んでました」って、ここまでは他の人と同じだったんですけど、その後に続いて「おかげで、アトランタで金メダルが取れました!」って
…(略)……
やっぱり柔道の話も出て来るようになって、それを聞くたびにとにかくおもしろいんですよ。なんでこんなおもしろい話に誰も気づいてないんだろうって思うようになったんです。そして決定的だったのが、漫画の冒頭にもあった、1995年の世界選手権ですね。あの11秒で負けたのを見て、我慢できなくなりました。ただ、俺も引退して本当に描く気はなかったので、原案:恵本裕子、脚本:小林まことで他の人に漫画を描いてもらうっていう形で話をしたんです。
(略)
俺が描くしかないじゃない。やっぱりこのおもしろい話は残さないといけないし、これも俺の使命だなと思ってね。もし恵本さんがいなかったら、今頃CDが5枚目くらいは出てたよ(笑)。
(略)
…前作は高校卒業で終わってますけど、今回はその先まで描かれますし。社会人編にいってからまたおもしろくなるんじゃないかと思います。どういう大会があって、どうやって代表に選考されるのかとか、実業団というかプロというか、その辺の話は知らない人が多いですよね。世界選手権の代表じゃなくて、そこに紙一重で選ばれなかった2番手3番手の人のドラマとかはすごいと思うんですよ。その後の人生がそれですごく違ってくる

まあ、そうなんだろうな。冨樫義博氏とならんで、これをやろうと思えばできるはず。

意思をくつがえして、書いてくれることに、感謝するのみです。