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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

元セルビア人指導者に禁錮40年。だが、現地の潜在意識は…「彼らは『七人の侍』だ!」

ボスニア紛争の虐殺、元セルビア人指導者に禁錮40年:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASJ3S7X1VJ3SUHBI04V.html
 1992〜95年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争をめぐり、オランダ・ハーグの国連旧ユーゴスラビア国際法廷は24日、集団殺害(ジェノサイド)の罪などに問われた元セルビア人勢力指導者ラドバン・カラジッチ被告(70)に禁錮40年を言い渡した。7千人超が犠牲になった95年7月のスレブレニツァの虐殺を含め、起訴された11のうち10の罪で有罪とされた。

 旧ユーゴ紛争の最重要戦犯の1人とされる同被告への判決は、東京裁判以来の戦犯法廷として93年に設置された旧ユーゴ国際法廷にとっても節目となる。


そうか、この裁判はまだ続いていたのか…

過去の記事を紹介したい。

一本の映画が、そのまま「ジャンル」になった…四方田犬彦「『七人の侍』と現代」 - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150202/p2

これは黒澤明論で、世界への影響を述べるために、各国のファンや研究者の声を集めているのだが、内戦で書きかけの黒澤明論を失ってしまい、自身も脱出せざるを得なくなった、そんな辛酸をなめたセルビアの知識階級(映画監督兼評論家)が、著者に向かって太字のような発言をする。

ユーゴでは、「セルビアクロアチアボスニアの正義がせめぎあい、もはや誰も真実はわからない…『ラショーモン』ですよ」と言われる。流行歌の歌詞は「ぼくは彼女が好きだけど、彼女はクロサワが好き…」 そして、黒澤にインタビューもしたセルビア人の映画評論家・監督は、「書きかけの黒澤論の原稿も、黒澤のサイン入り色紙もすべてアパートに置き去りにしてサラエヴォから避難した」という…書きかけの原稿を持っていけなかった、という具体的な記述に、難民になるとはこういうことなのか、とちょっと胸が痛む。…ただ…そこからの発言がさらに皮肉なのだ。
 
:彼はセルビア系。そしてこういう。「いいかい、コソボに出向いてアルバニア人の暴力からセルビアの農民を守った将軍が、どうしてハーグの国際司法裁判所で戦犯にならなければいけないんだ。彼は『七人の侍』で志村喬が演じた勘兵衛だよ。」…そう、今では戦犯の彼らは、セルビア視線で見ると侍なのだ!
筆者は、自分は第三者だから論評は避ける、としつつも「たしかに旧ユーゴは野武士に襲われた村のようだった。だが、アルバニア人ボスニア人も同じ被害者では」と感じつつその感想を飲み込む。
しかし、そんな経験で「黒澤映画は世界で今も『現役』のフィルムなのだ」と感じ、この本を書き始めた…

『七人の侍』と現代――黒澤明 再考 (岩波新書)

『七人の侍』と現代――黒澤明 再考 (岩波新書)

日本映画を代表する名作として、幾重にも栄光の神話に包まれてきた黒澤明の『七人の侍』。しかし世界のいたるところで、いまなお現代的なテーマとして受容され、その影響を受けた作品の発表が続く。制作過程や当時の時代状況などを丹念に考察し、映画史における意義、黒澤が込めた意図など、作品の魅力を改めて読み解く。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
四方田/犬彦
1953年西宮市に生まれる。東京大学人文系大学院博士課程修了。専攻は比較文学比較文化コロンビア大学ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学などで客員研究員・教授を転々とし、現在は明治学院大学教授として映画史の教鞭を執る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

この将軍がカラジッチのことかどうかはちょっと細部を忘れたが…とにかく思い出したので紹介。

そして…

これがカラジッチを弁護する本だというわけでは、もちろん無い。