ダークサギ「お前は俺だ…」
— ぬまがさワタリ@『ゆかいないきもの超図鑑』3/8発売 (@numagasa) December 1, 2021
みたいな絵面になった。 pic.twitter.com/AtVoEA2RlN
ウルトラセブン4 K リマスターは、まもなくゴールを迎えようとしていますが、本日の放送(※記事執筆時)は最終盤のお楽しみの一つ「ダン対セブンの決闘」,つまり「にせウルトラセブン」が登場する回です。(ちなみにカプセル怪獣アギラの登場回でもあります)
3月2日火曜
NHKBS4K 午後11時15分~ 午後11時44分
(46)「ダン対セブンの決闘」伊良湖岬での不穏な動きに地球防衛軍は調査を開始。ダンは怪しい女を追跡するが拉致されてしまう。女と一味はニセの「セブン」を製造し地球侵略を企むサロメ星人だった。
伊良湖岬一帯の不穏な動きを察知した地球防衛軍は海底をハイドランジャーで調査。一方、ダンとアンヌは岬から上陸してきたある女を追跡するが、ダンは女の一味に捕らえられて監禁されてしまう。彼女らこそ侵略者サロメ星人であった。岬付近の海底工場で星人らは秘密裏にニセの「ウルトラセブン」を製造。自白用のマシンでダンからウルトラビームを作り出す秘密を聞き出す。そして完成したセブン型ロボットが今、出撃する!
昭和ウルトラシリーズにおいて「ニセ」が登場する回数は毎回のように見えてそうではない。何の資料もなしに記憶だけで断言できちゃいますが、にせウルトラマン(正体はザラブ星人)、今回のにせウルトラセブン、にせウルトラマンエース(エースロボット)、ニセアストラ (正体はババルウ星人)しか出てこない。にせ水戸黄門は毎回毎クール登場するのにね(笑)。
ただ、他の連中は何と言うか偽装工作とか、実験台とかそういうしょぼい感じで出てくるんだが、「ダン対セブンの決闘」では、明らかに「ウルトラセブンと互角の力を持つ悪のウルトラセブン登場!能力は互角ださあどうする?」という流れにあるものですわな。
ちなみに今気づいたんだけど、こういう形でメカが登場するメカゴジラ、メカニコングがある。戦闘力の高い生き物対抗するためにそれをコピーした「メカ」を対峙させる、という設定は共通している訳だが …
今調べましたところ、一番有名なメカゴジラは実は後輩であって、1974年に登場しました。メカニコングとにせウルトラセブンが 同じ年1967年の登場です。
藤子・F・不二雄の「ひとりぼっちの宇宙戦争」は、まさにロボットなので「互角」というのが、ストーリーの重要な要素になっているのであります
ハリウッドB 級映画とか、漫画とかには手が回らないんだが…、こういう形のAと同等以上能力を持たせるために、Aを模した「メカA」を作ると言うパターンの、起源を探りたいと思うのだが、……そうなると欠かせないものがある。
それがヒーロー、正義の味方Aに対抗するために登場する「ブラック A」です!!
