ビッグコミックオリジナルからもうひとつ。
村上もとか「フイチン再見!」の最新回では、フイチンさんの作者・上田としこが、「サザエさん」の長谷川町子に、ついに出会うのだが。
ふたりはごく穏やかに互いに敬意を払い、褒め合って別れただけで、おなじみ手塚治虫の(笑)、やはり優しいのだけど激烈ともいえるライバル心や嫉妬心…石ノ森章太郎や水木しげるらに対して…のような、アレのエピソードとは全然ちがう(笑)。
「手塚治虫×石ノ森章太郎展」開催で、二人の関係を描いた作品などを振り返る。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130630/p1
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水木しげる先生、ちょっと「あっち」へ。〜思い出すいくつか - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151130/p1
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水木しげると手塚治虫〜「どろろ」や「火の鳥」にライバル心が見える? - Togetterまとめ http://togetter.com/li/907457
だが。
やはり、「この二人が出会った」と描かれると、なにしろ双方巨人であるのだから、マンガの再現なのに圧倒されるものを感じる。
ルー・テーズとカール・ゴッチ。
ジャイアント馬場とアントニオ猪木。
項羽と劉邦
ラインハルトとヤン・ウェンリー ………
とにかく、そんな迫力と、さらにいえば、まだ戦後も間もないころ、高度成長のとば口に立とうかというところでの、女性の活躍、地位向上、フェミニズム、共同参画……の一挿話としての、長谷川町子と上田としこの活躍でもありましょう。
長谷川町子はすごい人だが、いま思えば「自伝」以外の真実もありそうな…
九州で、経済的にも意識といても近代的で裕福な、新興中産階級の家に育つ
父親が急逝すると、母親は全財産を処分して一家で上京。家の一、二軒は立つその財産を娘3人の教育や文化活動につぎ込む。何しろ娘たちは、菊池寛や田河水泡の弟子なのだ。
財産が無くなっても、キリスト教信仰の影響で一家はいつも楽観的であり、手にした漫画や絵画、編集の腕で姉妹は生活費をちゃんと稼げる職業婦人に。
長女は戦争で夫が戦死するなど、時代の不幸も味わいながら、やはり家族で支え合い「サザエさん」が国民的ヒット。
〆切りの重圧や病気、母親は認知症にもなるなどやはり人生の悲喜こもごもを味わいながら生きていく・・・・・・・・・・・・・
…という話を、少年のころ何度も読んだ「サザエさん打ち明け話」で知ったものだが、照れも笑い話への転化もたくさんあっただろう、長谷川氏の自伝だけではやはり真相にはせまれないのではないか。

- 作者: 長谷川町子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2016/03/18
- メディア: コミック
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- 作者: 村上もとか
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/03/30
- メディア: コミック
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