ようやくハッサンの話が出来るな。
私はサムライTVに加入しているし、修斗代々木大会を見るためにJスポーツにも加入したのにわれながら勿体無い話だが、WWEをほとんど見ていない。
しかし、たまたまTVをつけていたら流れていた、WWEの新悪役?のプロモーションビデオに、目をまん丸にしてしまった。
http://blogs.dion.ne.jp/allaboutkronic/archives/265860.html
モハメッド・ハッサンのCM。911以後偏見のためWWEデビューも 出来ないと告白。マネージャーの出張りがアラビア語でアピール。 すごいプロモ。一言も言葉にはしてないがイメージだけはアルカイーダ。
私が見たのはこんな感じだった。(全部記憶なので脚色アリ)
ガラガラに空いたスーパーを舞台に、ハッサンがこう吼える。
「これは俺の叔父がやっているスーパーだ。彼は自由の米国に憧れ、
裸一貫で働いてこのスーパーを持てるまでになった。だが、見ろ!!
911以降のアラブへの偏見で、お客は全然寄り付かなくなっちまった。
お前らはアラブ系への偏見を捨てていない、俺は怒っている」で、謎のマネージャーが字幕無しでアラビア語?をまくしたてる。
もうひとつは飛行機内で
「この飛行機に乗るだけで、アラブ人は徹底的に取調べを受ける。俺は怒っている!!」
で、謎のマネージャーが字幕無しでアラビア語?をまくしたてる。
しかし、このプロモを見ていると、どう考えてもハッサン選手の言っていることのほうが正論と感じるんだが(笑)。
これが悪役の宣伝になること自体、いまのアメリカのある風潮を示しているのではないかねえ。
彼はデビューしたのかな?雑誌ではあまり見ていない。
WWEもトンデモないキャラづくりをしたもんだと思うが、何しろ日本人のケンゾー・スズキはあと一歩で「ヒロヒト」というリングネームになるところだったんだから。惜しい(笑)。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20040524#p1
それに、1980年代のプロレスキャラクターはもっと不謹慎だった。
いや、そもそもプロレスのキャラクターはご存知の通り、よく考えたらいいのかおい、というものばっかりでしてね。
そのへんを、フレッド・ブラッシー自伝などをもとにいろいろ書いてみたい。
で、プロレス界の「民族とキャラクター」を考える場合、必読の文献が別冊宝島EXで発売され、その後単行本になった「異人たちのハリウッド」という本だ。
これも、「民族という概念を考えずにハリウッド映画は見ることが出来ない!」という視点から編集されたアンソロジーで、おそらく町山智浩氏が企画したんだと思う(いや、手元にないから確証はないけど多分そうだろう)。
越知通雄氏らが寄稿したこの中で、なぜか場違いにプロレスのことを書いている(笑)のが、われらが流智美であった。しかし、これが彼の原稿の中でもピカ一の傑作。
流氏は国際プロレスを手伝って深夜の移動バスに同乗し、プロモーターが差し入れたビールを次々に飲み干して大騒ぎするレスラーを見ていたのだが、酔いが回るにつれ、外人の中ボスみたいなレスラーが、ツアーに一人だけ参加していたメキシカン・レスラーのロペスを侮辱し始める。
そして、窓の外から見えた浮浪者を、その中ボスが「ロペスじゃねえか。おーいロペス、どこへいくんだ」とからかったとき・・・
「ヘイ! メイク・アライブ・パーティー!(パーティをぶち壊すな) さもなくばこの車から降りろ!!」と鋭い声を飛ばした男がいた。
その男こそ誰あろう、レフェリーとして帯同していたこの鉄人ルー・テーズでありました!! ベベベン。
この後の流氏の一節がシビレル。
テーズに逆らうということは、腕を折られるということだ。
中ボスはメキシカンに謝罪し、事なきを得たのでした。
「電車男」風に言うなら「カコイイよテーズ」といったところだ。
揉め事を収めたテーズに若き流氏がお礼を述べると、テーズは「こういう光景は何度も見てきた」といい、自らの見聞した話を流氏に教えてくれた・・・・民族の問題は、いつもプロレスにつきまとうというのだ。
「リキドーゼンがジャパニーズでなくコリアンだというのは、私たち全員が知っていたさ。だけど、我々の口からそれが漏れることは決してなかったはずだ」
「ゴーディエンコだってエストニア生まれだけど、『カナダの岩石男』で通したからね。カール・ゴッチだってベルギー人だけど、彼の技がジャーマンスープレックスじゃなくて『ベルジャン・スープレックス』じゃしまらないだろ?」
彼は、その日の揉め事も含めてこう総括する。
レスラーは、やっぱり助け合うべきだよ。
なにしろ、地球上に3千人しかいない、特殊な職業なんだから・・・しかし、それだけ本当の意味での自分の民族に関係なくキャラクターを作れるということは、逆にいえば、リング上では毒々しいまでに民族や、各種ギミックのキャラクターを演じなければならない、ということだ
ひとまず読みきり。残りはあとで。