http://sankei.jp.msn.com/sports/mlb/100604/mlb1006040942006-n1.htm
2日のインディアンス戦でタイガース・ガララーガ投手の完全試合を誤審で台無しにしてしまったジム・ジョイス審判が3日、タイガースの本拠地、コメリカ・パークに再び登場した。
前日は一塁の塁審だったが、この日のインディアンス戦では主審。ジョイス審判の名前が場内アナウンスされると、スタンドからは一斉にやじが飛び、「We All Know It Was Perfect」(われわれはみんな、あれが完全試合だと知っている)とのボードを掲げたファンの姿も。
ファンはまだ誤審に怒り心頭のようだが、タイガースのリーランド監督は大人の対応を見せた。
試合前のメンバー表の交換は普通、両軍の監督同士が行うのだが、リーランド監督は「こいつを持ってってくれないか」とガララーガ投手にメンバー表を渡し、ジョイス審判の元に届けるように依頼した。
ガララーガ投手もこれを快諾。ホームベース付近でジョイス審判とガッチリと和解の握手を交わし、メンバー表を手渡した。
スポーツマンらしいこの粋な計らいにジョイス審判は思わず号泣。スタンドのやじも大きな拍手と声援に変わった。
この挿話自身が「パーフェクト」だと思う。うまいこと言った。
ベースボールはアメリカの神話である、という言葉が正しいなら、彼ら2人は神話の人物になったのだ。
以前、『記録も最後には「物語」に勝てない』、と書いた(http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100422#p1)。昨日、「最後の1アウトが誤審だった」という話をきいた時点で「この悲劇のほうが、完全試合より価値がある気がするなぁ」と思ったのだが、まあ当人の気持ちもあるしね。こういう形で収まるなら収まるほうがいい。
はてなブクマにこういう一文があった
sika2 こういう、アメリカ人の「かっこつけるべき時にかっこいい言動をするスキル」の高さはなんなんだろうなぁ
これはゼロサムでもあって、あんまりこういう小粋なことをやろうやろうと思っていると、いわゆる「アメリカンジョークをしょっちゅう言ってうざい外国人」になってしまうのだが(笑)、そういう膨大な蓄積の下積みの中で、こういうあるべき場所での劇的な言動が可能になる、とも言える気がする。