この前のカール・ゴッチDVDの監修者の一人・Gスピリットで連載を書いた那嵯涼介氏(コメント欄では「七里の森から」氏)と
翻訳ブログ
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/
が、同ブログのコメント欄などを通じてやりとりをしている。
非常に実り多いものになりそうだと期待している。
一番の争点はキャッチレスリングのサブミッション(関節、絞めを含む総じて降参を奪う技)は柔術から学んだものなのか、昔からあったものが一時衰退(禁じ手化)し、柔術で”復古”したのか?である。
今回再度、翻訳ブログでは根拠を提示しているがこれが面白い。
実は前回、ここのところを最後に紹介したかったのだが構成を失敗した(笑)
一度紹介したが、再度紹介
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/23_94a1.html
〜【前部分略】
(3)タニ・ユキオをはじめとする柔術家が異種格闘技戦を挑んで、絞め技、関節技でギブアップを狙うという戦い方を始めた。
(4)それまではプロレスにサブミッション・レスリングという考え方がなかった。
(5)プロレスは第一次大戦(1914-19)でいったん廃れたが、戦後復活するときに、対柔術戦からサブミッションを取り入れた。
(6)ビリー・ライリーのスネークピットというジムで、グレコローマン、フリースタイル、柔術の三要素を取り入れたレスリングを教えた――というのはだいたい正しいだろう。
(7)しかし「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」とは、スネークピットのレスリングではなく、フリースタイルのことである。
(略)
私が特に強調したいのは上の(3)(4)あたりである。20世紀初頭の英国のレスラーたちが関節技でギブアップを狙うという戦い方を知っていたのならば、体重が57kgに満たない「ちっぽけなジャップ」が連戦連勝できるはずがないではないか。
この、証明のしかたがいかにもシャーロック・ホームズ流(笑)
覚えているでしょう、銀星号事件(白銀号事件)。
「何か不審な点はありますか?」
「その夜の、番犬に注意するべきですな」
「番犬はその晩、何もしませんでしたが?」
「それが奇妙なのです」
あるいは司馬遼太郎のこの言葉。
「後醍醐天皇や楠木正成の思想に、南学(宋学)の影響がある、いやそんな証拠が無いと言った議論がある。しかしへんな話で、彼らの行動、それ自体が証拠なのだ」
「キャッチレスリングに関節技は当初(広く一般的に知られる技術としては)無かった。60kgたらずの日本の柔道家に、次々と極められたこと自体が、その証拠である」
これはシンプルなようでいてなかなか説得力がある気もするわけだ。
もちろん、那嵯氏は各種の資料を持っている。あとは、前にも書いたけど「伝播の具合」、つまり「ある・ない」の定性論から「それは○○%に知られていた」という定量論になる。
そういう方向に発展していくとおもしろい。
もちろん、今度のカール・ゴッチDVDを楽しむ一助にもなろう。
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