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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

ヒラリー逆転でニューハンプシャー制す。米国文化も変わった?

クリントン氏、満面の笑顔で勝利宣言=オバマ陣営、負けても熱気−米大統領
2008年1月9日(水)20:49


 【マンチェスター9日時事】「わたしに与えてくれたような復活を米国にもたらそう」−。(略)
 勝利の大歓声に沸く中、クリントン氏が姿を現した。会場には若者の姿が目立ち、中高年層に加えて支持者層を広げたことがうかがえる。夫のクリントン前大統領、一人娘のチェルシーさんとしっかり抱き合い、支持者に何度も「ありがとう」。そして、「胸がいっぱいだわ」と感極まった表情を見せ、瞳を潤ませた。 (略)

 一方、連勝を阻まれたオバマ氏はさばさばした表情で「ヒラリーはいい仕事をした」と敗北を認めた。これまでの「変革」と「希望」に加え、「実現できる」という言葉を連呼。「われわれには勢いがあり、前進する準備ができている」と敗戦ムードを吹き飛ばすように熱弁を振るい、会場を盛り上げた。 

今回の結果は驚きだったが、その驚きのひとつは、オバマが10ポイントも支持率が上回っていた事前の世論調査が、結果に反映されなかったことだ。
世論調査って、最終的には選挙の事前予測ができてナンボのもんだ、って言ったっていい。そして実際のところ、さまざまな精度向上への努力でそうそう事前の調査を覆すというものではない。サプライズの結果はたいてい、直前の世論調査ですでにサプライズが出ているもの。
これは米メディア、米世論調査形式の敗北でも有る。

だから勝因分析も米メディアは大慌てだという。

「劇的な逆転」米メディア勝因分析に躍起 クリントン氏 涙の効果も 2008.1.9 20:32

 【ワシントン=渡辺浩生】「劇的なカムバック」(CNNテレビ)−。米メディアは、ニューハンプシャー州予備選を制し、起死回生の勝利をつかんだ民主党ヒラリー・クリントンと、共和党ジョン・マケイン上院議員の勝因分析に躍起になっている。

 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は「クリントン氏の勝利は、民主党の争いがこの先も驚きに満ちていることを思い知らせた」と指摘。クリントン氏が支持者の前で涙を浮かべた瞬間を「キャンペーンの最後の数時間に繰り返し放映され、候補者がめったに見せなかった一面を露呈させた」と述べたほか、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)も冷徹な印象の彼女を「人間らしく見せた」と、クリントン氏の“涙”に注目した。


彼女の旦那も最初の予備選敗北や醜聞から復活し「カムバック・キッド」と呼ばれたっけ。
しかし驚きなのは、ヒラリーの涙が、勝利につながった、ということだ。

ここに一冊の本が有る。もう絶対に絶版だろうケド。

不思議な英語の国

不思議な英語の国

ここでは、「いかに欧米(アメリカ、イギリス)では指導者が涙を見せると評判を落すか」について詳しく書かれている。

(1971年の民主党予備選では)マスキー上院議員が有力候補の一人であった。ところがマスコミがマスキー婦人の生活が派手である点に目を付け・・・非難がましいタッチの記事を掲載した。マスキー議員は該当での演説で反論しいているうちに悔しさがあふれてきたのか泣いてしまった。この悔し涙で彼は大統領候補者としての信用を失い、レースから脱落してしまったのだ。
(略)
米国大統領は、いざというとき人類の運命を握る立場に有る。地球を何回も破壊できる量の核兵器を発射するか田舎の判断を下し、恐ろしいことだが核のボタンを押しうる立場に立つ可能性さえあるのだ。
人前でうろたえて泣いてしまう様な華奢な精神では、そんなとき正常な判断ができない−と米国人は考える。

その他、1987年にやはり泣いてしまったパット・シュローダー女史、交通事故(プラス女性問題?)でうろたえたエドワード・ケネディの例を敷いている。


ひとつ言っておくと、こんな発想がどれだけ正しいのか、それは分からないし、国柄それぞれだろうな。日本だと小泉純一郎は特攻隊記念館訪問やブラジルの移民と会った時はばかりなく涙を流したし、遡れば鳩山一郎の泣きは有名だったという。英米の政治文化というのも、例えば女性問題の扱い方ではフランスやイタリアから冷笑されている。やっぱり国それぞれだな。

今回、ヒラリーが涙で好印象を与えたとしたら、政治文化がいろいろ変わったこともあっただろうし、特にヒラリーは冷たく人間味の無い、という印象がありすぎるから、涙はそれをちょうど良くしたってこともあるだろうな(笑)。
神聖モテモテ王国のファーザーが「二枚目ハーン」に変身するとき、マントで全身を覆うと「かっこ良過ぎる」として、二枚目半(2.5)にするため微調整をしたようなものだ(爆笑…と思いきや誰も例えについてこれん)


話を戻すと、この本はたいへんいい本で、俺の数少ない絶版で持ってて自慢したい蔵書(別に古書価値は無いよ)。作者は毎日新聞記者。だが連載誌は諸君!1989年の連載だ。
レーガンからブッシュに変わった直後、英国はサッチャー時代。
1989年は今から振り返るとベルリンの壁が崩れた、社会主義崩壊の年であるのだが、実はその渦中では「社会主義国家がペレストロイカ民主化で”人間らしく”なった。こういう民主的社会主義国家が、資本主義国家と歩み寄り一体化する」みたいな何ともファンタジーな議論もあった時代だ(日本は消費税やリクルート事件、おたかさんブームで社会党参院選、最後の躍進を遂げ、野党連合政権なんて声も出ていた)


まだまだ論壇で少数派だった諸君!は孤軍奮闘。この当時の諸君が一番面白かったように思う。


【メモ】草思社倒産、椎名高志マンガノゲンバうつ病