7/31付の産経新聞に、新作落語に取り組む若手の会「SWA(創作話芸アソシエーション)」が7/19に国立演芸場で開いた落語会の記事がある。
三遊亭白鳥がそこで演じた「真夜中の襲名」はこんな話だそうだ。
動物の世代の大名跡「カンカン」の二代目をパンダが襲名することになったことから起きる動物たちの珍騒動。
主人公のウサギは毎日、上野動物園のふれあい広場で、体をあって子供たちを楽しませている。ところが動物園は、マスコミの話題づくりに、ろくな芸もしないパンダにカンカンを襲名させ、上のから浅草までパレードさせるという。納得できないウサギは、ふれあい広場の仲間たちを代表して、パンダと談判に及ぶが・・・・
同紙は「最近の落語界の襲名を題材に、少し毒を聞かせたパロディー」「もっとも客席がわいた」「落語家風の名前を持つ動物が次々と登場、タブーにとらわれない白鳥の芸風が・・・」
まあ、これが本心だったりするほど底が浅いわけでもあるまい。
ある程度まで、「本音では、こぶ平の大出世をひがんでる俺」というキャラを二重映しにすることで、カリカチュアが引き立つ部分もあるだろうし、だからといってこれがすべてネタでもない・・・とああ、ややこしいものだ。
プロレスのアングルだってそうだろうね。
カメが「俺は踏み台か?」といったらよかった(笑)
補遺:林家こぶ平
これは襲名直後の週刊文春(阿川佐和子との対談)で読んだ話だけど、
真打昇進の時に、兄弟子が協会幹部に「こぶ平も『背離れ』するようになりました」と芸の上達を褒めて推薦したんだという。
背離れとは、常連の通なお客さんは、ハンチクな噺の時はだらりと椅子の背もたれに重心を預けて力を抜いている。ところが名人上手の話だと、ずずいと身を乗り出して聞き逃すまいとするので、背が離れる、ってんで「背離れ」というそうな。
これをさらにオーバーに表現した一本が、落語の話題のときは何度も紹介している古谷三敏「寄席芸人伝」にある。鋭い批評眼で、落語家たちをいつも恐れさせている寄席の常連たちが、ある若手落語家の時にはそろって席を立ち・・・・
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これもまた、「じゃあ今のプロレスラーや格闘家で、観客に『背離れ』させるやつは・・・」と考えてしまう。