「オールラウンダー廻」連載と新刊と。
まずはサイン会情報
遠藤 浩輝 @hiroki_endo
お疲れ様です。3月23日の「オールラウンダー廻」8巻発売に合わせて、サイン会やります!詳細はこちらで!
http://bit.ly/zfhhre
(3.31、午後3時から渋谷の書店で)
皆さんサイン会のリツイートありがとうございました。
当日は会場限定で過去のあまり目立たない所で発表したイラストのラフ集みたいな小冊子を限定100冊プレゼント!…まあコピー誌みたいなモンですが、貰って下さい。…ってかiPhoneわかんねー!文字打ちづらい(´・_・`)!
新刊をふところに、作者を修斗の会場で捕まえるというのは、まあ確かに確率は高いだろうが(笑)、やはり正規のこういうイベントでサインはもらうべし。
さて大阪大会は・・・本日は常の入手書店から消えておった(+_+:)
2週遅れだが、前号レビューをしましょう。
われらが廻君はよく考えると、バックボーンに空手、ブラジリアン柔術、柔道・・・をもった連中とアマ修斗でこれまで渡り合ってきた。
しかし、前も書いたが難波は
草も木も納豆もないコンクリートジャングル。
そこには吉本と
死を呼ぶ罠が待つ。廻を迎え撃つは・・・
日本トップ級のレスラーでありながら、タックルでテイクダウンするのではなく、その技術は「倒されないこと」に集中させ、猛烈な踏み込みの速さや筋力を生かしてぶん殴る・・・高橋義生や山宮恵一郎もいち早くそういう路線をとりましたが、修斗となるとやっぱり山本KID徳郁を連想させます。素行不良というところもなんかね(笑)。
そっして。
あとひとりの注目選手は。
じゃっかん、ちがう作品のコマが混じったようだが、つまりはアウサイ系というか。
作品の台詞にはこうある。
「あの子 前はヤンチャしとって ○○組の準構成員やっとたらしいで」
(廻)「そそそそ それって・・・」
「まー 今はプロモーターとして 真剣に格闘技やっとるんやて」
じゃっかん、違う台詞が混じったようだが。
こういうすぐれたオチを書いたあとでは燃え尽きてしまうが、
まだ書き終えてない。
とにかく、トーナメントをやっていくので、どんな風になっていくかは分からない。とりあえず直接のメグルの相手は、大阪市長に刺青の意地をみせたる!!なほうだという。
一方で、例の練習場所のジムにいた老兵・室井も存在感を見せる。
(彼については前回レビュー http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120222/p3 )参照
その戦略的な心理戦と元ボクサーのイメージで、丁寧にジャブを打つような小技が持ち味かと思いきや、ど派手なオーバーハンドで初戦の相手をKO!!
しびれる台詞で〆ます。
さて、おっさん代表vsガキ代表は実現するのか。もう最新号を読んでいる人もいるでしょうが、楽しみ楽しみ。(※繰り返しますが、この次の号が13日発売だった)
- 作者: 遠藤浩輝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/03/23
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 6回
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http://kc.kodansha.co.jp/magazine/index.php/02134
にさりげなく、表紙の画像はあるんですよ!!と意味無くルパン(アバンチュリエ)風に。
サイン会告知では見る影もないが(笑)、主役の意地は8巻の表紙で保った!!!!
「西の魔女」の優しき残酷さ、そして「真っ直ぐすぎるのもいびつ」な馬渡――「鉄風」が動き出した!
