中央公論が近くの本屋や図書館に無い関係で、すぐに読むことができなかったが、昨日読んでみて驚いた。
ひとつは「新書特集」、みんなが選んだ新書ベスト30という企画だが、それより凄い話は、既に終息したような感じもあった。
「TBS朝ズバッ!不二家報道問題」
についてだ。
やっぱりヤメ検弁護士というのは恐ろしいもので、一つ一つ相手の逃げ道をつぶし、網を張り、そして最後はTBSを「質問にはお答えできません」と白旗を揚げるところにまで追い込んでいる。
答えないと開き直れば、そりゃ捜査権は無いからそれ以上はできないだろうが心象は真っ黒だし、説明責任、情報公開、コンプライアンスに関して他者を批判しているテレビ局としては都合が悪い。
今年の株主総会でこの話が出てくるのかな。
毎回、「法廷ミステリーを読むような」という褒め言葉を使うけど、最初は「不二家のどこが悪かったのかを検証する」つもりだった郷原氏が、証拠を見る中でTBS報道の不自然さに気付き、検証をする中で動かぬ不正を発見するところは相当にスリリングだ。ぜひとも一読してほしいし、宣伝してほしい。できればこのエントリにブックマークをつけてほしい(笑)。
あの一連の報道を、引用動画で再構成したすばらしい「アームチェア・ドキュメンタリー」が以前はあったが、今は軒並み著作権がらみのクレームで消えているようだ。
独自批評映像と引用映像のバランスしだいでは、合法的なものになる可能性もあるのだろうけど。
どこか、ルポライターや野心的なドキュメンタリー映像作家が追っかけてくれないかな。
それから、ぜひともこの件に関して意見を聞きたい人がいる。TBS報道局長・金平茂紀、みのもんたと競演してコーナーまで持っている(笑)、下村健一、そしてキャスターを退いたものの、時々出演している筑紫哲也氏。いずれもメディアリテラシーに対しご高説を語っていた方だから、報道部の番組ではないとはいえ自局、もしくは関わり深いチャンネルのこの問題についてのご意見をぜひ聞きたい。
- 作者: 金平茂紀
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/07/22
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
報道は何を学んだのか―松本サリン事件以後のメディアと世論 (岩波ブックレット)
- 作者: 河野義行,下村健一,森達也,林直哉,磯貝陽悟
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/10/05
- メディア: 単行本
- クリック: 10回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
西村幸祐も、TBS批判の特集ムックと言うのは目の付け所がいいとしても、
TBS「報道テロ」全記録―反日放送局の事業免許取り消しを! (晋遊舎MOOK)
- 出版社/メーカー: 晋遊舎
- 発売日: 2006/12
- メディア: ムック
- クリック: 92回
- この商品を含むブログ (33件) を見る
感情的な文章をかきつづるようなライターじゃなくて、郷原氏の記録をもっともっとクローズアップしてほしい。
筑紫哲也発言批評を新書にしたことがある文春新書に、郷原氏がこの記録を残してくれないかな。
とにかく記録に残すこと、その記録をクローズアップすることだ。
【補足】
http://d.hatena.ne.jp/kadocchi/20080120
経由の情報。J-CASTニュースが長文インタビューを聞いている
郷原信郎教授インタビュー(上)TBS「朝ズバッ」不二家報道 「捏造は間違いなくあった」
http://www.j-cast.com/2008/01/13015499.html
郷原信郎教授インタビュー(下)コンプライアンス崩壊TBS 会社自体が「死にかけている」
http://www.j-cast.com/2008/01/14015500.html
ほんとにこれ、ドラマ化できないかね。