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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「フェザー日本最強」小見川と「コリアンゾンビ」ジョン・チャンソンは闘ってた。再戦あるか

http://www.kamipro.com/column/korea.php?id=1279308691


DEEP、SRCを経てアメリカに進出した韓国の“コリアン・ゾンビ”ジョン・チャンソン・・・・・、最近『DREAM.15』を前にした記者会見で、SRC時代に同階級のライバルだった小見川道大の「以前にジョン・チャンソン選手と闘ったときも情報がなかったんですけど、そのときは変な試合をしてしまった」という発言に対する返答だ。チャンソンは「あの発言を見てカチンときた。オミガワの言い訳は、ファイターとしてはちょっと情けない。…(略)…。自分のこの言葉がちゃんと日本のメディアに伝わって、オミガワが刺激を受けてWECに来てくれたらいいね」と、エールともとれるコメント…」

自分は比較的マメに、中小興行をDVDにダビングしているほうではあるのだけど、この試合は保存しているかなあ。というか仮にあったとしても、6年ぐらいサムライやWOWOWの映像を録画していると、もはや探すのが大変な感じになっている。

この試合は「あとから振り返ると黄金カードだった」というカードなわけだ。


この試合について小見川道大は「FIGHT&LIFE」でも語っており、「マジで総合をやめようか」と悩ませた試合のひとつだったという。ネオ柔道開眼までには、もう少しの時間が必要だった。

Fight&Life (ファイトアンドライフ) 2010年 08月号 [雑誌]

Fight&Life (ファイトアンドライフ) 2010年 08月号 [雑誌]

再戦があったら、大いに大いに盛り上がることになるだろう。
是非とも見てみたいものだ。さて小見川、次はどこへ行くのだろう。


以前の試合はこんな感じでした。

「戦場最後の格闘技・銃剣術」はいつをもって戦場で滅んだのか?(「ロシアとサンボ」)

昨日、Ustの柔術番組を見ていたら、「ロシアとサンボ」著者の和良コウイチ藁谷浩一)氏が出演していました。

氏は最近
「溺れる者、摑むべからず。」
http://warakoichi.blogspot.com/
というブログを開始したが、それは「溺れる者が掴もうとする」→藁。という由来だったという。なんと!気付かず。
ま、それはよろしい。
氏の著書はこの前ひとつ紹介したが、他にも「廣瀬武夫サンボ開祖説の虚構」や「世界全体への柔術普及」などの章が面白かった。あとで紹介しようと思いつつのびのびになっていたので、再開しようと思う。
で、今回書くのは「柔道と銃剣術(白兵戦)」の関係についてです。

ロシアとサンボ -国家権力に魅入られた格闘技秘史-

ロシアとサンボ -国家権力に魅入られた格闘技秘史-

サンボの真の開祖と言えるであろうワシーリー・オプシェコフは、1927年9月、ノボシビルスクの地方紙に「日本の柔術赤軍へ」と題する投稿を行った。
この柔道紹介、サンボ発祥の元となった文章で彼は、柔道普及の前提として「歩兵の銃剣術の訓練が必要だと主張した」そうなのである。

そしてソ連が「GTO」という、どっかの型破り教師みたいな略語の(笑)体育訓練プログラム(正式な意味は「労働および国防に備えよ」の頭文字だという)を始めたとき、柔道も銃剣もそれに入っていたという。

だが一方で、同書はこういう。

ロシアの軍隊は<柔術>とどのようにかかわりを持ったのか。20世紀が開幕し、ロシアも世界各国と同様に、遠距離攻撃が可能な最新の軍事テクノロジーに関心を抱いた。”古風”ともいえる白兵戦のやり方に関心を持つ者はほとんどいなかった。
当時のロシアでは、兵士の武装から「銃剣は取り除くべきだ」という主張もあったほど、白兵戦の存在は軽視された。つまり<柔術>が戦場で有効に使えるなどと認識する人間はほとんどいなかったのだ。その中で白兵戦の重要性を認識していたのか、国境警備隊や諜報部隊である。たとえばハルピンに派遣されていた部隊は、中国の犯罪組織との戦いが不可欠だったため…(同書83P)

なるほど。
そして、銃剣術などより遠距離攻撃に重点をおいた近代ロシア軍に、銃剣突撃の日本軍は大苦戦し、旅順で、その二〇三高地で、「屍山をなす」大被害を生んだ−−−といったストーリーが、国民的小説「坂の上の雲」でも語られている。

