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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「アントニオ猪木が最も恐れた男」は…大仁田厚だった!「あいつは殺しても、殺せないんだ」(「真説長州力」)

真説・長州力 1951‐2015

真説・長州力 1951‐2015

プロレス・ノンフィクション史上最大級のインパクト!

本当のことを言っていいんだな?
本名・郭光雄、通名吉田光雄――
“端っこ”の男はプロレスラー長州力となり、時代の“ど真ん中”を駆け抜けた。
今、解き明かされる“革命戦士”の虚と実。
その全歴史!

在日朝鮮人二世として生まれた幼少期の苦悩から、ミュンヘン五輪、“噛ませ犬”事件、“黒歴史”WJプロレス崩壊の真相、そして現在――
長州力がすべてを語った!
藤波辰爾佐山聡初代タイガーマスク)、坂口征二アニマル浜口キラー・カーン大仁田厚ら大物プロレスラーも登場。多数の関係者取材で迫る衝撃ノンフィクション!

この本は出版されたときに紹介したが、少し前に読む機会があった。

長州力に関する節目節目…反乱と維新軍設立、ジャパンプロレス、vs前田日明、対Uインター、WJ ……などなどのトピックがさまざまにノンフィクション作家ならではのち密さで追われており、型破りなところはないが非常に面白い。

自分の興味的には「アマレス五輪代表のプライドと技術を持った長州は、カール・ゴッチ流のサブミッションや、UWF的な道場の極めっこをどう見ていたのだろう?」というのがあって、それに関しても一応の解……というか材料を提供してくれている。

【参考】
昭和新日道場で「UWF組」と「レスリング・柔道転向組」はどんな関係だったのか - Togetterまとめ http://togetter.com/li/770530


そんなところもおいおい触れたいのだが、残念ながら時間がなく、ワントピックのみで。


この本には
当然ながら、アントニオ猪木が登場する。
そもそも、長州大ブレイクの発端となる対藤波の「名勝負数え歌」「俺はかませ犬じゃないぞ」…というのは、ほとんどアントニオ猪木のアイデアと使嗾だったことが強烈に暗示されてる。
長州はあの、後楽園ホールについていう
「引き金をひいたのはぼくです。でも撃鉄をあげたのはぼくではない」。

ヘルシングか!!
でもたしかに、悪魔的(アーカード的)な挑発によって、猪木は長州と藤波を日本人抗争させるという大ヒット商品を作り、ゼニをやまほど稼ぎ、新日本の黄金時代を作った。プロレスブームではなく、新日本プロレスブームだというあの時代・・・・・・・・
これは純粋に、プロレスの「アングル」の企画として一級品だったろう。猪木は企画力という点でまずピカイチだった。海賊男とかはおいとけ(笑)



だが。
そのアントニオ猪木が、いやでいやでたまらず、新日本プロレスに絶対に挙げたくないと反対し続けたのは……


大仁田厚だったのである!!!


この話は「真説〜」だけでなく、別の本でも読んだ気が…たぶん、上井文彦氏の著作だろう。


猪木信者はたぶんこういう。
「やっぱりね…猪木さんはカール・ゴッチに学んだストロングスタイルだからね!!あんな邪道のショーマンである大仁田なんか評価してないに決まってるさ」


ちがう。

11月18日、大仁田は新日本プロレス京都府立体育館に乱入し、長州宛てに袋瀬に要望書を出している。
これに猪木は過剰に反応した。猪木は赤坂にあった全日空ホテルのスイートルームに全社員を集めたという。
猪木が大仁田を毛嫌いしていることは知られていた。しかし、大仁田には多数の支持者がいる。彼を新日本のリングに上げれば、大きな話題になるだろう。

―(猪木)会長がいくら言っても、大仁田は切符が売れる。好き嫌いを抜きにして大仁田を新日のリングに上げるのは賛成。みんなではっきりと会長に意見を言おう。
営業部員で話を合わせてから、部屋に入った。
「この中で大仁田参戦に賛成しているやつがいるのか。もしいるならば、手を挙げろ」
猪木は大きな声を出した。その調子に気圧されたのだろう、手を挙げたのは中村という若手の営業部員だけだった。
(359-360P)

この「中村」がのちにゼロワンを仕切って苦労をし続ける(笑)中村祥之氏なのだが、それはおいて……

猪木はこうやって、明確に大仁田参戦に反対する。
しかし、その理由が……

―お前らはあいつの毒を知らない。
―大仁田は殺しても、殺せないんだ。
―あいつをなぜ新日本のリングに上げちゃいけないか、わかるか?あいつは負けても消えない。負けても勝った人間の上を行っちゃう毒を持っている。だからあいつには触っちゃいけない。

どう聞いても、
めちゃくちゃ褒め言葉やん!!


いや、主観的には嫌っているんだろうさ。
しかしこんなセリフ、プロレスラーの誰もが言われたくてたまらないだろうし、そもそも「毒」の量と致死性についてはプロレス界のみならず、日本のすべてのエンターテイメント業界の中でも突出した存在であるアントニオ猪木がそう呼ぶという……

こんな勲章は滅多にない。
「家康が恐れた男」が非常にブランド力のある勲章だから、みんながみんな「家康が恐れた男」になっちゃうようなもんでね。

「家康が最も恐れた男」が多すぎるとネットユーザーから疑問続出 - AOLニュース http://news.aol.jp/2014/10/24/ieyasu/


そのうえ、筆頭株主(だったかな?)、創業者であるところの猪木が反対してるのにも関わらず、大仁田はテレビ朝日(真鍋アナ劇場)をも巻き込んだ壮大なしかけによって、ついに新日本のリングをまたいでしまうのである。

この本には、大仁田側からの視点でみた新日本プロレス参戦、長州力戦実現までの布石と経緯も描かれている。
何しろまっとうな堅気の仕事でもあるテレビ朝日の社員にビンタをかまし、ネクタイをねじりあげる行為…昭和ならOKでも、平成ともなるとねえ(笑)。
しかし視聴率の良さで放送幹部のてのひらがくるっと裏返ったりね(笑)


そんなもろもろのトピックも、ガチ論や格闘技興業論、ジャパンプロレス仲間との人間関係、ブッカーとしての仕事……なども語りたいところなんだけど、今回はこの印象的な場面の紹介のみで。
12章のところだね。

プロローグ 端っこの男
第一章 もうひとつの苗字
第二章 ミュンヘンオリンピック韓国代表
第三章 プロレスへの戸惑い
第四章 「長州力」の名付け親
第五章 メキシコに「逃げる」
第六章 「噛ませ犬」事件の“謎”
第七章 タイガーマスク引退とクーデター
第八章 ジャパンプロレスの野望
第九章 長州を恨む男
第十章 現場監督の秘密
第十一章 消されたUWF
第十二章 アントニオ猪木大仁田厚
第十三章 WJプロレスの躓き
第十四章 どん底
第十五章 再び、「ど真ん中」に
エピローグ 赤いパスポート