まず本題の前に
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040814
を。
くわしくは直に読んでもらえりゃいいんだが、要は「(ブッシュ再選、ヒトラー登場などの)差し迫った危機に対して対応し、社会に警鐘を鳴らして動かすには『映画としての完成度やギャグを放棄し、陳腐な「俗情」をあえて刺激してでも、どんな手段を使ってでも・・・悪に世間を気づかせなければならなかったのだ』」という立場に対し、小生はやや異論がありその例として
gryphon 『50年代、嘘と誇張を多量にまぶし「共産主義の脅威」を煽ったジョセフ・マッカーシーですが「結局、共産主義は世界中で一億を殺戮した思想だった。誇張は大いにあったが、彼の警鐘には意味があった」「冷戦が終わってソ連の機密資料が出てきたら(彼の主張そのままではないが)確かに米政府中枢にスパイは浸透していた」という、マッカーシー再評価論が米国の一部にあるそうです。結果論と手段論の緊張関係の、ひとつの例として。』
と書いた。(それに対する町山氏のレスポンスもすぐ下にあり)
それに応じたわけでもないが・・・「出版界の火事場泥棒」といわれる(言ってるのは俺だけだが)ほど目端が利いて扇動がうまい草思社が、こんな本を出した。
- 作者: アンコールター,Ann Coulter,栗原百代
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2004/09
- メディア: 単行本
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米で注目の女性論客が、共産党主義への迎合、ケネディ大統領のベトナム派兵決定の失敗など、民主党の政治・外交の誤りを断罪した衝撃の書!
これがリベラルの正体だ!アメリカの保守本流を代表する論客アン・コールター女史が、旧ソ連の秘密電報をはじめとする新資料を縦横に駆使して、冷戦前夜から60年の歴史を再検証。・・・・熱い政治的論議を呼びベストセラーとなった刺激的論争の書である。
この後がすごい。
彼女のマッカーシー論は、それに対して出ているであろう反証を知らないので評価もしにくいが、説得的な筆致であることは確かだ。ソ連機密資料の引用も多い。ローゼンバーグやヒス事件などと同様に、根元が掘り返されているが・・・ただし、途中から訳がなぜか突然読みにくくなっている(下訳者が違うのか?)。
著者略歴を見たら
「かのマイケルムーアが、「僕たちの陣営にコールターのような人材がいないのが不幸だ」と言って・・・」というのが宣伝文句にされており、はからずも彼が身元保証人のようになっている。