「できるかな」インド取材がすさまじい。インドのおかま「ヒジュラ」の、聖俗 尊卑が入り乱れ混沌とした世界をみごとにギャグにして描いている。
しかもすごいのは、インドのその宗教性や因習性に起因した、神秘性あふれるヒジュラについて、新宿三丁目のゲイをギャグにする筆致の延長線上で描いてしまうところだ。
(サイバラじゃなかったら、彼女のオカマネタ・ゲイネタって差別
のレッテル張られて怒られかねないでつ。人徳というか何と言うか)
かつてダンナの鴨ちゃんを主人公に
「インドに行った。でも全然、人生観が変わらない。どうしよう」
とインドへの先入観を笑ったように、彼女にとってはヒジュラは全然わけが分からない「あっち側」であるのと同時に、欲もやさしさも馬鹿さ加減も日本のあの人この人と同じ「こっち側」の範疇にも入るのだろう。
おそれつつも差別し、差別しつつも敬うインドの凡夫大衆も、また彼女のギャグの中では善悪に関係ないマヌケさをさらし、愛すべき登場人物となっている。インドと彼女の真っ向勝負、いまは優勢のようだ.