と言ってもいわゆるN=1、の類であってそんなたくさん例を挙げられるるわけじゃないのだが…もちろんの例とは、これに他ならない。
実は昨年…2020年に、初代ブラックタイガーの中の人、マーク・ロコ、いやマーク”テラー(恐怖)”ロッカ がなくなっておりまして、これから書く話も実はその追悼文を書くつもりで色々考えたことです。
その後、ブラックタイガーはあまりの好評さにすでに7代目を数えるらしいんだが、やはり初代。
ときに、このウィキペ記事はマニアが多いプロレスの項目にしては寂しくないかい?みなの奮起を望む。自分も「プロレススーパースター列伝」話ぐらいは追加しようかな…
ja.wikipedia.org
思えば初代ブラックタイガーのレスリングスタイルというのはかなりクラシカルで基本に忠実で、そもそもタイガーマスクが、ド派手な空中殺法をするのとは対照的に、トップロープにすら上らないような、重厚感あるレスリングスタイルだったと記憶しています。
それが、ジャパンのスモー・アリーナ(蔵前国技館:当時)をフルハウスにするような大人気ヒールになったのは、ひとえに彼がかぶっていた「黒いトラ」のマスクと、梶原一騎が乗りに乗って、盛りに盛った(笑)、同時進行漫画ドキュメント「プロレススーパースター列伝」での「武士の情けを知らない」大悪党ぶりにあったのだと思います。
ただ、当時の自分を思い出すんだが……毎回次のシリーズの来日外国人デスラーを紹介する予告ビデオに、まったく正体不明、ファイトシーンもない(確かわざとモノクロ映像を使っていたような気がする)「ブラック・タイガー来日」の映像を見た時「あ!これは『お馴染みの』『お約束の』アレだ!! 悪の側で、主人公(この場合はタイガーマスク)と、ほぼ実力が互角のやつ!!!」と、その時点でほぼ自動的に「これまで来日ではタイガーマスクに負けている有象無象の外国人レスラーとは違い、タイガーマスクとほぼ互角のものすごい強いライバル!そして対照的に悪の側に立ってるやつ」ということを認識したんだよね。
いかにお約束と言うか、今流行りの言葉で言えば「 ハイコンテキスト」情報やイメージを子供たちは一瞬で認識しているかの実例である。
……にしても、この「色違い(主に黒)で他は同じというビジュアルによって、ほぼ同じ能力・互角の悪の側、というイメージを持たせる」という手法は一体どこの誰が考えてどのように伝わったのでありましょうかね。
ん?全日本プロレスが、ブラックタイガーに先立って「デストロイヤーに最強の敵?その名もスーパー・デストロイヤー!」を登場させたっけ!(突然、記憶の扉が開く)
www.youtube.com
www.youtube.com
話戻って、新日本プロレスも、この時のアイデアは大ヒットだったと思うが、一体どこの誰が狭山タイガーとは気の合う実力者ながら、地味な英国クラシック・レスリングの中年男を、銭の取れるタイガーと互角のライバル「ブラックタイガー」に変身させるというアイデアを考えたのか。
梶原一騎が考えた、となればそれはそれでつじつまも平仄も合うのだが、このころの企画会議はアントニオ猪木も交えて結構いろんな人が知恵を出し合っていた。まぁ猪木は「身長3メートルのレスラーを出せ」とかめちゃくちゃなことを言い出したりもするのだが、その無茶苦茶なアイデアを ブラッシュアップした結果、大ヒット商品の「ビッグバンベイダー」が誕生するんだから、ブレーンストーミングの無茶なアイデアは歓迎するべきなのです。
閑話休題、遡ると、こんな一件があったりしました。
かの「黄金バット」の出生の秘密!!
…1930年(昭和5年)、鈴木一郎原作で白骨面に黒マントの怪盗が活躍する街頭紙芝居シリーズ『黒バット』が好評だったことから、主人公を黄金色にした絵19枚を永松健夫が描いて誕生した。『黒バット』の最終回で、無敵で不死身の悪役である黒バットを倒す正義のヒーローとして突如、初登場した。
ja.wikipedia.org
突如登場した善の「黄金」に、悪の主人公の「黒」がやられてしまう。その結果、そのヒーローが人気になり主人公に昇格……でめちゃくちゃアバウトすぎるだろ(笑)。だがこれがエンターテイメント黎明期の試行錯誤だとするならやはり偉大な一歩です。
そもそも黄金バットって何でヒーローなのにあんな怖いビジュアルなの?という謎がこれで解けた。悪のヒーローの色違いのライバルだったんですね。ガッテンガッテン。
じゃあ黄金バットが元祖ということでいいのでしょうか?
