長期間やってて
まだあるまだ時間はあると思っていたら、今週末でおわりですねえ。
■会場:上野の森美術館
■会場住所:東京都台東区上野公園1-2 | 会場公式HPはこちら
■会期:2015年8月8日(土)〜 9月27日(日) ※会期中無休
■開館時間:午前10時〜午後5時(入館は閉館の30 分前まで)
9月4日、9月11日、9月18〜27日は開館時間を午後7時まで延長!■お問い合わせ:上野の森美術館 03-3833-4191
ほか詳細、チケットインフォメーション、巡回展情報はこちら
というか「ガンダム」「ザク」は知っていたけど、ヤッターマンにボトムズもそうだったの??とイまさら驚く初心者。
それで、この催しに関連して主催者がらみで、フジ系メディアにいろんな記事が載っています。
http://www.sankei.com/premium/news/150830/prm1508300024-n1.html
「スタジオぬえ」…が描いた…ハインラインの「宇宙の戦士」のイラストがあったんです。当時の「スタジオぬえ」の代表だった(SF作家の)高千穂遙が、それを僕らに「読め」と勧めて、「こういうコンセプトもある」と教えてくれたんです
(略)
その流れでいえば、メカデザインは「ぬえ」であるべきだった。ただ、そのとき僕は、絵を描く人間として「あえて『ぬえ』ではないところに発注したい」と言ったんです。テレビアニメはアバウトなものですから、そこにあまり理屈を持ち込まれると、不自由になってしまう。当時、そういう経験を「ぬえ」との間で何度かしていたので、自分が消耗することを恐れて言ったんです。それで、当時、メカデザインをやっていたのはほかに「メカマン」(中村光毅さんと大河原さんが設立したデザインスタジオ)しかない。それで大河原さんが参加することになりました。高千穂遙は今も僕の友達だし、「ぬえ」に対しては不義理をしたと思いますが、結果的にはそれで正解だったのだろうと思います。
うーん…と、ある意味でびっくりするような、ある意味では「まあ、やっぱりそうなんだろうな」と思うような話でした。
架空のメカっていろいろあるじゃないですか。
んで、そこにあう動力パイプとかネジとか、アンテナって、どういう理屈でそこにつけられて、どういうふうに稼動するのか……って、基本考えてないように見えて、なんか設定集みたいなのを見るとちゃんとそこに理屈付けができてるんですよね。
で、自分はコドモゴコロに「すげーなー、こんな嘘っぱちの実在しないメカなのに(と思うぐらいにはスレてました(笑))、ちゃんと『○○のためにこれは付いてる』『・・・で稼動する』とか考えてるんだ。プロは違うねえ」
と感動したのでした。
・・・しかし、そもそもそんな「設定資料」なんてもんが一般に広まるのは、ヤマトや・・・なによりも「ガンダム」だったのですね。
ガンダムの中でいろいろ理屈付けされてなかった?
「ザクの動力パイプがむき出しなのは軽量化のため。グフは宇宙で戦う機能を捨てて陸上戦に特化したので、その分装甲を厚くして動力パイプも覆った」云々かんぬん。
…あれ?今、素で間違いたけど、グフも動力パイプはむき出しだね(笑)。
ま、とにかくガンダムでは、俺が読んだ子供向け設定集でも、そんなふうにモビルスーツの変遷、新型登場に関して、もっともらしい理屈がついていたの!!!