新装版 坂の上の雲 (5) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (5) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (6) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (6) (文春文庫)

旅順攻防戦は文庫本では5巻、6巻。

だが。
最近−一部では出版当初から−「坂の上の雲はあくまでお話」とか「事実関係は違う」といった批判が出てきた。まぁ、そりゃそうなんだけどね。
福田恆存が発表時に書いた「乃木将軍と旅順攻略戦」は、”日本の近代”まるごとを問い直すような名文だったが、最近はこういう本も出ている。

「坂の上の雲」では分からない旅順攻防戦

「坂の上の雲」では分からない旅順攻防戦

目次のタイトルだけ見てもおもしろいね

対談 架空戦史から戦訓を引き出す危うさ(兵頭二十八別宮暖朗)
第1章 永久要塞など存在しない
第2章 歩兵の突撃だけが要塞を落とせる
第3章 要塞は攻略されねばならない
第4章 失敗の原因は乃木司令部だけにあるのではない
第5章 ロシア軍は消耗戦に敗れた
第6章 旅順艦隊は自沈した
第7章 軍司令官の評価はどうあるべきか

ありゃ?続編も出ている。人気があったのかな

(坂の上の雲では分からない) 日露戦争陸戦

(坂の上の雲では分からない) 日露戦争陸戦

「坂の上の雲」では分からない 日本海海戦

「坂の上の雲」では分からない 日本海海戦

そんでですな、こういう種類の本の中でけっこう語られているのは「銃剣突撃を遅れた日本軍がやってて、ロシアは正しくそれを時代遅れと認識してた・・・というけどそんなことはないよ。ていうかロシア軍のほうが銃剣突撃バンバンしてたし。そもそも世界中でそうやってたし。ていうか実際有効だったし」(大意)といった話なんです。


私はこれを高島俊男お言葉ですが…」シリーズで……と書いたところで、なんかデジャヴ感にとらわれて自分のブログを検索したら一回書いてた(笑)
■格闘技と白兵戦について…日露戦争、英国ステッキ術
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090209#p3
一部を、まとめて再録。

お言葉ですが…〈5〉キライなことば勢揃い (文春文庫)

お言葉ですが…〈5〉キライなことば勢揃い (文春文庫)

ここに「白兵戦」について、計三回考察したエッセイが載っている。基本は『なんで銃剣やサーベルでエイヤとりゃあとやりあうのを「白兵戦」というのか』という、語源を考察した話で、このことも紹介したいんだが今回は泣く泣く飛ばします。

高島氏が、司馬氏の「坂の上の雲」のある描写に対してこう書いている。

ロシア軍保塁に香月中佐の連隊が反復突撃し、ついに白兵戦をもってロシア兵をたたき出した。白兵戦の闘技は、日本兵はロシア兵よりもはるかにまさっていた。日本には古来、槍術の伝統があり、それを基礎にしてこのころすでに銃剣術の闘技が完成していた。(※ここまで「坂の上の雲」引用部)

日本人は昔から白兵戦に強い、というのが通念になっていて、司馬さんもそれに乗って書いているが、しかしどうもそうではないらしい。伝統的に白兵戦を重視し、しかも強いのはヨーロッパの軍隊であって…(略。ここで荒木肇「静かに語れ歴史教育」などからドイツ観戦武官の日露戦争見聞記録などをひいています)…そりゃたしかに、あのでっかいロシア兵と顔つきあわせてのぶったたきあいになってはとてもかなわなかったろう。

じゃあなんで司馬も語ったような「白兵戦は日本のお家芸」という話が出てきたのか…(略)…「どうも日本軍は白兵戦が苦手だから、メンタル面克服のために『白兵戦になったら強い!なぜなら伝統がある!』と思わせよう」ということのようなのだ。

柔道部物語の
「強さに自信をつけるにはどうするか?一番手っ取り早いのはてめえで勝手に思い込むことだ」
「『おれってストロングだぜぇ〜〜』」

っていうアレですよアレ。


これで参考になるのは、古い柔術レスリングにも詳しい「翻訳ブログ」。
同ブログの
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/
「軍事」カテゴリーで現在「白兵戦について」がまとめて読める。
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/cat15630063/index.html
ただ、読んでみるとフランスやドイツの例が多く、ロシアについての記述は少ない。ロシアと言えば「ほんとお前ら大砲好きだな!!」という火砲重視の伝統もあり、いち早く銃剣脱却の議論が20世紀初頭には主流だった、のかもしれない。
日本を仮に銃剣戦闘で圧勝したとしても「あまり重視せず、不要論も台頭するような片手間扱いの銃剣術でも、ちびの日本人相手には余裕っスよガハハ」というようなことかもしれない。

このへん、実際はどうなんでしょう?

