INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 報道、記録、文化のために

1980年代は「時代劇」の舞台になり得るか?細野不二彦「バブル・ザムライ」。そして今後の回が特に面白いよ

ひとつ前の記事で「愛しのバットマン」を取り上げたから

m-dojo.hatenadiary.com




……ではなく、前々から急いでやらなきゃと思ってた話。

それが、いま連載中の細野不二彦「バブル・ザムライ」の紹介。

いまさら驚くことじゃないが、この人は「休まない」。ある連載が終わったと思ったら、読み切りとかを挟んですぐに次の連載が始まるねん。

2020年代だけでこのありさ

バディドッグ - 『ビッグコミック』(2017年4号 - 2020年21号)
1978年のまんが虫 - 『ビッグコミックオリジナル増刊号』(2021年5月号 - 2022年11月号)
恋とゲバルト - 『ピッコマ』→『コミックDAYS』[11](2021年4月 - 2022年9月[12])※第一部完[12]
デビルマン外伝 -人間戦記- - 原作:永井豪、漫画担当、『月刊ヤングマガジン』(2023年2号[13] - 7号[14])※『デビルマン』50周年記念連載[13]
バブル・ザムライ - 『ビッグコミック』(2023年8号[15] - )
サキュバスの妻たち - 『ビッグコミックオリジナル』(2024年17号[16] - )※シリーズ連載[16]

それはともかく、連載中のこれ。第一話がこれ。

bigcomics.jp

バブル・ザムライ

バブル・ザムライ

細野不二彦
日曜更新
最強大学生がバブル日本で暗躍する悪を斬る!!

ちょっと変わり者の大学生・吉良武人(キラタケト)は私立探偵の高平健と共に、ある社長令嬢の身辺警護をすることに。実は武人は特殊な武術の使い手で…『ギャラリーフェイク』の細野不二彦が描く80年代バブル期を舞台にした痛快アクションサスペンス!


あの当時の固有名詞(俺も直接は実感わかねえな…)が次々と出てきて、1980年代風のテイストが出ているんだけど、根本的なところでは、ストーリーはシンプルで「一見目立たない優男だけど、実は武道の達人!メチャ強い!悪人を倒し、みんなを護る!」という、俺TUEEE的な主人公を据えたヒーローものです。

バブル・ザムライ

だが、逆にそういう典型的な「俺TUEEE」だからこそ、どんな悪人と闘うのか、何のために戦うか、の作劇が難しいんだ。しかも異世界じゃなくて1980年代の日本だからね。
基本的には「それなりに生活費や学費が必要な彼が、ボディーガード・護衛的なアルバイトをしている。そこで知り合った人たちからいろんな仕事が来る」という、そんな設定なんだけどね。でも巧いもんだよ、そこに「1980年代」という…さっき異世界じゃない、といったけど、いろんな環境(携帯電話やSNSが無い、という点とっても)の違いが、新鮮な……いやビッグコミックの読者層的には「懐かしい」かな(笑)、そんな感覚をもたらしてくれる。


あと、これは作品を読んでいくと気づいたんだけど、2020年の今では書けず、1980年代が舞台だから書ける点がある。
それは「太平洋戦争の生き残りから○○○○を受けついだ」が成立すること。

この前ゴルゴ13の全話開放が始まり、まだやってるのかな?…あとから読んで思うけど、「ゴルゴの正体は?」話で「太平洋戦争とか毛沢東国共内戦の・・・で戦闘技術を学んだ(かもしれない)」って設定が出てくる。
自分が子供のころもすでに「その年に・・・・ってことは、もう○○歳のおじいちゃんじゃん!」となるので、矛盾を発してたんだけどさ、当時はフツーにあり得た設定なわけで。

ゴルゴ13の正体


だから1980年代、バブル期の「時代劇」として描けば、「旧日本軍の…」も可能となる。
日本が豊かになったなあ…という実感も、いまとはリアリティが違うだろう。

バブル・ザムライ

もうひとつが、さらに重要だけども、1980年代半ばなら「新左翼運動(全共闘運動)の敗退と転向(あるいは偽装転向)、そして社会に彼らが入っていく複雑な葛藤」が描ける、というか本当に当たり前のようにそれがあった。

堤清二が、糸井重里が、猪瀬直樹が、そういう人々である……どこまで本気か偽善(偽悪)か「外からこの資本主義は壊せなかった、だから中に入ってぶっ壊してやる!」みたいなね。前川喜平氏はどうかな…1955年生まれか。
1959年生まれで、SFファン界隈にいた「1978年のまんが虫」こと細野先生も、そんな風潮を当然目撃していたに違いない。

というか、こんな作品も産むぐらいだから、やはり同時代の忘れ得ぬ記憶なのだろう

comic-days.com

※この作品、何故かピッコマからコミックDAYS,小学館から講談社への移籍…何があったん???



バブル・ザムライにも、ある時は敵側の悪役として、あるいは味方として彼らが現れる。
そして時代は、リゾート開発とかレジャー社会到来とかで、カネも表裏を激流のように流れ始める、そんな時代だ…。

バブル・ザムライ

あと、1980年代の「時代劇」で面白いのは、そこから疑似的な「未来予測」が描けることね。これ、珍しい話じゃなく、時代劇でも「蘭学者」とか「賢君」とかが「将来は空を飛ぶからくりができるかもしれんぞ」とか「いつか、生まれに関係なく知恵あるものが将軍様になる時代が来るかもしれん」みたいに言うシーンってあるじゃない。


それと同様に、この話の中でも
「レゲエって変な曲が流行ってるけど…」
ビル・ゲイツやジョブスは真の天才だよ!株を買いたいぐらいだ」

ジョブス バブル・ザムライ

さらには「猪木vsアリを超える試合が見たい!世界中の格闘家を集めて…」とかさ(笑)

バブル・ザムライ


で、そういう話の中で、まだ公開されてない回…雑誌には載ってて、次回は次々回公開される回が必読なんで、それを先回りして紹介したいのだ。

バブル・ザムライ ラピュタ
バブル・ザムライ ラピュタ


はてさて、どうなりますか……「ビッコミ!」サイトで近日公開されたら、
また紹介させていただきます。
単行本はまもなく5巻が発売か。