明日、次号が発売される前に。
「サンデー毎日は中野翠のコラムと高橋春男の漫画しか読むところが無い」とは「WILL」の花田編集長がつとにいうところだが、その中野翠氏が、ホリエモンに対して再び書いている。
以前の彼女の印象深い言葉はhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050309#p4 の通り。
今回(連載第592回)のコラムから引用する。
なぜ私は堀江貴文なる人物に興味がもてなかったのだろう。
たぶん・・・そのポイントは欲望の形だったと思う。「金持ちになりたい」「有名になりたい」「モテたい」「天下をとりたい」・・・といった欲望はあまりにもポピュラーというか、凡庸というか、陳腐と言うか欲望の形自体は世間一般のそれと少しも変わるところがない。エッ!?と意表をつくところがない。ズレやユガミに乏しいのだ。世間ではそれを簡潔に「わかりやすい人」と呼ぶ。
欲望の形自体は世間一般と変わらない。ただし、中には形は同じでありながら、その強度や大きさが並外れている人もいる。つまり、規格以上に強くて大きい、世間と相似形の欲望−−堀江貴文なる人物は、私にはそういう欲望の人に見えた。そしてメジャーな人気を得ることが出来る人というのは、たいていそういう欲望の人なのだ。
(中略、総選挙の話題に触れ)
彼は、たぶん・・・自分がバカにしていた人たちから愛されていることを実感し、驚いたと思う。
彼の中で少しばかり何かが崩れて行ったと思う。選挙運動の中で彼は涙を流していた。あれ以来、どうも彼は涙もろくなったと思う。彼のような人間にとっては、きっと、それは悪いことではなかったんじゃないか?
ところでホリえもん粘る。
よく、「秘書や地方議員からたたき上げの国会議員は実にしぶといが、官僚やインテリ上がりの国会議員は簡単に落ちる」と東京地検特捜部検事たちの見解は一致している。
まあ、佐藤優のような例外もいるが。
しかしホリえもんは、いまだに供述調書を一枚も作れないほど検事の取調べに徹底抗戦しているというではないか。
ある意味、悪のヒーロー、トリックスターとしての矜持もあるのだろうか。
正義、法とは別の・・・仮称しよう、「男道」において、
こういう事件でパクられた際、取調べに素直に応じ、自分の不利有利に関係なく、真実を包み隠さず述べるのが男なのか、国家権力に屈することなく徹底抗戦するのが男なのか?
これは人々によって、受け取り方は違ってくるだろう。
前から予告だけ書いているのだが、この「大衆の愛」をめぐる欲望と葛藤は、最近のナベツネ、渡辺恒雄読売社長に関しても読み解く大いなる鍵となると思うんだよ。
いずれ時間があればね。
江川紹子コラム
これも同じ号のサンデー毎日だが、「自分はホリエモンに好意的だった」という事実を認めている。
「プロ野球参入を目指した時には、彼の参入を拒む従来の体制の、不透明で旧態依然の権力機構ぶりに義憤を覚えた。(略)そうした不透明な業界に風穴を開け、何らかの刺激をもたらすかもしれない、という気持ちもわいた」。