でも、作る側のプロから見れば、大河原デザインはその時点で既に「ゆるやか」なほうで、もっと精密に、架空メカデザインにおいて”理屈”を突き詰める先鋭集団・スタジオぬえがいたのだと。
彼らとの人的ネットワークの中で、「ハインラインの『宇宙の戦士』おもしれー。こういうコンセプトがあるぞ」「おっ、それでリアルなロボットものの企画やってみるか!!」
そんなふうなこともあれば
「あいつらは、メカのひとつひとつのデザインにどう動くだの何の機能だとリクツをつける・・・アニメを作るがわからすりゃーな、もっとアバウトでいいんだよ!!」
という反発もある。
……どれもこれも含めて、いまの「クールジャパン」…というのはおこがましいが、SFサブカルオタクカルチャー大国の日本がある。
そんな青春の日々の一挿話。
虫プロ、サンライズ、ガイナックス、ヤマト、ガンダム……と昭和も、80年代オタクサブカル黎明期も歴史になり、回想録は立派な「商品」になっている。
ちょっとまだ抜けているピースがある気がするんだが、それはたとえば「スタジオぬえ」や、ゆうきまさみ氏たちが「食客」的にごろごろする(というかそれが半分の目的だったという)「ぱられるくりえいしょん」…。
こういうところの歴史というのも、いつか史料として残して欲しいもんです。
今回、この企画展に合わせて?本も出ました。
◎日本初のメカニックデザイナーが語る、デザイン論、職人論、営業論メカニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人 (光文社新書)
- 作者: 大河原邦男
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/08/18
- メディア: 新書
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◎「メカニックデザイナー 大河原邦男展」上野の森美術館にて開催中。
◎「私が心掛けているのは、たとえアニメの世界であったとしても『嘘のないデザイン』をすることです。」【内容紹介】
ただ絵がうまくてもダメ/変形メカのデザインはパズルを解くようなもの/ものづくりには手順がある/デザインのヒントはいたるところにある/アイデアの源泉は新しいものからも/幅広い仕事をすることによる相乗効果/主役メカのデザインには「こけおどし」が必要/主役メカを作る苦しみ/自作の木型で、変形や合体を検証することも/変形メカに求められること/道具は鉛筆一本あればいい/アーティストではなく、あくまで職人/1本の線の重要性/第1話ですべてがわかる/仕事は断らない/先に仕事の見通しをつけ、締め切り前に仕上げる/玩具メーカーとメカニックデザイナーの関係/メカニックデザイナーが陥る罠【目次】
まえがき
第1章 偶然始まったメカニックデザイナーの仕事
第2章 私が生み出したロボットたち~『機動戦士ガンダム』まで~
第3章 メカニックデザイナーになるまで
第4章 私が生み出したロボットたち~『機動戦士ガンダム』以降、1980年代~
第5章 私の仕事論
ん?…でも、大河原氏も「アニメであってもウソの無いデザイン」をすることを自分の誇りとしているようだ。
このへんの微妙な差異、あるいは微妙な共通点、みたいなものは分かる人にはわかるのだろう。
関連史料
「ガンダム」を創った男たち。 上巻 (カドカワコミックス・エース)
- 作者: 大和田秀樹
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/01/24
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「ガンダム」を創った男たち。 下巻 (カドカワコミックス・エース)
- 作者: 大和田秀樹
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/01/24
- メディア: コミック
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- 作者: 岡田斗司夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/10/23
- メディア: 単行本
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アオイホノオ (14) (少年サンデーコミックススペシャル)
- 作者: 島本和彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/07/10
- メディア: コミック
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自分のメカニックデザインに、ウソはあっただろうか。
自分流に「人工知能」の表紙イラストを描いてみた。この技術の進出すべき分野は… http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140310/p2
ここでは「軍事参謀や外交官までもロボットが担うディストピア」を描いたのだが、たしかに自分のメカデザインにはウソが多い(笑)。あたまのアンテナ、何に使うのかいまだに自分でもわからん。
エレキングが余りにも弱いので、強くなるよう強化・改造してみた。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121203/p1
[:]
これはちゃんと設定を考えている。
リンク先に、番号ごとに設定を説明している。
タイの連中が勝手に作ったウルトラマン&ウルトラ怪獣に対抗し、こちらも最強のバルタン星人を考案したよ - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110122/p4
コメント欄でこういうやり取りをしている。
「ばるたんの胸のLってなんですか?」
gryphongryphon 2011/01/23 05:12
>「胸にあるのはよろい。ウルトラ水流もはじき返す。左胸の時計で時間も分かる。」
3時なんだよ
「まさかの時計でしたかw」
「ゴジラ」新作予告編と「パシフィック・リム」イェーガー募集・・・について - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131211/p4
クロアチア製イェーガー「WILD BOY」だ。
この時代には、既に伝説化している、同国の戦士をモチーフにしている。
両手の鉄球で殴る、殴る、殴る。
・・・それにくわえ、実は隠し持っているすごい秘密の技がある
今見直すと、ちょっと肩関節のSF的考証が甘かったかもしれない。
まあ、こんなふうにSFメカデザイン、SF怪獣デザインの考証というのもいろいろな歴史や流れがあって面白いものだということですね。
最後に繰り返すが、東京・上野の森美術館(上野公園)の「大河原邦男展」は27日まで
【お断り】
あと、この話自体が、あとでいつか書く記事の伏線というか前奏曲みたいなもんです。
時間ある時にでもぼつぼつかきます。