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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

(最後まで書きました)美濃輪育久と佐藤光留−−馬鹿について考える

タイトル露骨すぎ。
http://www.nikkansports.com/ns/battle/p-bt-tp0-050712-0002.html

・・・美濃輪育久(29=フリー)が11日、武士道8(17日、名古屋レインボーホール)に向けて試合前恒例の野外公開練習を行った。3月の多摩川、5月の東京・品川区の海岸に続き、今回は東京・稲城市の山の中。斜面を走って上り下り、木の棒を使ったパンチ練習、地面に寝転がり1人スパーリングと、異様な光景が繰り広げられた。

 美濃輪の自然の中での練習には理由がある。プロレスラーを志すきっかけとなった漫画「キン肉マン」だ。1度命を落とした登場人物のラーメンマンが、自然のパワーでモンゴルマンとして復活したことに感動し、自らも実践・・・

「天然ボケは、いつしか自分でも気づき、なぞるようになる。まことにはかないものである」とナンシー関も書いているように、さすがにこれは自分の中でもネタとしてやっているものであろう。そう信じたい。

さて、この種の美濃輪おもしろ特訓は今回本題ではない。
美濃輪と佐藤光留に関して重要なのは、トレーニングではなく試合相手・・・美濃輪はヘビー級のキモ、光留はこの前戦った160kgの小椋誠志、つまり体重差の有る無差別の闘いに打って出ているわけだな。

もともと、制度としての無差別級がパンクラスに残っていることで分かるように、あの団体のDNAの中にこの指向が含まれていることは明白だ。北岡悟も「メガトンとやったのは僕が先です」とか自慢してるし、近藤有己も「路上で彼女を守るとき、相手の体重何キロ?とか聞けないじゃないですか」といって実際にジョシュ・バーネットとの熱戦を展開した。

しかし問題は、例えば美濃輪育久は逆に「体重差を覆す闘いが俺のテーマだから」といって、このぶんだと武士道GPトーナメントは辞退しそうな勢いなのだ。

こういう本末転倒を、どう評価すべきか。

基本的には、競技というものは成熟していけば、目標設定はピラミッド型というかシンプルになり、すべての人間やチームは、一つの頂点を目指していくことになる。
高校野球なら優勝旗、プロ野球ならリーグ優勝から日本シリーズへ。


でも、たとえばここで、「俺たちはリーグがどうとか、優勝なんてチンケなことには興味ないぜ!野球つうのはよぉ、ホームランこそが醍醐味なんだよ!!俺たちは勝とうが負けようが、ひたすら本塁打を打つか打たれるかのゲームを目指すぜ!」という球団があったらどうなるであろうか。「真剣」ではあるだろうが、べつの方向に向かう。


・・・・実は、こういうのも「アリ」なんじゃないかと思う。
競技として不恰好なものになるのは間違いないが、格闘技が1対1で対峙するものである以上、その種のベクトルを敢えてバラバラにすることで、興行の幅を広くデザインすることは大いに可能だろう。ZSTスマックガールが「うちは真剣勝負のプロレスであって、競技は修斗さんに任せる」とか「真剣勝負なら何をやっても許されるのか!」というコメントやキャッチコピーを出しているのもこういうことをいいたいわけであろう。

しかし半面、こちらにかまけて同じカテゴリーの中で頂点を目指さないのは、「降りた」のと同様の状態であることも事実だと言わざるを得まい。
特に佐藤光留は、北岡悟言うところの「かっこ悪い」井上克也に一方的にKOされ、調子づかせた戦犯の一人であるし、俺がIsmのだめな点の象徴・原因であると思っている「よそに出稽古をしたことが無い」ということを自慢するような選手だし。

かといって試合がつまらないかというと面白い(キャラクターはその10倍面白いが)ので、ミドル級戦線・ランキング争いから「降り」て、独自の闘いのベクトルを築くというのは間違いでないのかもしれない。
これ、前にも書いていたな。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050202#p1

逆に考えたんだが、「ミドル級の中で、マジメな戦法や技術で闘うやつ」とはむしろ試合を組まないほうがいいのではないか。彼のパンクラスでの存在感は、野球で言えば先発の9人メンバーではなく、むしろ恐怖の代打としての本分にある。おいおい、「トラッキーの着ぐるみ」はないだろう・・・・だれも言っとらん。

いつかまかり間違ったときには、美濃輪育久vs佐藤光留も実現するかもしれぬ。
佐藤光留が、パンクラス入団前、誠ジムでプロレスをしていたとき時の美濃輪のサイン(彼のサイン第一号でもある)を貰ったのは有名だが、おんぶおばけ殺法で破竹の勢いだったネオブラ覇者・中西裕一をザリガニ・スープレックスhttp://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2004/0622/itv/sato.html参照)などを駆使して、微妙な判定ながら下したとき(俺も微妙な判定と思うが、微妙な判定に持ち込んだだけで凄いことだ)に「やめていった人の名前を出していいのか分からないでけど・・・バスターで持ち上げたとき、美濃輪さんとの練習を思い出しました」と試合後にコメントしていた。

人に歴史あり。