奇跡的に修斗「オールラウンダー廻」、女子柔道「からん」そして女子総合格闘技「鉄風」の格闘技漫画3傑作を世に送り出した、「2008年の講談社」だったが、1巻の重版を繰り返すおるめぐの一方で「からん」が物語半ばで無念の退場。そして「鉄風」だが・・・やはり掲載誌がgood!アフタヌーンで隔月連載というのは、話題性や単純に人の目に触れる範囲という点でハンデだった。
だからこの作品もいま、トーナメントに入っているんだけどね。野試合で主人公に負けた空手少女が、なんと空手部の顧問!をコーチにつけて参戦するという展開(つまり顧問のおっちゃんは、穏やかそうな初老の男ながら実にイケイケの過激派なのです)だったんだが、個人的にはいまいちおもろないなー、中休みっぽいなーと思っていた。
だが。
今回。
主人公(石堂夏央)の師匠格・”東の女帝”紺谷可鈴、その人のライバルという”西の魔女”本間三津子…格闘技ファンなら東と西を入れ替えて、容易にモデルが想像つくこのキャラクターが、今回トーナメントに出場もしていないのに、おいしいところをごっそりかっさらっていきました。
彼女は、才能に満ち溢れて、ここまで順風満帆で勝ち上がってきた自分の愛弟子(これも容易に、モデルが想像つきますね)のセコンドにつきます。しかし、相手は主人公のライバルで天才の中の天才・馬渡ゆず子。
無名の高校生である馬渡に、本間の愛弟子は完敗します。
そして、その直後の描写が上手いんだわ。過去のそういう例を回想形式で交えながら、愛弟子敗北の直後。
言葉はテキスト上、やさしい、いたわりの言葉。しかし目は「冷たい目」どころか、全然弟子のことを見ていない。それも意図的な無視ではなく、100%興味が、弟子に勝った馬渡ゆず子のほうにむいているだけ(笑)
試合が決まるその直前も、実力的に馬渡のほうが上だと見抜いた本間は「残念やわ……」とつぶやくのだが、その残念とは「弟子が負けて残念」なのでなく「もう私、この弟子は切り捨てどきだな、残念」というニュアンスなんだわ(笑)。
実はこの人、ナチュラルに弱い人間を見下す…というか見捨てる人。そして愛弟子も、今までは彼女と一緒の視点で他を「見捨てる」側だったから、彼女の仕打ちに文句はいえない。
「徹底した実力主義者。そのために弱者にいたわりが無い」という性格付けをされたキャラクターはスポーツ漫画にはたくさんいるが、みんな結構「調子に乗って」弱者を見下すことが多い。そのほうが複雑でなく描写できるからね。彼女の場合は、実にナチュラルに見下す(見捨てる)という雰囲気が実によく出ている。弟子への慰めや残念がる言葉も、実際のところ本心を隠す建前にも見えない。
本当に同情している「やさしさ」もあるのだが、「本当にやさしいなら、その前提を置かないだろ!」と突っ込まれるようなね(笑)。処刑しまくりながら、その刑死者への墓参を欠かさない…という感じの、かつての中世の女王とか、小国の独裁者なんかにいそうなタイプ。
またそういう人物の表情を、画力がちょっと弱点な気もした作者がなかなかうまくかきわけていると思います。これは個人的な評価ですが。
ちょっと結果的には、オーバーな表現になってしまうかもしれない。だが敢えて、こういう表現を使わせてもらう。
「このまま展開していけば、本間三津子は『内海課長』級に、新しさをもった大物悪役になるかもしれない」。
■馬渡ゆず子の「ブラックボックス」は開くか?
この漫画の初期に自分が書いた感想に、こういう一節がある。
光と影、残酷と無垢のガチンコマッチ・・・新格闘技漫画「鉄風」を読む
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100317#p1
『「このひとたち(※主人公のライバル・馬渡ゆず子とリンジィ・コルデイロのこと)が単純で無垢で善意なのは、そういう性格だからだ」で終わらせても話はじゅうぶん成立するのだが、もう一段の掘り下げがあるか、どうか。これがこの作品のカギを握るような気が、個人的にはしている。いや、そう期待している。』
こんかい、まさにこの鍵がカチャリと開き始めましたよ。上記のように、本間の才能あふれる愛弟子に完勝したのを客席から見た馬渡の友達がつぶやく。
馬渡は、ふだんから格闘技を愛し、練習を楽しくやり続け、そして試合でもまったく普段と変わらないように楽しく闘って勝利した…しかし、それが…
はたして、「真っ直ぐすぎる歪み」とは。おそらくこの意味は、彼女が格闘技的に、試合の中で追い詰められたときにでもないと分からないのではないか。
今回、主人公は闘わない回だったが、それでも久々の大ホームランの回だったと。
ちなみに、単行本の最新刊は5月発売が決定しているそうな。
- 作者: 太田モアレ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/06/07
- メディア: コミック
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「拳奴死闘伝セスタス」第二部トーナメント開幕!!
