ビッグコミックオリジナルの、村上もとかの新作の話まだしてなかったな。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130305-00000060-nataliec-ent
「JIN−仁−」の村上もとかが、3月19日発売のビッグコミックオリジナル7号(小学館)より新連載「フイチン再見!」をスタートする。本日3月5日発売の同誌6号にて予告された。
「フイチン再見!」は、2008年に亡くなったマンガ家・上田としこを題材にした人物伝。アニメ化もされた名作「フイチンさん」などで知られ、少女マンガの創世に携わった彼女の人生模様を描いていく。
たぶん、少年時代の村上氏が「フイチンさん」に見せられ、登場人物と作者に強烈なあこがれを抱いた・・・というところはかなり事実なのでしょう。そんなふうに感じさせられました。
自分も「フイチンさん」という名前を知っている・・・けど一回も読んだことないので、たぶん夏目房之介氏らのコミックエッセイ、漫画史解説本で読んだのだと思う。そうじゃないと知りようがないから消去法だ。
天真爛漫でおてんばな女性の珍騒動、というスタイルの漫画はサザエさんだけじゃなかったのだ。
ただ、そういう形で漫画史には残る作品だったのだろうけど、だれでも知ってるおなじみの!じゃないよね。手塚治虫、藤子不二雄、長谷川町子、梶原一騎・・・ほどではない。
ただまだ少女マンガの黎明期でもあったのだから「開拓者」としての仕事、そして葛藤や事件もいろいろとあったのだろう。
村上氏は取材力も相当優れているから、そういう点を描いてくれると期待している。
ところで。
第一回では狂言回し的にフイチンさんの作者が亡父の幽霊に会うシーンがあった。
まだ2008年になくなったばかりの方で、描き方も取材もたぶん遺族とは連絡を取っているし、たぶんさまざまな描写にも許可を取っているのだろう。
ただ、ふと思ったのは
実在人物(故人)をフィクションに登場させるとき、描き方は「遺族の意思」がどこまでコントロールできるのだろうか?ということでした。
この作品とは関係ないです、
たとえば亡くなった女性漫画家Aさんを、後世の漫画家Bが描く。
その描き方が(空想、フィクションを交えて)、さまざまな描写にわたり、どこかを遺族が不快に思ったとする。その場合、どこから遺族は文句をいう資格があるのだろうか?
日本は死者に対する名誉毀損は「客観的に虚偽」のときだけ成立するという。
(生者だと、真実でもそれを言う、書くのは名誉毀損、というものがある)
ん、じゃあ、やっぱり制限はあるな。
これは、この前「てれびのスキマ」ブログで荒俣宏の記事が書かれ、そして「帝都物語」のことをこの前ふと考えたので思った話でした。
http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/20130324#p1
それを書く以前、荒俣は工作舎というマニアックな出版社で様々な本を出していた。そこで、その荒俣の博識を一冊の小説にしたらスゴいものが出来るんじゃないか、と声を掛けられたのが執筆のきっかけだった
荒俣は以前から、今でも平将門が恐れられていることに興味を抱いていた。「周りの企業が将門の首塚には最大の敬意を今だに払っているという話を聞いて、現実を超えファンタジーを超えるファンタジーが、今現実にあるんだ」と。それを基に着想を得たのが『帝都物語』だという。
日本SF大賞も受賞した『帝都物語』。荒俣は、このシリーズで億を越える印税を手にし、そのほとんどを本につぎ込んだ。
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大川周明の遺族が文句を言ったり、三島由紀夫の遺族が文句をいったり・・・ということはなかったようだ。三島由紀夫の遺族はけっこういろんな作品にクレームをつけたというが、あれだけの奇想小説だとさすがに別物、なのかもしれない。
そしてコンビニ版が再発売される「龍」。
前半は増田俊也本でも再度注目が集まった「武専」のことを描いているから、ぜひ読んでほしいわ。主人公の武専時代独立した作品と考え、そこだけ読んでもいいくらい
これも帝都物語と同じく北一輝、石原莞爾、甘粕正彦、滝川教授・・・いろいろ出てきますね。
これもクレームはなかったと思うけど、ただしNHK−BSでドラマ化されたとき、北一輝は架空の大物右翼思想家に差し替えられていた。
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自分はそういう、過去で実在・架空人物が入り乱れる話がとっても大好きなのでなおさら気になるところだ。