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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

伊東光晴の「量的緩和」評を、山形浩生がさらに評する。

毎日新聞の読書欄で、経済学者・伊東光晴氏が、ある本の書評という形でフリードマンなどの「量的緩和」論者を全面批判した。
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2011/08/20110807ddm015070003000c.html
(上がリンク切れの時は http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110814/p8 )
非常に異様な雰囲気は感じたのだが、
それが正しいとも間違っているとも論じがたい。

そのとき偶然にも、山形浩生氏が「伊東光晴」に関連した本を多く読み、その感想をブログに記していたので、意を決して質問してみた。
以下、そのやり取り。(コメント欄です)

http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20110830/1314690722

id:gryphon 2011/08/31 22:46
失礼します。
その、伊東光晴先生(※本文中に言及があるので「その、伊東先生」となっている)ですが…最近、毎日新聞の書評の形を取って、ほぼフリードマンを全面否定する文章を書かれておられました
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2011/08/20110807ddm015070003000c.html
「このフリードマン的主張をくりかえす人たち−−その代表は岩田規久男氏−−は、不況から脱出できない責任を日銀の政策、具体的には故速水優総裁に負わせようとする政府の尻馬にのるだけ」
フリードマンを無批判的に崇拝するバーナンキ
「なぜ量的緩和政策は効用がないのか。この本は実証的にその理由を明らかにしている」
私には正直とんと分かりませんが、これらの記述は、どの程度まで妥当性があるのでしょうか? 機会あれば論じていただければ幸いです。

 

id:wlj-Friday 2011/09/01 02:48
「現代に生きるケインズ」に、その批判が出てました。リフレ派が単にお金を刷ればいいと言っている、と思ってるんですね。で、ケインズ様のおっしゃる流動性の罠の下では、お金を刷ってもダメだと示されておるではないか! というわけです。

で、岩田規久男クルーグマンも、もちろんそんなことは知っていて、でもお金を供給し続けるぞと覚悟を見せることでインフレの期待が高まれば、デフレから脱出して不景気からも逃れられるんだよ、と言うのがかれらの主張のキモなんです。量的緩和しても、すぐに引っ込めるだろうと思われたらダメで、「これはいつまでも続けるみたい」と思われるまでやんないとダメなんです。

さらに、バーナンキフリードマン崇拝??!! ちょっと不勉強にもほどがあるので、部分的に妥当なところもありますが、それを選り分ける手間を考えれば一切無視するのが効用最大化の道だと思います。

追伸。もう一つです。その問題の書評を読みましたが、「クルーグマンバーナンキ批判にまわった」と書いて、故にクルーグマン量的緩和批判にまわったのだと思わせる印象操作も悪質なものです。クルーグマンの批判は、バーナンキ量的緩和が全然足りない、という批判です。それをあのような書き方をするのは、学者としてのintegrity をはずれた行いだと考えます。