「外交と歴史−日中あつれきの底に流れる主観性の増長」がタイトルでたいへん味わい深い。
・・・現実の国益をめぐって対立する相手に向かって、たえず歴史認識を外交カードとして駆使しながら、最大限の利益を得ようとする姿勢にはどこかおぞましさがつきまとう。
歴史解釈の筋書きと因果関係の選択権を独占しながら相手を屈服させようとする外交は、90%以上の勝利を求める点で「砲艦外交」に限りなく近づくからである・・・
これは日本や中国に向かって書いた言葉と考えるより、「歴史家」から「政治家」へ当てた諫言であると読みたい。