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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

続・諌山創「進撃の巨人」。「”ミカサ”の命名は某作品リスペクト」「この世界に飛行機が無いことを、どう描写・説明すればいいかな…?」

もうひとつ、諌山創ブログから。
http://blog.livedoor.jp/isayamahazime/archives/5717708.html

Q:ミカサの名前の元ネタって戦艦三笠だったりしますか??

はい、ヒロインに戦艦の名前付けるっていうパクr...文化の継承です

気づいてた人は挙手ーーー! 俺はまったく気づかず。

Q:ここでひとつ質問なのですが、なぜこの世界には空を飛ぶもの(気球や飛行船)がないのでしょうか?
この漫画に出てくるガスは恐らく天然ガスだと思うのですが、ガスを噴射し宙を移動する技術力があれば気球などを開発し巨人が来ない高さまで上昇し世界を観察することが可能ではないですか?
いわゆるご都合主義ではないのならその理由を知りたいです。
  
ブログへのコメントだから、「サルまん」式解決方法(質問のハガキを燃やす)は使えなかったので(笑)、作者は真摯に回答している。これが面白いの。SFってのはこういうところの描写がミソだよね。

真っ当な疑問だと思います、
(略)
たしかにこの世界観の決め事を作る上で航空技術ってのは邪魔になります、
そもそも現実のリアリティラインで考えれば土台無理のある世界観なんですが、
そこにご都合主義と思わせないようにする腕が問われるんだと思います、
ご都合主義だと思われた時点でそこは自分の実力不足です、

その前提を踏まえた上での言い訳...っていうか自分の考えを言わせていただきたいんですが、僕が気球の概念を知ってるのは…
(中略。非常に面白いから是非リンク先を読んでほしい)
そしてこっからが言い訳になりますが、力不足が故に作中で説明できないのが、「存在しない概念が存在しない理由を説明できない」ってことです、

できるとすれば「空を飛ぼうとして世間から馬鹿にされてる発明家がいるらしい」とかの描写を入れるとかですかねえ?......

...........
.................................................................!
あれ?.................それでいい気がするぞ...................
それでいいのか?...........
 
でも、全てを説明するってのもなー...............ちょっと違う気もする.....
けど、らみぃさんが疑問を呈してくれたおかげで、なんか、もっと世界観を掘り下げられるかもしれない....

うーむ、日本で最注目を浴びているSF作品「進撃の巨人」の世界観構築の場に立ち会っているようでどきどきワクワク。たしかに一から世界を創作するようなタイプの作品って、けっこう、現実社会にあるモノや制度、概念から何かを、その世界では「無い」ことにするのが、この世界に無いものを「有る」とするより重要だったりすることもある気がする。

飛行機をとある設定により「無い」ことにして、それが重要な意味を持つ世界と言えば田中芳樹七都市物語」だったし、前も書いたけど、銀英伝では現在風の戦争をヤン・ウェンリーの言葉を借りて「…ボタン戦争と称された一時代、レーダーと電子工学が奇形的に発達していた一時代」と称し、それは例外的だと前置きをおいた上で、三国志的、戦国時代的、ナポレオン的な戦争が宇宙空間で繰り広げられることを自然なことだとしました。

諌山氏が実際に作品に上の独白を反映させるかは分かりませんが、架空世界の創作者がこういうふうにその世界の「ある」「ない」を決めて、それを理由付けして、そして自然に作品内で描写しているんだなあ…という話。

この作者と、作品の「のびしろ」の恐ろしさ

キラ☆キラ!ファンの諌山氏が町山智浩氏と念願の対面を果たした(どこだっけ?)後、諌山氏を気に入ったらしい町山氏が「七人の侍をまだ見てないだって?見るのは人間の義務だよ!!(なぜだ)」とプレゼントしたとかしないとかって話をどこかで聞いて、こちらも「えっ、『七人の侍』もまだ見てなかったの?」と驚愕した。
ああ、氏のブログの過去記事ですね。

http://blog.livedoor.jp/isayamahazime/archives/4420551.html

あと、お別れした後わざわざ電話で、
七人の侍をまだ見てなかったら見なさい、人間の義務だから」
と連絡してくれました、

(勤労、納税、教育、七人の侍の鑑賞)、お恥ずかしながらこの歳でまだ、
守るべき義務のひとつを果たしていませんでした、
帰りに駅前TSUTAYAさんで七人の侍借りようとしたんですが、
....ありませんでした、

いや、別に批判やさげすみではなく、年齢の若さともあいまって「まだこんなにも、色々なものを吸収する余地があるのか…」と戦慄したのよ。
 
戸井田カツヤが4年か5年前、今回惜しくも敗れたがUFCのタイトル戦線まで上り詰めた岡見勇信を評し「彼はレスリングの技術もまだまだ、フィジカルも中途半端、打撃もまだ下手・・・・それでこんなに今でも強い!!今の欠点をひとつずつ克服していったらどうなっちゃうんだ!?」と書いていました。
その時点での長所ではなく短所を列挙したこの描写こそ、当時の「岡見勇信」のすごさを自分に強烈に印象付けた一文でした。
「諌山創は、『七人の侍』もまだ観ていなかった」という情報には、それと通じる逆説的な凄みを感じる。町山智浩を通じて古典・海外新作などの膨大な名映画を吸収した未来のこの作者は、どんな凄いモノを創作するのだろう・・・?

ふたつ、希望と予測を

(1)映画化権を買い付けに来る人が来ても今は待っててください。そのうちタランティーノとキャメロンのどっちかが来るだろうから。希望は後者。

(2)キラ☆キラ!リスナーの氏だがら、そのうち水道橋博士とも接点が出てくるでしょう(要望しなくてもこれ、絶対そのうち自然にどこかで実現するよな)

そういや4巻出たばかりなのに、もう5巻も出たか

人気作なので、原稿が溜まったらすぐリリースしたい(ついでにすぐに連載誌につなげて、雑誌の注目度を高めたい)というのが講談社のハラだな。
4巻では、壁の中で、壁を神聖視する宗教団体も登場。
うん、架空世界で宗教が登場すると、実際の歴史にままある非合理的な社会の流れも描写できて面白いんだ。地球教、ミロク教、カーディス教団(ぜんぶ古いなァ)のような存在感が出てくるか。