- 作者: 小島一志,小島大志
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: 単行本
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芦原英幸が極真会館を離れ、芦原会館を設立した直後、石井和義という元芦原の弟子が中心となりクーデターを企て、多くの芦原門下生や指導員を引き抜き、新団体・正道会館を立ち上げた。さらにそのクーデターには膨大な資金が動き、またカラテ関係者だけでなく各方面から様々な人々、組織も絡んでいたという。それゆえ、これらの潤沢な資金と「影響力の大きい人々・組織の力」が最大の原動力となって、つい最近まで芦原の懐刀・秘蔵っ子と呼ばれた高弟たち…移籍していったという噂だ。
これらの動きを、就職活動などをしていた著者・小島氏は知らず、フルコン山田、あるいはザンス山田として知られる山田英司氏から聞くという展開になっている。
山田氏が語る(と記述されている)
「正道会館の正式発足が1981年の末なのに、たった1年後の1982年10月、第1回全日本選手権を、なんとこれも大阪府立体育会館でやってるんだぜ。観客も凄かったよ。だって俺見に行ったモン。極真のウェイト制大会より客多かった。…これだけの大会を団体を作って1年後に開くなんて…芦原師範を裏切ってクーデターを起こして2年後に大会を開き、会場を満員にするっていうのは普通じゃできないよな。(略)これ絶対プロの興行主とか危ないお金とか、いろんな力が絡んでいるに違いないぜ」
(小島)「その正道を創ったっていう石井和義はいったい誰なんですか?極真の大会に出てきたことないですよね。石井っていう人、芦原英幸の弟子だったんですか?」
(山田)「芦原道場大阪支部の支部長だったとか、芦原道場時代名選手だったとか、名指導員だったとか、これみんな自称なんだけど、普通知らないんじゃない?」
(山田)「(略)…腑に落ちないんだよ。噂では裏社会が関与して韓国のブラックマネーが大量に流れ込んだとか、得体の知れない宗教団体が絡んでいるとか、関西の大物興行主が真の仕掛け人だとか、実際そんなことを証言する人間もいるし、うちの編集部にも何本も告発の電話が・・・(略)ケンカ芦原に喧嘩を売って団体作って、1年後に全日本開いて吉本興業の芸人使って話題を盛り上げて会場満員にして…とんでもないお金と、とんでもない力が動いたっていうのは、誰が見ても分かるじゃん。」
これが当時のやり取りだとして、小島氏はこの本の執筆のために関係者に取材を申し込んでいる。
それにしてもこの問題は、いまだに何か重いものを引きずっているように私には思えてならない。…芦原の最期まで一貫して芦原を支え続けてきた小倉正一郎でさえ、この質問を投げかけると苦虫を噛み潰したような顔になった。
小倉といえば、拓殖大学在学中から「拓真会」という名の右翼団体を率い、卒業後は仕手グループのリーダー、また総会屋として経済界の表裏で広く知られた実力者だ。言わばこの世の酸いも甘いもかみ分けてきたはずの小倉でさえ、「複雑な事情があったんです。大山館長のコリアンラインだけではない、別のコリアンラインを含めいろんな人たちに迷惑をかけてしまいますから」というのみだった。(100P、101P)
なんでこんな記述がさらっと書かれてんの?
というか、「大学在学中にIT会社を起業し…」みたいなノリで「在学中から右翼団体を率い…」となる拓殖大学すげえ。
と、しかいいようがない。
話はここから、1984年に「月刊空手道」の取材として著者の小島氏が石井和義氏と会って、正道会館設立の経緯などを本人から取材する……など、面白くなっていく一方なのだが、このへんで読みきり。
というか、このへんに終わりにしないと、さすがに……。
今後用にメモ
・ライターの北之口太氏が、メディア関係者のなかで「この一件(正道会館の誕生と成長)について最も詳しい一人」であり、AERAの人物ルポ「現代の肖像」に石井和義氏の回を執筆、発表している。
ほか
- 作者: 北之口太
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/04/01
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氏がいう「真のオーナーは別に存在するわけですから。」
・やはりこの2冊
- 作者: 佐竹雅昭
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/12
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- 作者: 石井和義
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/06/01
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・芦原英幸の葬儀に関して、いくつかの記述がある。