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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「目標は『最強』じゃない、ただ闘いたい」…近藤有己の在り方。そして今日、王座統一戦。

http://www.pancrase.co.jp/tour/2010/0429/index.html

4.29ディファ有明大会概要
日時:2010年4月29日(木・祝)OPEN 15:00 / START 17:00
会場:ディファ有明
入場料金:SS \10,000- A \8,000-  B \6,000- C \5,000- 当日券は一律500円増。
主催:(株)パンクラス
後援:ドン・キホーテ、サムライ、STC GROUP 協力:マーシャルワールドジャパン、健康体力研究所、STEPS-M
お問い合せ:パンクラス 03-5725-7051

ゴング格闘技214号に、「14年目の近藤有己。」というインタビューが掲載されている。聞き手はクマクマンボ。

GONG(ゴング)格闘技2010年4月号

GONG(ゴング)格闘技2010年4月号

戦極で連敗し、1年の休養を取った後に復帰、2勝1分の近藤。実際にインタビューを読んでみると、本当に不思議なモチベーションと感覚で今の彼は闘っていることが分かる。

「気持ちの中で燃えるものは無いですね」
「最強はもう目指していません」
「自分も普通の人間だったし、普通の人間でいることをもう受け入れてもいいなって」


北岡悟がかつて、近藤有己を「10年近く、僕たちを食わせてくれた」と表現したことがあった。ここでその激闘史をいちいち紐解く必要も無いだろうが、その責任感やセルフイメージの保持が、心身をすり減らしていったのだ。”不動心”に隠された悩み。


そして「最強は目指さない」と公言する今は。悔いはないのか。

悔しくなかったですね。もともと僕がこの世界を目指したときの目標が、最強になりたいということではなく、ただ”闘い”たかったんです。・・・(※最強云々は)周りの価値観が正しいんだって(僕も)勝手に思ったんでしょうね


ほえ?

一戦一戦をやるしかない。終わった後に怪我がなかったから次の試合がまた出来る。自分のやりたいことがもう一回やれる

それが、今の彼のあり方だという。

同じように2000年代前半を盛り上げてきたミルコ・クロコップノゲイラ、コールマン、あるいはバンナやアーツがトップ戦線から落ちかけたり、あるいは引退が視野に入ることまで来ている。で、それを受けて「なるほど彼らは最近負けている。しかし、最強を目指すモチベーションは変わらず、その輪に入っているではないか。だから尊いのだ」という議論も出てきた。


しかし、近藤有己の「最強は目指さず」宣言は、そんな議論から一気に離れた地点にわれわれを持っていく。当然、聞き手の熊久保氏も「そんなんでいいんですか」みたいな質問を。
Q:プロとしてお金をとって試合を見せる以上、今の近藤は何を見せる。
答え「特別なことをやろうという意識は無い」。
だがそのあとの発想の転換がすごい。

【要約】
・それでこいつにプロの資格が無い、見るの辞めたとなって、チケットが売れないってことになったらまぁそこまで。
・メインじゃなくて第1試合になったらそれでかまわない。
・プロの価値がなくなっても、最近はアマチェア、競技としてMMAが成り立っているからそこでもやれるし。


本人、「近藤は普通じゃないように思われていたので、しゃべる事もわざと特別なことを言おうと昔は一生懸命だった」とか言ってるけど、今ふつーにしゃべってることが一番ふつーじゃねぇじゃん(爆笑)。こんな発想ってあんまり無いわ。


いや、しかし考えさせられる話ではあるよな。
かつて源流をたどれば彼の師匠筋ということになるカール・ゴッチが「勝ちたいという気持ちさえ、戦いには邪魔なのだ」と言ったような相互矛盾と、そこにある、もうひとつ向こうの答え。


「最強は目指していない。ただ、純粋に闘いが好きなので闘う。」


そんな男の試合を見たいかというと、少なくとも俺は今まで以上に見たい。それも矛盾だし、そもそもその人物が最強の証であるベルト(暫定王座)を巻いていて、今回正王者と統一戦をやるというのも矛盾は矛盾だ(笑)。
では禅問答のように、矛盾の向こう側にある答えを、今日は会場で探すことにしようか。

団体という意味 & 柔道でもこうならないか

近藤のこういう発想って、やはりパンクラスという団体・チームであることから生まれたものであるし、結果的に近藤は「パンクラス所属」でよかったな、と感じる。
以前OMASUKI FIGHTで伊藤崇文だったか渡辺大介の「○○勝○○敗」の数字、特に負け数に驚いて「アメリカではこんな戦績はない。負けが込んできたらそもそも試合が組まれず、そのまま消えるからだ」と語っていたことがある。
たしかにそこは野球の「贔屓チーム」と同じく、勝ち負けを超えているものがあるのだろうな。逆に太く短く、全盛期にはギャラをがっぽりと分捕って、全盛期が終わって2、3敗と負けが続いたら団体から契約解除され、その後は引退か都落ちか・・・という流儀だってあるし、そっちがあり方としては正しいかもしれんわけで。


ただ、「僕は元チャンピオンです。年をとって実力は落ちました。でも試合をすると、Bクラスの中ではけっこう強いほうなんだよね。だから出場し続けています」というのは、競技的にいえばまったく正当なんだよね。
どこの世界でもいったん頂点を極めた人はその栄光のまま去ろうとして、王者のまま引退したりする。それでうまく新陳代謝があるもんだけど、本当はこういうのもありだろう。
実は、絡めて言うなら本日全日本がある柔道で本当はこうなってほしいんだよな。あちらは「組織」がそろそろいいんじゃないか、と引導を渡すとかいう説も聞かないではないが(笑)、まあ本人の意向もあるのだろう、けっこう引退は早い。でも「俺を引退させたいなら予選で負けさせればいいじゃん。一からずっと出続けますよ俺は」と。こういう人がいたっていいわけでな。
だって柔道界、「今でも練習で、XXXXさんに勝てる人が誰もいないんですよ!」的な、”引退した人が今でも強い伝説”が残りすぎなんだもの(笑)。もちろん練習と試合は違うし、大先輩への遠慮が相当にある世界だけれども、それにしてもな、と思うのでした。

全日本柔道選手権
16:00〜17:30 の放送内容 NHK総合

全国各地の予選を勝ち抜いた選手ら37人が体重無差別で柔道日本一を競う。復活が期待される鈴木桂治や悲願の初優勝を目指す棟田康幸らがタイトルをかけて争う。

優勝争いは混戦が予想される。去年優勝の穴井隆将は先日の体重別選手権100キロ級でも優勝しており全日本連覇に挑む。過去全日本3 回優勝の実績を持つ鈴木桂治は復活を期待する声に応えることができるか注目だ。過去準優勝3回の棟田康幸も悲願の初優勝を目指す。大会後には9月に日本で開催される世界選手権の重量級代表が決まる。