どうもそうとは思えないんだけれども、これ以上遡れる頭もないので、とりあえず暫定的にそう認定しておこう。
1:主人公のライバルに、『色違い』キャラが現れるのは黄金バットが元祖
2:ただ黄金バットはかなり特殊で「黒を基本ビジュアルとした、悪の主人公に対応する善のライバルキャラ」であった。
3:なお「黄金/ゴールデン」には、ライバルというより「そいつより一段格上、上位互換」というニュアンスもある。
この辺のことも押さえておかなければいけない。
最後の「3」についてはちょっと悲しいエピソードがあり…、自分が見ていた超超超低予算特撮番組「星雲仮面マシンマン」では、レギュラー悪役にたしか「鉄人モンス」というのが出てきて、中盤でやられてしまい、悪の組織も新組織に交代する(その交代理由が最初の組織のリーダー(プロフェッサーK)だった天本英世が「スペイン旅行に行きたいから」だったと言うからこれまた奔放過ぎる。まあどうせギャラも低かったのだろうさ。衣装すべて天本翁の自前だったそうだし)。
そして最終エピソードで、新組織を助けるために旧組織のリーダーたる天本英世が再登場し、最強の怪物を呼び寄せる。それが鉄人モンスより強い「ゴールデンモンス」。
……はい、子供心 に「そうか、色を黄金に塗れば、予算は塗料代だけで『これまで以上に強いやつ』ぽくなるもんな…」と、わかってしまいました。子供なのに「大人の事情」を飲み込む。
ただこの一件が、自分の今回のような「色違いキャラ」界への興味の源流のひとつであるのだから、そう捨てたもんでもないのかもしれない。
このパターンだと、アニメ版タイガーマスクで最強の敵となった「タイガー・ザ・グレート」も、それに近いな。グレートとかつけると、やはり労せずして上位互換っぽくはなる。あるいはパートナーか。
さらに言えば善のキャラクターが悪に転向する時に色違いになる(主に黒)、というパターンも外せない。これは新日本プロレスの蝶野正洋、それが結成したnWoジャパンに次々加入していくレスラー達、そして WCWで、ド派手なフルカラーのキャラクターから白と黒のヴィジュアルに変化した「スティング」などを上げれば十分だろう(正確にはスティングはヒール側になったのではなく善悪か、敵か味方か定かならぬ、謎の存在になったのだが、それは単純な悪以上に恐怖や脅威をかきたてるものでした)
こういうの近年では新概念として「悪堕ち」「闇堕ち」という短いフレーズで言われるようになり、ネットの世界ではそれを専門に研究されている方もおられるので、後で聞いてみたいと思います。女性ヒロインとかにもこのパターンはそれなりにあるそうだが、 誰か具体的に名前が上がると言うと少なくとも自分は脳内ストックの持ち合わせはないな。
Tweets by utakuochi twitter.com
akuochi.com
自分が持っているパズルのピースをはめるとだいたいこの辺ぐらいまでの形が出来上がります。残りを埋めて完成させるには皆様の情報・ご考察を期待したいと思います
ということで本日ウルトラセブン4 K リマスター「ダン対セブンの決闘」をお楽しみに。
昼はOK牧場で決斗、
https://twitter.com/tx_gogoro/status/1366274502502408193
夜はセブン同士の決闘。
(了)
【創作系譜論】 ※準タグです。この言葉でブログ内を検索すると関連記事が読めます
新情報追記(2023年12月)古典「白鳥の湖」で、ほぼ同じ属性ながらも『白vs黒』?
twitterより。
こんにちは。こちらの記事が面白く、思い出した事をお話しさせてください。
— ミチル (@allgreenmchr) December 16, 2023
古典バレエ「白鳥の湖」に、主役の白鳥の姫にそっくりな黒鳥の悪魔の娘 という設定があります。「白鳥の湖」は81年に東映でアニメが作られており、当時、東映のアニメ映画は子供への浸透度がそれなり高く、列伝の連載時期と
連載時期とも被っていて、元ネタかはわかりませんが、制作と受け手双方のインスピレーションになった可能性がなきにしもあらずではないかと思いました。
— ミチル (@allgreenmchr) 2023年12月16日
そういえば「白鳥の湖」通しで鑑賞したこと無いし、ストーリーもしらないや…
www.youtube.com
作品の特徴
本作の特徴の一つは、主演バレリーナが一人二役をこなすことであり、清楚な白鳥オデットと、王子を誘惑する妖艶な黒鳥オディールという、対照的な役柄の演じ分けが見どころとされている[51][52]。オディールが「黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ」のクライマックスで披露する32回転のフェッテは、1895年の蘇演版に主演したピエリーナ・レニャーニが取り入れたものであり、女性ダンサーの高度なテクニックの見せ場として有名である[53][54]。
なんと、一人二役だから、否応なく「白と黒の対象以外はまったく同じ(互角)」が強調される!他に材料もない以上、1877年初演の、この作品を、暫定的にでも『主人公の互角の敵で、似たビジュアルの「ブラック」登場』の元祖と見なしていいのではないだろうか。ありがとうございました。