じつにどうも。
こういう例は、いろいろあったような気がする……
ただまあ、大体はその作品の中で、ひっくり返すからね。ナウシカは、映画でもややご都合主義(やや、か?)的にラストで〆てひとつのストーリーで完結させた上で、漫画版のほうがずーっと続いてそういう展開になったのだから、これは仕方ない、っちゃ仕方ない。
というか、宮崎駿氏本人がそう言ってんだから仕方ない。
川上 確かに、映画ではあれこそ自然そのものでしたよね。なのに、実はあれが自然じゃなくて人工だったって……。
朝井 もう絶望ですよ。映画で終わってひと安心した身としては。
鈴木 あの漫画が完成した直後、宮粼駿に「これは映画を観た人への裏切りじゃないですか」って言ったら、「いいんだよ鈴木さん、世の中そういうものなんだ」って。
川上 僕は漫画を見て、映画は漫画への裏切りだって思いましたね。「なんであそこで終わるんだ?」っていう。漫画の奥深さを、映画は30%も伝えていない。
朝井 僕の感覚も川上さんに近いかもしれないです。映画のほうが原作を裏切っているっていうか、もったいない。
なぜそうなるのかというと
鈴木 宮粼駿はまずシナリオを書くんじゃなくて、いきなり絵コンテから始める。どういう映画の作り方をするかっていうと、20分ぶんぐらい絵コンテを描いたら、もう作画にインなんですよ。
朝井 それはシナリオで誰かに見せて……?
鈴木 なんにも出来てないの、映画の全体が。長さがどうなるかとか、起承転結がどうなるかとか、何にもわかってないんですよ。
朝井 すげぇ……。
鈴木 そうやって描き始めちゃうでしょ? もう引き返せない。で、次を描き始めるんですよ。
朝井 めちゃくちゃ怖いことしますね(笑)。
鈴木 そんなことあり得るのかってよく海外の人に言われるんだけど、本当にあり得るんですよ。