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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

UFCと日本総合、互いに学ぶ点はまだ多し。UFCは「完成形」に非ず。

これがWOWOW視聴なら直後に観戦記も書きやすいが、会場まで行ってしかもその後飲み会をやると(そりゃお前の責任だ)、忙しさやら疲れにまぎれて、すぐには書けないな。その間に新知識や論点が出てくるのはありがたいやら先を越されて悔しいやら。


さて。
日本の格闘技ブロガーの中にも「本場UFC観戦帰還兵」がいらっさる。
( ´∀`)もそうだったりするのだが某ニュース系管理人(技術担当)は当時滞米中だったことを生かして記念大会のUFC100を観戦。ただ、その中でも「格闘技徒然草http://d.hatena.ne.jp/lutalivre/ のゆんたさんはただ体験するだけでなく、その旅行記や「どのように観戦し、会場ではどのようなUFCの進行、演出に注意、注目すべきか」・・・ということを以前から記してきた。渡米体験から「西洋事情」を書いて啓蒙した福沢諭吉みたいなもんだな。
今回ムック的なものも出ていた専門誌とか、完全にUFC日本大会のガイド的なものを目指していたものもあったじゃない。

果たしてその専門誌のガイドって、このレベルに達していたかい?
http://d.hatena.ne.jp/lutalivre/20120220#1329747535
http://d.hatena.ne.jp/lutalivre/20120222#1329914769
http://d.hatena.ne.jp/lutalivre/20120228#1330359274
個人的に一番ありがたかったのは事前のこの紹介。

注目がブルース・バッファーによる選手コール。さすがにこれは通訳なしだろうから、どうコールされるのかを紹介してみる。・・・(略)まず最初に選手のタイプが紹介され(「柔術ファイター」「ボクサー&レスラー」など)、その後、この画像に出ている情報がコールされる。プロフェッショナルレコード・身長・体重(略)・・・
PPV開始1試合目のコールでは、最初に「We are LIVE!」と言うのがお約束。そしてメインイベントでのコールではもちろん「It's time!」。会場観戦する場合は、ブルース・バッファーと一緒にコールするために、どのタイミングで「It's time!」を言うのかを覚えておくといい

メインの場合はまず「Ladies and gentlemen,this is the main event of the evening.」とコールし、その後コミッション(海外の場合は省く)、ジャッジ3名の名前、レフェリーの名前を読み上げる。その後にスポンサー(バドライト等)。最後に「さいたまスーパーアリーナ、埼玉、ジャパン」と会場名をコールした後に「イィィィィィィッツ、タァァァイム!」が来る。多分。その後選手のコール。

セミとメインのみ、最初の選手を紹介する前に「Buffer 180」と呼ばれる切れ味鋭いターンを見せるので、これもチェックしたい

TV中継だとこのコールの時、選手にぐーっとカメラが寄って放送されるのでリングアナの姿は映らない。なのであんなにバッファーが廻ってるとは思わなかった(笑)。これは会場に行ってよかったと思う1点。会場でも基本的には遠いからモニターを見ているわけで、この指摘がないとバッファーの躍動のほうには視点を移していなかっただろう。トクしたトクした。

どうでもいいが、バッファーはUFC100の時、「記念大会だから180度のターンじゃなく、360度のターンをしよう」と宣言し、実行した由。
http://d.hatena.ne.jp/aohoshi/20090715
リアルに「いつもより多く廻っております」だが、360度のターンしたらそもそも無意味じゃん!!!!

