【創作系譜論】
なにがきっかけだったのか…たぶんブクマの関連記事紹介で浮かんできただのだと思うけど、この記事を見つけた
「遅刻する食パン少女」記事まとめ
http://www.high-octane.org/chikoku.html
■キレンジャーの錯誤について−原典なしにパロディだけが流通する
「遅刻しそうな女の子が食パンを咥え、走って登校している途中で曲がり角で男の子とぶつかり…… 」というパターンが「少女マンガの定番」とされることが往々にしてあるが、1970〜1985の『りぼん』作品を全て読破した経験から言えば、そんなマンガは存在しない。定番ではない。また「眼鏡を取ると美形」も少女マンガの定番と一般に思われているようだが、これも事実と反する。(「眼鏡を外して美人」というパターンについての世間の誤解はここを参照)。しかし、事実無根にもかかわらずなぜ「定番」だと勘違いされるのか。
(略)
して誰もが原点を挙げることすらできないのに、パロディーだけが流通するという事態が現出する。
ぼくもかつてネタ元の追究に関心を持ったことがあり、実際に追究した。「眼鏡を外して美人!」というパターンの元ネタは何か。日々古本屋に通って1970年代のマンガにはほぼ全て目を通し、眼鏡っ娘が出てくるマンガは全て購入した。(略)「眼鏡はずして美人」の実例は現在まで142例。調査を思い立ってから方法を確立し結論を出すまでに費やした時日は5年あまり。
すごいもんだ。
自分も「創作系譜論」と称し、考察の文章をいろいろやっているが、基本は手持ちの知識と記憶でやっているだけで、数年がかりで調べるようなことはしていない。
しかし、このパターンが「パターンだよね」「お約束だよね」と言われるようになった基点ははっきりと分かるわけで、メタ的なギャグとして漫画のお約束を指摘しつつ、作劇とかキャラクター、漫画の記号論などにかなりマジに踏み込んだ
で、これがお約束だよねーーー、とやる回があり、みんなが「ああ、そうそう」と納得してたというのは分かる。
もちろん、エヴァンゲリオンのスタッフはこれを知っていたことは調べなくても99.999%ぐらいの確率で間違いないと思われる。
http://blogs.yahoo.co.jp/yqsbc547/52806482.html
そこからしょっちゅう、話題にはなっていた。
「遅刻する“食パン少女”」は少女マンガに実在するか - Excite Bit コネタ(1/2) http://www.excite.co.jp/News/bit/00091135196815.html
上のまとめのひとも、竹熊氏に直接質問し、貴重な回答を得ている。
■竹熊健太郎氏から返事が来た
「遅刻しそうな少女がパンをくわえて曲がり角で…」パターンについて竹熊健太郎氏に質問メールを送ったところ、丁寧な返信が来ました。いい人だ。直接的な典拠はなく、いくつかの事例を複合したという旨でした。
で、竹熊氏が中学生の頃にはこれが一種のパターンだという認識は一般にあったとのこと。1970年代の半ばには一定のイメージが形成されていたということになります。そうすると、直接的な原典、あるいは近い事例があるとすれば、かなり作家を絞り込め……
自分は、実はまだ結局未発見なだけで、探すとやっぱり実在してるんじゃないか?という気はしております。それは自分も、サルまんを読んだ時「そうそう、そういうお決まりのパターンあるなあ」と思っていたからだな(笑)。
ちなみに「遅刻しそうな時に食パンをくわえる」という描写は、自分は藤子・F・不二雄の漫画の中に登場した、という記憶があります。オバQかドラか…
にしても、最初に紹介した記事は資料的価値の高い大変な労作で、ここで紹介したいと思います。
関連して竹熊健太郎氏が、「サルまんが最初に指摘したり、法則として定義したものは何か」を自己言及しています。
このツイートから伸びていくスレッド。
https://twitter.com/kentaro666/status/544957298985013248