上の記事の姉妹編です(本当は一本の記事にするつもりだった)
フイチンさん作者は「戦争のために、男女平等を!」と満州で叫んだ…「赤と白」の旗と、その他の旗と
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140519/p2
ほんとは5月1日のメーデーに関連して紹介したかったのだが、いろいろ遅れて。5月中ならセーフということで。
まずは「赤旗の歌」から。
民衆の旗赤旗は
戦士の屍を包む
しかばね固く冷えぬ間に
血潮は旗を染めぬ
高く立て赤旗を
その影に死を誓う
卑怯者去らば去れ
我らは赤旗守る
おまけで
別にオリジナルの曲もネットにないわけじゃないのだが(笑)、なんとなくノリで。
ま、そんな赤旗です。一時は栄華を極めたものの、壇ノ浦で滅びてから長くかかったが、ヨーロッパから妖怪として復興し、世界を徘徊したのである(赤旗違うだろ)。
だが。
この旗の下、というかこの旗が象徴する思想の下、失われた命はいかほどのものであったか。ま、億単位ですな。MS砲が記録に貢献したというか何と言うか。
http://blog.livedoor.jp/kaikaihanno/archives/27596770.html
というか、もうひとつのシンボル「鎌とハンマー」は、ハーケンクロイツを禁止するのと同じような意味で禁止されている例もある、既に。
■エストニアではソ連の象徴「鎌とハンマー」のシンボル禁止
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20070123#p4
■WWⅡ開戦70年、ナチスと(スターリンの)ソ連は同列に扱っていいか悪いか? -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090905#p4
さて法的規制はともかく、内的な論理や倫理の検討の結果「多くの人々の命を奪ったシンボルだから赤旗を掲げるのはやめよう」という意見は出てくるか。たぶん、ハーケンクロイツを禁止したり、旭日旗を批判する論理を仮に全面肯定するならば自然な流れ、論理構成としては自然だと思いマス。
だが、自分はその意見には組しない。赤旗は確かに虐殺やおそるべき人権侵害の政治的シンボルだった(もしくは現在進行形で「である」)歴史”も含む”が、それ以外の意味や歴史も積み重なってきた。国や体制、宗教のシンボルというのは、常にそういう歴史や意味を含むのではないか…と思うからです。
別の意味で「卑怯者去らば去れ 我らは赤旗守る」というわけです。
これは、いわゆる”共産趣味者”の弁護も兼ねている。「鎌とハンマーのマークを喜んで身につけている!(あるいは「スターリンを、毛沢東を、金日成をtwitterのアイコンにしている!」でも可)のは、お前はあのおびただしい犠牲をなんとも思っていないのか!」という批判も分からないわけじゃないのだが、まあそこまでを、たとえば法的規制するのは行き過ぎでしょう、と思う次第です。
政治的シンボルの話題について
ドイツで洗剤回収 ヒトラー示す隠語 客指摘
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014051002000239.html
2014年5月10日 夕刊
【ベルリン=宮本隆彦】洗剤メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)がドイツで売り出した粉末洗剤の容器に、ネオナチがナチス・ドイツの独裁者ヒトラーを礼賛する隠語として使う数字の「88」などが使われ、買い物客の指摘を受けて出荷が停止された。DPA通信が九日伝えた。
容器はサッカーのドイツ代表のユニホームを模し、背番号として「88」がデザインされていた。通常より五回多い八十八回分の洗濯ができる増量サービスの宣伝だった。ところがヒトラーを崇拝するネオナチの間では「88」は「HH」を意味し「ハイル・ヒトラー(ヒトラー万歳)」の隠語。AP通信によると、P&Gは「アドルフ・ヒトラー」を意味する「18」が容器に書かれた液体洗剤も出荷を停止したという。
ドイツではヒトラー礼賛が法律で禁じられており、ネオナチは「H」がアルファベットで八番目の文字であることを利用してこうした隠語を使っている。
同趣旨記事
http://mainichi.jp/select/news/20140512k0000m030054000c.html
はてなでも、上の東京新聞記事へのブクマにはかなり「やりすぎだろ」とひいてる。
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014051002000239.html
自分はこう書いたっけ。ポリティカルコレクトの行く末は、かくして自己矛盾と自家中毒を起こして終わりぬ………ということなのだろう。
アメリカ建国の父たちは憲法や連邦制度を作るとき「この国を、シーザー(※ユリウス・カエサル。ローマ共和国を実質的に乗っ取り掛けた)のものにはしない」が合言葉だったという。
自分は「この国の言論や表現を『白い服の男』には委ねない」をココロの合言葉にしている。「白い服の男」って、誰もが知ってる有名な話、というわけでもないけどさ。
この話についてはこちらを。
星新一「白い服の男」ウィキペディアから転載 -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140116/p1
- 作者: 星新一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1977/09/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (24件) を見る