※下エントリに移動してます
漫画&映画「イキガミ」は星新一作品の盗作だ…と星の娘さんは思っている、らしい
※「よつばと!」論執筆中(http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080913#p4)という理由で(笑)、基本的に格闘技関係はお休みです。
ですが気になる話題だったので、これだけエントリを作ってみました。
「イキガミ」は星新一「生活維持省」のパクリ?
http://www.fujiokashin.com/diary.html
藤岡真氏の日記経由で
筒井康隆日記を見る。
http://shokenro.jp/00000064
藤岡氏の紹介趣旨は、自分のことに触れた前半なんだが、後半のほうが面白い、というか興味深い。まず行って、読んでみてくれ。
読みましたか?ああいいや、今文字起こししたので引用しよう。
筒井康隆「笑犬楼大通り 偽文士日碌」より
……星新一のお嬢さんの星マリナさんからメールが来た。星新一公式サイトの為に書いた思い出話の礼状である。マリナさん、盗作問題で頭を痛めているらしい。小学館から出た間瀬元朗の「イキガミ」という漫画が星さんの「生活維持省」に酷似していて、しかもそれが今度は映画になるらしいのである。なんとかしてあげたいが、問題の「イキガミ」という漫画を見ていないので、何とも言えないのは残念なことだ。マリナさん、父君の著作権を守るため、老齢のお母さんに代わって努力している。感心なことである。 ・・・
「生活維持省」は星新一のショートショートの中でも非常におそろしく美しい、また「論理を突き詰めていくと、一種極端な、情に反した”正論”が生まれる」という法哲学的な面白さを持った作品だった。
すでにNHKの星番組の中でも映像化されている。
詳しいことははてなキーワード「生活維持省」作ったのでご参照のこと。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%c0%b8%b3%e8%b0%dd%bb%fd%be%ca
同作収録本。初期短編の傑作(処女出版作)「ボッコちゃん」収録
- 作者: 星新一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1971/05/25
- メディア: 文庫
- 購入: 36人 クリック: 383回
- この商品を含むブログ (210件) を見る
あそこからNHKの映像化を。
さて間瀬元朗の漫画で、2008年に映画化もされた「イキガミ」
イキガミ―魂揺さぶる究極極限ドラマ (1) (ヤングサンデーコミックス)
- 作者: 間瀬元朗
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/08/05
- メディア: コミック
- 購入: 1人 クリック: 92回
- この商品を含むブログ (211件) を見る
うーむ、あのねー、たとえばタイムマシン…というと一般化しすぎるよな。
「ドラキュラが世界を支配し、頂点に君臨している社会」(ドラキュラ紀元)
とか
「すべての活字が禁止され、それを処分して回る組織がある社会」(華氏451度)
とか
「ビッグ・ブラザーという謎の為政者に、カメラで24時間監視されている社会」(1984年)
とかいう、特殊なシチュエーションをだれかが考案したとするでしょ。
で、この作品の中でAさんとかBさんが活躍する。
それを読んだとある別の創作者が「おもしろいな。この社会で、他の人はどうやって生きているのかな・・・」
と考えて、
「ドラキュラ社会の中で生きるCさんDさん」
「活字禁止の社会で生きるEさんFさん」
「ビッグブラザー社会の中で生きるGさんHさん」
の物語を書いたとする。基本的な社会のシチュエーションは変わらなくても、それぞれの人生は違うから、結果的にストーリーは完全な「別物」となる。
その場合「ドラキュラ社会」とか「ビッグブラザー社会」という部分を拝借したことは問題になるのか?
ということだと思う。極端に説明すると。
実際には「イキガミ」と「生活維持省」は上の部分で説明したようにストーリーは必然的に別物になった上で、基本設定も本当に核の部分で類似点はある。
だが、注意深く?大きな変更点も多々ある。上の例えで言えば「ドラキュラじゃなく狼男が世界を支配」とか「ビッグブラザーじゃなくグレートマザーが世界を支配」とか、それぐらいには変えている(笑)
盗作だと法律的に断じるのは、正直難しいんじゃないかと思うが、専門的におっていくと違うかもしれないし、上の「基本的なシチュエーションを頂き!その中で生きる、別の人、別の物語を書きますた」というのはどうなるかも分からない。
そのへんは詳しい人の議論、意見を求む。
補足
■今、周辺状況を調べるために検索したら、グーグルで「生活維持省 イキガミ」では970件ほどがひっかかるらしい。
本格的に一覧検証してもいいんだけど、面倒だしだれかがやるだろうから、上の意見だけでいいか。ネタバレにも踏み込んでしまうだろうし。
■はてなキーワードを作りました。
■有名漫画サイト「漫棚通信」「紙屋研究所」などでも、「生活維持省」との類似(盗作という意味ではない)に昨年ぐらいに触れている。
http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_6654.html
http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/ikigami.html
月刊現代、論座に続き、ライトオピニオン誌「m9」があっさり休刊。通算で三号(笑)
上のエントリの関係で「紙屋研究所」サイトを覗いたら
「m9」がなくなってしまいました m9(^Д^)プギャー
08年9月某日。ぼくが本職の仕事をしていると、晋遊舎の編集のQさんから携帯に電話。「実はですね…」と暗い声。
…(略)…Qさんから「雑誌が3号で終わりということになりまして…」という言葉を電話口で聞いたとき、打ち切りでなくてよかったと一瞬安堵してしまったことを許してください! そして本気でメシのタネにしている人たちも許してください!
第3号で終わりなので、次号はありません。いま本屋に出回っている号でおしまい。
後略
三号でつぶれる「カストリ雑誌」という戦後史の用語を久々に思い出したぜ(笑)
紙屋氏連載のほかにも、浅羽通明の連載なんかもあって面白かったんだがな。
オピニオン誌がぽしゃった代わりにライトオピニオン誌、とはいかなんだか。
というか「ライトオピニオン」という造語も、これにて歴史の闇に消えていくさだめかしら。