あと、バッファーはWWEから引き抜きのオファーが一度あり、かなりの好条件だったのだが、ビンス・マクマホンは「その上に、君がUFCの大会を無断で欠場して、突然うちの会場にサプライズ登場してくれたらさらに上乗せのボーナスを出そう!」と提案したという・・・外資こわいよ!外資ヘッドハンティングえげつないよ!!!
OMASUKI FIGHTのどこかに載っていたのだが、見つからん。あとで探す。



リングアナというのも、カネを使わない気になればいくらでも使わないで済むわけで、ちょっと声のいい内部スタッフをつかったり(パンクラスは一度佐藤光留がリングアナをやったことがあるが、いやなかなか上手かった)、ラウンドガール方式で「名前や顔を売りたい芸人・芸能人さんの卵、もしくはボランティアスタッフを採用します!」と公募でもすれば、CS放送などをしているレベルの団体ならば、かなりの可能性で集まると思う。
それでも、やっぱり活躍して場数を踏んだ人の味わい、個性はやっぱり価値があるのだ。もっともこれは専売特許ではない。バッファー・ターンのように個性を自己複製した個性、持ちネタ化するかどうかはともかく、DREAMのケイ・グラント、DEEPのお宮の松修斗では試合後のインタビュー・・・いわばジョー・ローガンも兼ねている北森代紀、シュートボクシングにも登場するようになった田中ケロちゃん・・・
どれも個性あるし、発声に関する専門的な修行をしている人も、していない人もいるが、あまり関係ないようだ。長く続けて個性や癖が出ない人もいないだろうしね。
バッファーは楽しいが、これは互角だ。

ラウンド開始のゴング(ホーン)は鳴らすべし!つうかなぜ鳴らないの?

これもWOWOWを見ていると、レフェリーの肉声による「let get it on!」を拾ってくれるので気づかなかったが、会場だとほんとうに「あれえ?」という感じで試合が始まる。選手の動きから察知する感じだ。
とくにね、今の時代においては、ハードコアファンのさらにハードな人は試合をモバイルで実況したりリアルタイムの感想を書くでしょ。それはラウンドインターバルの時が多いわけで、視線をオクタゴンからそらしているんだよね。ラウンド開始直後に衝撃のKoとかあったら泣くに泣けんわ。
「格闘技徒然草」ではレフリーにマイクをつけるという方法もある、としている

改善をお願いしたいのが、やはりあのヌルッとしたラウンド開始。始まりのきっかけがわからないので盛り上がり損ねる。ボクシングでもラウンド開始の時にはゴングが鳴るのに。何もないのはUFCだけ(ちなみに、Strikeforceはラウンド開始時にゴング、終了時にホーンが鳴る)。アメリカの観客は気にならないのだろうか。

テレビで見ている時は気にならないのは、レフェリーの「ファイト!」という掛け声が入っているから。でも会場だと全く聞こえない。解決するには、レフェリーにマイクを付けてもらって、開始の声を拾うだけでいい。本場のUFCをそのまま持ってくることにこだわりがあるのだとしても、これをやらないことによるメリットが何なのかわからない。ここだけはカスタマイズしてほしい

うん、カスタマイズというか日本大会だけでなく、これを標準とするべきだと思う。
別にこだわりや合理性があるとも思えないので、英語でつぶやいてみるか・・・

PPV放送であくインターバルの有効活用は

UFCはPPV放送優先で、そのため奇妙に時間が空くのはWOWOW放送でもスタジオに戻ることで分かる。結果的に細切れの休憩が複数入ることになる。これは意図的か偶然か、あれだけの観客のトイレ混雑、売店混雑を避けるためには効果的である。30分の休憩が1回入るのと、15分の休憩が2回あるのではどっちがトイレは混まないか・・・は自明だろう。まあ、客の集中力などにも関係してくるので1回のみの休憩設定もそれは仕方ないか。「いまはチケット手売り成績で出場する内輪うけ選手が出ていますので、その試合をうまく利用してトイレ休憩どうぞ」というのも国内総合では事実だしなー(笑)。