挿し絵は「こち亀」のベストオブベスト、「度井仲県」からの留学警官の話より。

「リアリズムと防衛を学ぶ」ブログ、新書「ヤフー・トピックスの作り方」で紹介される

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

軍事関連でもうひとつ話題を。
発売当初から気になっていた「ヤフー・トピックスの作り方」をこの前読みました。
自分個人は、インフォシークからグーグルを愛用し「ヤフーというのはだめなところ」というイメージがずっとあったので一度もポータルサイトとして利用したことがないまま。それゆえ「ヤフートピックスが物凄い影響力を持つ」ということをいまだに実感できてない…というのは、以前述べた通り。(http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100408#p4

だから逆に、イチから学ぶつもりでこれを読んだというわけです。、

自分たちの取材や評論ではなく「紹介」のみを行う。
その選定や見出しの付け方、関連記事の検索やリンクに工夫を凝らす。
それでも、その影響力のあまりの大きさに「恍惚と不安」を感じる…といった話を、ヤフートピックスの責任者であり、元読売新聞記者でもある奥村倫弘氏が書いていて、なかなか興味深いものでした。
ヤフーより先に、或いは同時に「リンク集」の編集・選定によってひとつの作品を作ってきた、非商業系ネットニュース各位にも興味深く読めるのではないでしょうかね。
(最近、手塚治虫藤子不二雄A藤田和日郎などのトピックを当道場本舗から選んでいただいてありがとうございました)


さて、そういうふうに読んでいたら、なんか見慣れた「はてな」の名前が出てきました。「普通のブログ(※公的なものやニュースサイトではないもの)もニュースの参考として非常に役に立つ」という話の中で・・・

一時期、ブログは「個人の日記」とも説明されたため、他愛のない日常がつづられているかのような印象がありましたが、もはやそんなことはありません。多様な物の見方や考え方は、日々の報道よりも、個人が書いたブログの中に見つけられる場合が少なくないのです。

09年10月27日、関門海峡海上自衛隊護衛艦「くらま」と韓国籍のコンテナ船「カリナ・スター」が衝突するという事故がありました。テレビのニュースで伝えられる映像を見ると「くらま」の艦首部分がひどく炎上し、暗闇の中でオレンジ色の炎が映し出されていました。そしてよく見ると「くらま」の艦首はひどく損傷して原型をとどめていないのですが、コンテナの船は「くらま」と比べて大きな損傷はありませんでした。
(略)
最初に私の頭をかすめたのは「なぜ護衛艦のほうが貨物船より弱いのだろうか?」ということでした。
私の知る限り、この素朴な疑問に答えてくれる新聞やテレビ番組は見つけられませんでした。艦首部分にはペンキ類が積まれていたのでそれが激しく燃えたのだという記事はありましたが、私の疑問は「何が燃えたか」ではなくて「なぜあれだけぐしゃぐしゃになったのか」ということでした。

インターネットを見渡してみると、私のような疑問を持った人はほかにもいたようで、この疑問に答えてくれたのは新聞やテレビではなく「リアリズムと防衛を学ぶ」(http://d.hatena.ne.jp/zyesuta/)というブログに掲載されていた「なぜ護衛艦”くらま”はコンテナ船よりも脆いのか?」という記事でした。
10月30日に投稿されたこの記事は、海戦の歴史的な変遷から説明に入ります。
(途中は略。 実際に読んでもらったほうが早いので )
物の見方として興味深い視点を与えてくれたことで、私は「なるほど」と膝を打ちました。このブログ記事は「護衛艦『くらま』衝突事故」というトピックスの関連情報エリアにリンクしてありますが、伝統的な報道機関にはなかなかかけない切り口であるようにも思いました。
(同書153-155P)

まだこのトピックスのページは残っているね。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/ddh_kurama_collision/
ひと月45億のページビューがある(!)ヤフーのニュースサイトだから、アップされたときのブログへの来訪者はハンパなものではなかっただろう。
ただ、今回の本で紹介されたことをご本人( id:zyesuta )はご存知だろうか?献本とかされたのかな。