http://www.younganimal.com/magazine/list/sesutasu/index.html
時は紀元50年代。当時栄華を極めたローマ帝国の中で、拳奴のセスタスは拳闘士として生きていた。そんな中、セスタスの元に皇帝直属の使者が訪れる。彼らによれば、皇帝ネロが開催する闘技大会の地域予選にセスタスも出場すべしという「勅命」が出されたのだった。セスタスは大会で勝利し、真の自由を勝ち取るべく、闘技場へ向かう…!! 歴史の、運命の歯車が再び動き出した…!!
格闘技を通じて海外ファンと交流して覚えた言葉があるが”Underlated”(過小評価)という言葉をよくあっちのファンは使い「過小評価されている選手ランキング」「年間最大過小評価選手」なんて選出も(笑)。金原弘光なんかがよくそこに挙げられていました。
それでいうなら、この「セスタス」シリーズはまさにずっと過小評価が続いている、という気がしてならない。映像化の話とか、漫画ナントカ賞とか、そういう話ってあまり聞かないけど、それに値すると思うのだ。
ローマ史や当時の文化についても、某風呂漫画に負けないほど調べているし、それを作中にもうまく生かしている。暴君ネロを筆頭にした、史実との融合も非常にうまい。精強を誇った軍事国家でもあるローマの中で、「格闘技」が使われるシチュエーションも、「外交団の護衛を兼ねたパルティアの格闘家たちと、親善試合の名目で国家の威信を賭けて試合」とか、ローマ市内でのスパイの摘発とか……、ウソなんだけど、ウソのつき方はかなり上手いと思うよ。
そして、二部ではついに格闘漫画の切り札トーナメントを開催。これも皇帝ネロが人気取りや威信のために開催するというもので、ローマ史においては十分ありそうなこと。おまけに皇帝が罷免しようとしており、それに抵抗するシチリア総督との暗闘も背景にあるという。
そして…なんといっても楽しいのが、そこに集まる拳闘士の多彩ぶりだ。これもホラ、嘘のたぐいだが、当時のローマの富と、国土や植民地の広さ・多彩さを考えれば「なるほど!それならこんなところからも、こんな経歴のやつも集まってきそうだ」と納得させ、期待させる説得力がある。
とくに開会式のシーンで、実にいい演出があって…「バキ」でも語り草の「全選手入場!」ですが、このトーナメントでも氷に閉ざされた北の国から、漆黒の肌を持つ南(アフリカ大陸)から、皇帝直属親衛隊から、そして伝説の拳闘士、全盛期の拳闘、若手のセスタスが…
そんな中、皇帝は激怒します。
「なぜ二人も開会式に欠席しているんだ!皇帝たる余も観覧しているというのに!」
その答えがうまい!
「一人は凶悪犯罪を重ねた囚人で、試合の時だけ解放されるのです。もう一人は”ユダヤ教”なる教えを信じておりまして、金曜日は安息日のために絶対に出てきません」
いかにも古代ローマ帝国らしい多彩ぶり!!
そしてトーナメントが始まった!!
人気も実力も絶頂の、無敗を誇るローマのプロフェッショナルな拳闘士と、素人にしか見えないが、アンドレやチェ・ホンマンのような巨体を持つ、おそらくは北欧あたりからやってきた巨人。
そんな対決がオープニング。
どうですか?やっぱりこの作品、過小評価されていませんかね???
- 作者: 技来静也
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2011/04/28
- メディア: コミック
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予選会を突破したセスタスは、本選に参加すべくシチリアへ向かう。そこにはセスタスが驚くような精鋭が揃っていた…!! 本格的歴史拳闘アクション、待望の第2巻!! 2012年2月刊。
- 作者: 技来静也
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2012/02/29
- メディア: コミック
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(これは第二部に当たります。第一部から読まないと分からない部分も多々あります)