たあそういう余り時間、会場がほったらかしなのはどうだろうかね。UFCはコンテンツはやまほどあり、モニターもずらりと並べてるのだから、次回宣伝でもWOWOW宣伝でも、過去の秒殺KOシーンでも、プロモーション映像でも…何でもいくらでも流せると思うのだけどね。PPV文化の厚みのあるアメリカでは、会場でPPVの間をほったらかされるのがデフォルトで、慣れているのかもしれないけど日本ではちょっと違和感だった。
このへんもいくらでも改善できそうな。


KO敗者を立たせて、レフェリーの勝ち名乗りに並ばせるのは医学的にもやめたほうが

試合後にジョー・ローガンが出てきて、勝者にも敗者にもインタビューするあの形式。これは当初「うわー、負けた人にも言わせるのか。シビアだなー」とか思ったが、徐々に慣れていった。特に判定とかなら、敗者が勝者を称えたり、「俺の勝ちだと思う」と言い張ったりで、非常に味わい深い。あれはインタビューを拒否するのは許されない、というアメリカスポーツ文化が生んだ、いい光景だ。

だけんども。
アンソニー・ペティスがあんなすごいハイキックでジョー・ローザンを壮絶KOしたあの試合でも、ペティスとローザンの両者を立たせるんだよ。んで、「勝者ペティス!」と手をあげるだけ。
その直前に日本で行われたDEEP57で、解説の北岡悟が、KO負けした選手をセコンドが手を貸して立たせるのを、解説席から「立たせるな立たせるな!そのまま寝させてろ!」とかなり厳しい調子で言っていたのである。
格通に連載されていた、リングドクターの医学解説エッセイ「教えて中山先生!」でも、「KO負けの選手はできれば担架やおんぶで運びたい。歩かせもしないほうがいい」と言っていたような。だからたぶん、右のコマの発言は医学的には不正解なのである(笑)。
これは医学的な知見ももう少し調べたいけど、とりあえずKO勝ち選手なら勝利コールも一人でいいし、敗者へのインタビューもカットしてもいいとは思う。まあ、本当に失神KOの時は当然UFCでもそういうことしないだろうし、意識がはっきり戻っているのならメガマッチの時はひとこと聞きたいってのもあるかもしれないが・・・ただ「KO負け選手はダメージ回復最優先で、そのまま控え室に戻っていいよー」を”原則”にした上で、例外を臨機応変にやればいいと思うのだが。


煽り映像や入場について

今回のUFCの演出映像が、日本基準(というか佐藤大輔映像)と比べるとシンプルなものなので、「佐藤演出のほうが過剰なのだ」「煽り映像なんてそもそも不要なのだ」みたいな意見も出ていると聞く。
ただそもそも論でいうと、事前のインタビューや練習映像で煽り映像を作るの自体が日本の格闘技界で先行していて、それをUFCが真似たわけだしね(ほかにも見習うところはあっただろうけど)。また「入場曲」でなく「選手個別のテーマ曲」を流すのも、ZUFFA体制になって始まった。かつてのUFCは、どんな大物でも「ちゃーちゃーちゃー、ちゃーちゃーちゃー・・・」のUFCテーマに乗って両者入場したものだ。
サムライTVを見ると分かるけど、プロレスも70年代前半は「ファンファーレで両者入場」だったみたいね。マスカラスだジェシー・ベンチュラだ、イノキボンバイエだの入場曲発達史はみなさんご存知の通りでいろんなデータもあるので、ここでは略す。
ただ、各種のこの手の演出をUFCがおそらくは”輸入”しているものであるということも心に留めてほしい。
2001年、まだ何者でもなかった男が大冒険で投資したころのホワイトインタビューがかつてここに乗っていた

http://www.geocities.co.jp/Athlete-Sparta/3410/interview.html
今見られない!!おしいなあ!!!
ここで「入場演出を改めて、派手にするよ!」みたいな談話をしていたのだが。

あるいはZUFFA新体制の変化を、アメリカのスポーツバーで見た貴重すぎるレポート。
http://www.kansenki.net/report/01/0223ufc_hine.html

