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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

最近話題の「図書館の記念誌切り取り事件」って「前からあったが、今注目されたんで一斉多発に見える」話では?伝説の「ガードレールに刃物!」や「立春に卵が立つ!」と同じく。

だれか言ってると思うけど、
一応自分も書いておこう。
とはいえ、エビデンスのない印象論だとことわっておきます。

学校史などの切り取り被害 27都道府県64図書館で | NHKニュース http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170519/k10010987601000.html

各地の図書館で学校史などのページが切り取られるなどの被害が相次いでいることを受け、日本図書館協会が緊急調査を行った結果、被害は少なくとも27の都道府県の合わせて64の図書館で、およそ2500ページに上ることが分かりました。
少なくとも27都道府県で
各地の図書館で、小中学校や高校の歴史をまとめた学校史や記念誌からクラスの集合写真や学校行事の写真などが切り取られたり破られたりする被害が相次いでいます。日本図書館協会では、先週から全国の公立の図書館を対象に、緊急の調査を行い、19日結果を公表しました。それによりますと、被害の回答が寄せられたのは、北海道から九州まで少なくとも27の都道府県の64の図書館に上っています。
(略)
協会では、誰がどのような目的で切り取ったかはわからないとしていますが、今回の事態を受けて声明文を発表し、学校史などは地域の歴史を知る貴重な資料だとして大切にするよう呼びかけました。

森茜理事長は「半数以上の都道府県で被害が確認されショックを受けている。子どもたちの写真が被害にあっていて大変心配している」と話しています。

で、印象論で申す。
えーと、いざ探すとなると良質の資料はないが…2005年ごろの話題か
「ガードレール刃物”事件”」ってのがあった。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1087876690
https://plaza.rakuten.co.jp/ewa512/diary/200506060000/
http://newsa2005-2.dreamlog.jp/archives/2819524.html

ガードレールに<鋭利な金属片が挟み込まれ>、子供が怪我するという事件があった
・だれが、何のために?
・無差別テロ?
・宗教的狂信?
・いたずら愉快犯?

・・・・・・・・・などなどの推測と「ここにもあった!あそこにもあった!」「なんという全国的な広がり!どんな巨大組織の仕業か?」
と大盛り上がりだったのだが、結局、一部の例外はあるみたいだけど、ほぼ大半が「クルマがガードレールをこすると、塗料や金属片がはがれて隙間に押し込まれ、それが刃物上にとがっていることもある」が結論だったみたいなのです。

三角は飛ぶ、金属ならなおさら… - king-biscuit WORKS (id:king-biscuit / @kingbiscuitSIU) http://d.hatena.ne.jp/king-biscuit/20050604/p1
 ……今回の三角の金属片をめぐる解釈にもいく通りかの真実があるのだろう。だが、これまでもあったのに誰も普段は意識しなかったらしい、ということの方に、民俗学者はいたく興味を抱く。昔板塀、いまガードレール。日常の風景の構成物は移り変われど、人の心のからくりはそんなに変わるものでもないらしい

 世の中のあらかじめ隠されているもの - king-biscuit WORKS (id:king-biscuit / @kingbiscuitSIU) http://d.hatena.ne.jp/king-biscuit/20050621/p1

……ガードレールの継ぎ目に謎の金属片が、という報道が全国をかけめぐった。ことの発端は埼玉県や宮城県、東日本は東北地方が中心か、と当初言われていたが、調べてゆくうちになんの、全国津々浦々どこにでもあることがわかり、あげく数万件も発見されたから謎が謎を呼んだ。

 問題の金属片の大きさはさまざまだが、そのほとんどが三角形。錆びたものもあり、曲がったものもあり、どうしてこんなものが全国規模でこんなにたくさん、と、世の好奇心を刺激する絶好のできごとではあった。

 まずは、ネット住民デフォルトの反応。問答無用で…(後略)

で上記事にもあるように、一寸可笑しいのは、
別にそんな事故や残留物は2005年に突然発生したわけではない。ずっとあったのでした。
しかし、報じられないこと、誰も気にしないことは、「無かったこと」なのです。「不安の立像」の影法師のように(分かりにくい喩えだよ!)

http://d.hatena.ne.jp/miruz/20070915/p1
…その影法師は夕方になるといつも現れてはそこに立っているのだが、同僚にその事を尋ねると「ああ、あれか。そういえば大抵いるな」と気づいてはいるのだが、まったくの無関心な様子だった。疑問に思った男は途中の駅で降り、駅員に影法師について訊ねてみると「さあて… わたしがここに勤務する前からずっといるようですがねー。注意してみたことないから、よくわかりませんねえ。あれがなにか?」と答え、近くで工事をしている作業員に訊ねてみても「気がつかなかったな。そういえば何かいるな」「別に邪魔にならんからほっぽってあるがよ… なんであんなもんのこと聞くんだね?」と、皆一様に無関心なのだった。

