スポーツ選手の書いた何気ない文章やひとことに、不思議な文学性を漂わせている・・・という例はままあるが、今回の相撲八百長も、報道を見ると実に面白いわ。
http://news.livedoor.com/topics/detail/5315415/
「立ち合いは強く当たって流れでお願いします」
「了解いたしました! では流れで少しは踏ん張るよ」。
「まっすぐぶつかっていきます」
「途中で投げますよ」
文学だ。
…大相撲の八百長疑惑をめぐっては平成19年、「週刊現代」が、当時横綱だった朝青龍関を中心に八百長が角界で蔓延していたとの記事を掲載。協会と元朝青龍関ら力士30人が発行元の講談社などに約6億2千万円の賠償を求めて東京地裁に提訴し、1・2審ともに「記事が真実であるとは認めれない」として原告側が勝訴。最高裁が講談社側の上告を棄却し、高裁判決が確定している。 また、元板井関(元小結)が平成12年、日本外国特派員協会で行った講演で当時の幕内力士らの実名を挙げ、八百長の存在を主張。協会側が元板井関に抗議文を送るなど、協会側は一貫して八百長疑惑を否定していた。
その板井の書いたこの本、これが本当にすごいの。
- 作者: 板井圭介
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/07
- メディア: 単行本
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相撲界では、八百長相撲の仲介・工作人を「中盆」という。史上最速出世力士は、いかにして、角界の汚れ役に転落していったのか。閉ざされた角界の実態を明かす。
今回のメールでもそうだったけど、星の貸し借りってマンツーマンでやるなら簡単だけど、サークルの中で相殺したり、一部は星、一部は現金で清算したりと本当に複雑なの。
これを回していくのって、なかなか才覚が必要なの。
そして、その星の売買に応じないガチ力士を、実力でねじ伏せることも必要なの。
そのへんをこの「スポーツ見るもの語るもの」では面白おかしく書いていますが、
http://blog.livedoor.jp/vitaminw/archives/52639015.html
確かにこれまでも、朝起きて稽古してメシ食って昼寝するだけでは、いくら何でも相撲取りはヒマすぎるのではないかという指摘はありました。しかし、実際は昼寝も早々に切り上げ、野球の予想、ハンデの確認、掛け金の振込み、負け分精算の打ち合わせ、円高星安などの為替状況のチェック、相撲賭博打ち合わせ…と仕事は山盛り。この忙しさでは出稽古・申し合いなどチンタラしたことはせず、メールで簡単にすませたくなるのも仕方ないこと。易きに流れた連中を一概に非難はできません。
そういうことがこの板井の「中盆」には全て載っております。
電子書籍でも何でもいいから、緊急復刊を希望したいところです。
むかし、板井、大乃国、千代の富士が綾なす人間模様を文章にしたことがありました。
■白鵬新記録で思い出す「千代の富士53連勝」そして大乃国と、板井の著書「中盆」(※真偽不明の異説異伝です)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100919/p2
そして「ヤバい経済学」の人気に再度火がつく?
- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
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昨年、買っておいたんですが、やっと読む機会ができて、読み始めて
びっくり。
いま、相撲の八百長で大騒ぎになっていますが、本書では、第1章で日本の相撲における八百長の存在をデータ分析で証明しています。\(^O^)/
著者は、不正、インチキをデータから見つける研究をしていて、ワシントン・ポストのベタ記事で、日本の相撲に八百長があると元力士2人が告発したというのをみつけ、自分の手法が使えるのではないかと思って、英語相撲専門誌のバックナンバーを15年から20年分くらい取り寄せて、過去の星取表を分析したところ、勝ち負けの不自然さが顕著で、八百長がないと言い逃れるのは非常にむずかしいという結論を得て、論文を発表しています。
なお、告発した2人は、たしか同じ病院で亡くなってるんですよね。外国人記者クラブで会見する直前じゃなかった? しかも2人、同じ日に死んだ? そんなこんなで消されたんじゃないかともいわれましたよね。訳者あとがきにある後日談によると、その論文を発表したらアメリカでは話題になったけれど、相撲の八百長を記事にしていた日本の週刊ポスト編集部に送ったのに返事がない。ほかにもいくつか問い合わせが日本からあったけど、結局、この論文のことは話題にならなかったそうです。
昨年、続編も出版されていた。