不死鳥の長き活躍
私がアラファトという人を初めて知ったのは、何しろサダト(エジプト大統領、イスラエルと和平した)が暗殺された時の話だ。
といってもリアルタイムじゃなくて(笑)図書館に、1年分の時事漫画をまとめた『山藤章二のブラックアングル』が置いてあったのでそれで追体験したのだ。
「中東の立場と名前がすぐ覚えられる漫画」と称し、名前をセリフに織り込むという趣向で、そこでこの「中東の不死鳥」はサダト暗殺を「これは最もいいニュースだ。同志よ喜びをアラファトう(表わそう)!!」と喜んでいた。
ちなみに当時、エジプト副大統領のムバラクは「後継になるかはムバラク(しばらく)考えたい」となっていた。結局後継者になった彼は、・・・いまだに大統領だ(笑
「毒殺」論
昨日、契約しているポップアップ式ニュースサイトで「アラファトは毒殺されたとハマスは主張している」と報道。アラブのメディアは、実はオカルトじみた陰謀論が大好きで、それにつっこみ入れるようなカウンター報道はごく少ないらしい。911も勿論「ユダヤ人の陰謀」。この本に詳しい
- 作者: 池内恵
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おかねもち
(個人)資産が4千5百億円(IMF推定)とも言われる。
なんでだとツッコミを入れるのもおろかで、そりゃ横領ていうかPLOの財産や援助金をわがものにしておった(名義上、「国家予算」を個人口座にしているともいうがそれ自体が問題)のだろ。しかしまあハデにやったもんだ。
新谷かおるが中東の紛争を部隊に、傭兵パイロットの戦いを描いた「エリア88」は、逆立ちしても「リアルな漫画」ではなかったが、後半で主人公の風間真がクーデターから助けた、アフリカの貧しい国の大統領から死ぬ間際にスイス銀行のカードを受け継ぐ。やっぱりそこには数千億円(笑)
その大統領は死ぬまでのストーリーでは、徹底的に誠実で寛大な人格者、独立運動も戦い抜いた筋金入りの闘士として描かれている。
その大統領にして、一国の国家予算に匹敵する個人資産をスイスに隠していたという展開は、みごとな国際政治のリアリズムをある部分で衝いていた。
まあ、そのお金でいきなり独立の原子力空母を個人が買ってしまい、漫画自体はさらに、荒唐無稽かつエネルギッシュな展開になっていくのだが(笑)