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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

モンテ・コックス語る。「裏リングス史」のキーパーソン・・・(kamipro)

副題 米国格闘技は「底辺」でも世界を制覇する?その1


もうひとつ、kamipro話。むしろこのネタが最新号の白眉やもしれん。
「7人のUC王者を生んだ男」と題し、
パット・ミレティッチ軍団をマネージメントしている代理人兼プロモーターのモンテ・コックスにインタビューした記事がある。



モンテ・コックス


まーったく、日本の、ふつうの、格闘技ファンの間では無名の部類に属するだろうが、1999年ごろから見ていたファンの、ごく一部の間では知られている。
というのは・・・・・・もう歴史、歴史だから構わず書いておきますがね、とにかく21世紀になって格闘技を見始めたファンには信じられないことだけど、「リングスの試合はリアルか、リアルでないか?」というのは、本当に論争の的だったの。
バウレビの方なんかも「リアルである」という前提で大論争してたの(イビジェカフェ過去ログ参照)。俺なんかはその手前でヤオもヤオでないもさっぱり分からなかったから、ぼーっと見てたんだけど(笑)


んで、そのさなか、KOKが始まったおりにだ。
米国で当時活躍していた格闘ジャーナリストのエディ・ゴールドマン氏が、インターネットラジオの草分け「eyada.com」にて、当時まだまだメディアの露出機会が無かった格闘家を次々読んでトークしていた。

当時はあっちの選手も「翻訳して伝える人が日本にいるかも?」なんてことは微塵も考えなかったのでさまざまにぶっちゃけたトークをしまくっていた(それはそれで当時は正しい認識だった)のだが、ここで彼らにとってはバッドニュースなことに、とんでもないヒヤリング力と翻訳力、そして文章力を持つ「Poet」さんという方が当時の格闘ネット界で活躍していたのでありました(笑)。
現在、海外サイトの翻訳、速報という文化潮流が格闘技ファン界に定着したのも、氏の功績によるところが大きい。



彼が、eyadaの選手トークをまとめたものが現在
http://www.geocities.co.jp/Athlete-Sparta/3410/interview.html
に残っていて、どれも時間の経過に耐えうる貴重な読み物になっている。時間のある折にでも、ぜひ読んでいいただきたいのだが、本題に戻ろう。
この中で2000.8.14の放送に、モンテが登場しているのだ。そして・・・・・・こう語った。


http://www.geocities.co.jp/Athlete-Sparta/3410/matt8_14.html

(Eddie) 次の質問。何故リングスに協力しようと思ったのですか?
去年の段階では、リングスは良い評判を持っていなかったと思いますが。


(Monte) 最初は、ただ、KOKトーナメントに選手を何人か送るように頼まれただけなんだ。
正直、ルールを見た時はNHBの試合に比べてつまらないものになるだろうと思っていた。
しかし、実際に日本に行って、試合を見てみたら、サブミッションが重視される、とても面白いスポーツになっている事に本当に驚いた。予期していなかった事だけど、私は本当に好きになったんだ。それから、ミスター前田と5、6回ミーティングを持った。そこで私はワークに関して、彼らの過去のやり方に対して懸念を表明した。巻き込まれたくなかったからね。彼らは、そういうやり方から脱すると言った
私が知る限り、今では、そういう事は全くない。選手達がみな怪我をしているだけで、違いが分かるだろう?
彼らは以前は毎月戦っていたのに、今では、そんなことはできないんだ。
滑川が怪我をし、金原も怪我をし、田村も病院に行っている。山本は最近、9月の試合からはずされた。まだ怪我をしているからね。今では、絶対にリアルなんだ。これが、私が協力する理由だよ。

まさに、超ドレッドノート級……略して超弩級の衝撃が、当時の格闘ネット界を走った。
内部証言としてはその前にヤマケンが「本当の戦いじゃない」とかちょっと語ってはいたのですが、「本当の戦いとは、ロープエスケープが無い試合のこと」とか多少の軌道修正もあったからね。これは米国向けのトークだったから、やっぱり率直過ぎるほど率直でしょう。
しかし、これにしても本当に普通のラジオであったら、米国在住の人が「自分はたしかに聴いた」といっても検証可能性が無かったから無視されたでしょうな。eyadaは情報の流通に革命が発生していることの象徴だった。

そしてこの号で、当時はリングス親衛隊だったkamiproが、それもその親衛隊長の堀江ガンツ氏・・・幕府末期の新撰組みたいな存在だった同氏が(笑)、この一件を確認している。

−−リングスはもともとプロレス団体がルーツで、ルールもMMAとは違うルールを採用していましたけど、どうしてリングスに選手を送ろうと思ったんですか?


コックス たしかに当時、リングスはアメリカの格闘技関係者の中ではあまり評判が良くなかったし、私自身、「なぜ、プロレス団体に協力するんだ!?」なんて言われたさ。でも、私が選手を送り始めたのは『キング・オブ・キングス』(KOK)というトーナメントだった。この大会を開くに当たってリングスは、全試合完全リアルファイトを約束してくれた。だから私も協力することにしたんだよ

−−そういった話し合いがあったんですね。


コックス そして実際、『キング・オブ・キングス』は間違いなくリアルファイトだったよ。(105号61P)


堀江ガンツ氏はどんな思いで、この発言を聞いたのだろうか。
同誌および堀江氏本人と前田日明との、現在の関係を考えれば「ディス」の一貫という評価をする人もいるだろうが、むしろKOKとそれ以前の分離こそが、お互いの価値を高めることだという別の意味での「忠」が、かつての親衛隊長にはあるのかもしれない。


彼は一度、「聞かれる側」になってのロングインタビューに答えたことがあって、そのムックを自分は持っているのだが、ちょっとどこに行ったのやら。あれば、後で紹介しよう。



さて、ここまで書いたが、本題たる「モンテ流の選手育成法」、「アメリカでの格闘技の『底辺』拡大」については書くスペースがなくなりました。また、後日に。

=つづく=