(略)そんな影法師の正体を探る男の行動に恋人も「どうかしてるわ」と言ってくる。「東京に得体のしれないものがいて、君は気にならないのか?」そう聞くと「別にいたっていいじゃない、何も悪いことをするじゃなし」と呆れるようにぼやくばかりだった…

不安の立像 (ジャンプスーパーコミックス)

不安の立像 (ジャンプスーパーコミックス)


立春の卵」
卵のほうの例は、何かの教科書にも載っている有名な話なので、探せばあるだろう…あったあった

http://www.geocities.jp/futoshiki/essay06-006.html
立春の卵」の話はよく知られている。
一年のうち、立春の日に限っては卵を立たせることが出来る、というものである。
終戦から間もない1947年、日本の新聞各紙が取り上げて、大きな話題になった。

それを読んだ物理学者の中谷宇吉郎は、自分でもやってみた
結論は、「いつでも立つじゃん!」、である。
その経緯と考察は、彼の「立春の卵」という随筆になっている。
今では、どこかで中谷の文章を経由して、この話を知っている人の方が殆どだろう。

これが広く知れわたった元の中谷宇吉郎の文章は、著作権が終了しているので青空文庫にありましたよ。

立春の卵

中谷宇吉郎
http://www.aozora.gr.jp/cards/001569/files/53208_49866.html

立春の時刻に卵が立つというのがもし本統ならば、地球の廻転かいてんか何かに今まで知られなかった特異の現象が隠されているのか、あるいは何か卵のもつ生命に秘められた神秘的な力によるということになるであろう。それで人類文化史上の一懸案がこれで解決されたというよりも、現代科学に挑戦する一新奇現象が、突如として原子力時代の人類の眼の前に現出してきたことになる。
 ところで、事実そういう現象が実在することが立証されたのである。『朝日新聞』は…(後略)、

今回の「図書館の記念誌切り取り」も、こういうものだと思っている。


ぶっちゃけ、自分も図書館で、「雑誌」については切り取られたページを見ることがたまにある。特定のコラムやインタビューに集中してたりね。
ただ、自分はそれをいちいち図書館に報告はしなかった。ため息をついて、本棚に戻すことが多かった気がする。こればかりは浜の真砂のように尽きないからだ。

そして雑誌はともかく、記念誌は・・・・・・・箇条書き

A:その画像や名簿、文章などを、欲しい人は欲しい。それも全部というよりは特定のページや写真が、ということが多いだろう。
B:例えば好きな人、故人の思い出の写真、その後、知る人ぞ知る人気者になった人物の若き姿、などを手元に置きたいとか・・・・・・(接写やコピーじゃ我慢できない人もいれば、それが欲しいというのが恥ずかしいという人もいよう。)
C:逆に、恨みや嫌な思い出で、このページ、この写真、この人物が載ってる記述を消し去りたい!!…という強烈な願望を持っている人もいるかもしれない。
D:その一方で、記念誌は一般的に閲覧されるか?といえば、おそらく見る人なんていない記念誌のほうが大半では?10年20年、だれも閲覧しなかった記念誌なんてたくさんあるだろう。
E:今回の事件の報道を受けて、一斉に各地の図書館が記念誌を点検する・・・・・・・⇒ああ、うちにもあった!!⇒報告され、大量発生してるように見える。あるいは組織的活動にも・・・・・。
F:だが、実のところA〜Cのような理由で、時期もばらばらに発生した、いつの時代にもほんのわずかに発生し、なかなか根絶することもできない現象なのじゃないかな?

まとめ::こういう、「今までずっと眼立たず存在していたものが、注目を浴びたからなぜか最近、突然発生した現象、ブームのように見える」ということはほかにもあるでしょうね。
これを『不安の立像現象』と命名したい。(無理ダ)


……とはいってもすべて印象論で、
このあと「壮大な計画と命令に基づいて図書館の記念誌を全国で破損してきた、カルト集団の組織的犯行が明らかになりました!」となったら、この予想は外れてましたねすいません、というつもりだ。
でも、ある程度この印象論を皆様にお届けする価値は、まああるかなあと思っている。


ついでだから、この予想が外れたら
「口からカルボナーラ食べてやんよ」と皆さんに約束してもいい。
(了)

【追記】自分がこの話に興味を持って考察するのは、この件ともちょっとつながっています。s
これを何と定義するかは、今も考え中。

「擬似イベント」というか「情報の独り歩き」を描く作品集。このジャンルをなんと命名すべきか…(仮命名「心理・メディア操作もの」) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150817/p3