http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1680506/detail
反イスラムデモ展開も=預言者漫画問題、波紋広がる―デンマーク
【コペンハーゲン1日】デンマーク紙ユランズ・ポステンがイスラム教の預言者ムハンマド(マホメット)を風刺する漫画を掲載した問題で、コペンハーゲンの警察当局は、大規模な反イスラムデモが展開される可能性があるとみて、警戒を強めている。(写真はユランズ・ポステン紙が入っているコペンハーゲンの建物前で警備に当たる警察官)警察高官は1日、「複数のグループが特にインターネットを通じてデモを呼び掛けている」と指摘。市中心部の市役所広場では、右派の若者がデモを計画しているとの噂があるが、これまでのところ警察にはデモの許可申請は提出されていないという。
同高官は、警察がどのような対策を取っているかは明らかにしなかったが、高度な警戒態勢を敷いていると説明。「事態の推移を注視している」と語った。リツァウス通信によると、デモ隊は聖典コーランを燃やす計画を立てている可能性もあるという。
ユランズ・ポステン紙は昨年9月30日、ムハンマドを題材にした12編の漫画を掲載。時限爆弾のようなターバンを巻いたムハンマドが描かれている漫画もあり、1月に雑誌に再掲された。
イスラム教では、ムハンマドを肖像化することは、冒涜と考えられている。デンマークとイスラム諸国との外交問題にまで発展し、同国の国旗が燃やされたり、デンマーク製品の不買運動が展開されたりした。
コペンハーゲンとオーフスにある同紙の事務所には31日、爆破予告があり、職員が一時避難する騒ぎになった。〔AFP=時事〕
2006年02月01日23時06分 時事通信社
このトピックは、大問題を抱えている。
前にも書いたかな、私の少年時代「まんが世界のナントカ」のたぐいには、普通に「歴史上のえらい人」の一人として、ムハンマド(マホメッド)が登場していた。当時としてみれば、西洋史に偏らないチョイスだったのだろう。
ところが最近はというと、「逆光で顔が隠れている」とか「アングルで見えない」という処理をされていたのだ。
コロンボの「うちのカミサン」かにこにこぷんの「くいしんぼうのクマ」か、はたまためぞん一刻の惣一郎さんかという処理の仕方だが、唯一といっていいムハンマドの伝記映画「メッセンジャー」「ザ・メッセージ」が、杖の先などをわずかに映す(まわりの「リアクション」でムハンマドだとわかる)という処理をしているという。
しかしだ。そもそも、なぜムハンマドを漫画化しちゃいかんのか?
それは同氏が創設したイスラム教が、偶像崇拝を禁じているからだ。
今はそれでタリバンや一部ワッハブ派のように、人形や映画を禁止する異様な形になってもいるが、当時にしてみれば、実はきわめて合理的、というと変だな、要は作られた彫刻や絵を物神のように崇拝するという別の非合理から解放する、知的な営みでもあった。
キリスト教徒との論争史では、しばしばイスラムはこの問題で圧倒、悔しがったキリスト教の中でも「偶像禁止令」を出したやつもいたっけ、たしか。
山本七平「空気」の研究」の冒頭では、これを「臨在感把握」と名づけ日本人の感覚と比較し、少し論じている。イスラエルの遺跡から出てきた人骨に「のろわれた」日本人と何も無いイスラエル人の話だった。
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さらにしかしだね、ということはそもそも、この禁忌は一宗教内部の話なのである。
その教義に基づき、その信者が行うのは何も矛盾は無い。では「他者」が行う場合については?
「人が嫌がることはやらない」「異文化には寛容に」・・・・・であるから、
◆非イスラム教徒は、ムハンマドを漫画や絵にしてはならない
◆イスラム教徒は、非イスラム教徒のムハンマド漫画化にクレームをつけてはならない
のどちらか?
また、漫画とは別に、文学によって預言者を風刺したら?
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「文句をいうな」「文句をいうなって文句をいうな」「文句をいうなと文句をいうなと文句を言うな」・・・という子どもの喧嘩っぽくもなってくるのだが。