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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「世界報道写真展 2011」が今年も開幕

主催に朝日新聞社が入っていることもあり、「天声人語」で開幕時に紹介されるのはほぼ恒例となっている。
http://www.asahi.com/paper/column20110612.html

・・・(略)▼今年で54回目の世界報道写真展がきのうから東京で始まった(8月7日まで)。10万8千点から選ばれた今年の大賞は、正視するのがつらい。鼻を切り落とされたアフガニスタン若い女性が、おびえと悲しみを湛(たた)えた目を、しかし決然と、レンズに向けている▼暴力をふるう夫から実家へ逃げ帰ったが、反政府武装勢力タリバーンに「逃亡の罪」を宣告され、夫に鼻と耳をそぎ落とされた――と説明がある。きびしい姿は、貶(おとし)められた尊厳を訴えてやまない▼構図と表情の似た一枚の写真が脳裏で重なる。長崎で被爆した片岡津代さんを東松照明(とうまつ・しょうめい)さんが写した50年前の作だ。顔の右半分に傷痕が残る。自分をさらすのはつらかった。でも東松さんを信じたと片岡さんは語っている▼その一枚は世界に知られ、大勢のカメラマンが彼女を撮りに来た。幾多のレンズがケロイドに向けられた。だが、「東松先生だけは、傷のない左側からも撮ってくれた」。人を撮ったか傷を撮ったか。違いが見る者に伝わらぬはずはない▼写真展を見ると世界を覆う悲痛の多さに胸が痛む。報道の使命と、人の受難を「消費財」となす錯誤は、ほとんど一歩のきわどい距離にあろう。その一歩の逸脱なきや。自戒しつつの、日々のコラム執筆となる。

公式サイト
http://www.asahi.com/event/wpph/

○休館日毎週月曜日 (ただし7月18日は開館、翌19日は休館)
○開館時間 10:00〜18:00(木・金は〜20:00まで)