団体:UFC30
■日時:2001年2月23日
■会場:ニュージャージー州アトランティックシティTrump Taj Mahal
■書き手:ひねリン(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)
……UFC中継by新経営体制ですが、一目観ただけで、以前に比べて場内の雰囲気ががらっと変わったことに気付きました(会場そのものは前回と同じなんだけど)。なんかカラフルなライトをいっぱい使ってて、入場ゲートも豪華だし、その上にはでっかいビジョンもあってプロレスみたい。さらにオクタゴンも新しくなってるよう。まあ一言で言えば、前より金をかけてるってことです。
(略)

第五試合 バンタム級王座決定戦 ジェンズ・パルヴァー(5R判定 3-0) 宇野 薫
この試合からテーマ曲が各自のものに。
(略)
第六試合 ティト・オーティズ(1R30秒くらい、KO) エヴァン・タナー

試合前、ティトの特別クリップが長々と流れる。ティトだけ入場シーンもやたら豪華。各色の照明とレーザー、スモークが焚かれる中、たっぷりと時間をかけて花道に立ってからの入場・・・(略)

というわけで2001年、UFC30の段階では第5試合ぐらいからやっと個人のテーマ曲、メインのみクリップ映像があったという貴重な証言なり。
当時からMMAのネット記事を読んで、覚えていた格闘技ブロガーだから提示できる資料(笑)


比喩的な映像を盛り込み、ストーリーを作った映像、インタビューと練習風景、第三者の試合予想などのシンプルなもの―――の比較の是非はまた別というか、好みだろう。自分はこのみとしては前者。、佐藤大輔がまだメディアに出ていないころから、「このあおり映像を作ってるヤツよ、お前は何者だ?」とか言ってた人間でもある。

■ 煽り映像職人よ、表舞台に出て来い。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20040831#p1

ただ、そういう演出は例えば”悪役”イメージや”退屈”イメージなどを増幅し見方を固定させる危険性はある。毒と薬は表裏一体だ。その副作用の一部が「やれんのか!」からあれだけ経っても某選手に浴びせられたブーイングでもあろう(笑)。あれはあれで選手イメージをパロディ的に増幅させた、お遊び部分もあったろうが。

UFCは、終わったあとの「エンディング」に一工夫を

現地でも、PPVが終わりましたとなると、あんなふうにあっさり終わるのかねえ。
花火パーン、炎ぼーーーー!・・・とまでは求めないが、

UFC日本大会、これで無事終了しました。また日本に戻る日を楽しみにしています!」とオクタゴンの中央に出てきたデイナ・ホワイトなりロレンゾ・オーナーなりが言ってくれても、もう一度UFCテーマが流れて〆てもいいと思うし、これの経費はゼロだと思うんだけど。

こうやって考えると、やはり一番優れた興行エンディングは旧全日本プロレスの年末世界最強タッグシリーズ、「クリスマスイブ」を会場に流すというシンプルな演出だね。いまの武藤体制でもやっているのかな。
「客出し音楽」は、現在中小のプロモーションで結局やってるところもやってないところもあるけど、忙しく帰る客と、時間があって余韻に浸れる観客に分かれることで、退場の混雑を緩和する効果もあるのだが。
http://white.ap.teacup.com/shirahu/1971.html

いつもは終えてお辞儀をして追い出し太鼓が流れて幕が閉まるのだが、今日は終わった後に志らくが今回の開催について触れ、今日はこのままお客が帰るのを最後まで見送るとのこと。そうすると、すぐに出て行く人と志らくに挨拶をする人とで別れるのでいつもと違って1階の出入り口で大混みすることがない。落語マンガ「寄席芸人伝」の中に「三段帰しの柳喬」という話があるがまさにそんな感じ。
 開催を決めたことも落語も帰し方も全て粋だった

寄席芸人伝 (6) (中公文庫―コミック版)

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ここの「三段帰しの柳喬」参照。