番宣CMで偶然知ったので、お伝えする。
(38)「金縁の鼻眼鏡」
ジェレミー・ブレット主演シャーロック・ホームズのドラマシリーズをBSPと4Kで放送!ある青年が殺された。残されたのは金縁の鼻眼鏡と彼の謎めいた言葉だった。
ケント州の屋敷で青年スミスが殺される。彼は館の主であるコラム教授の優秀な秘書で、その死を願う人物は見当たらない。手がかりはスミスが亡くなった時に握っていた金縁の鼻眼鏡と、メイドが聞いた「先生、あの女です」という彼の最後の言葉だった。ホームズが兄のマイクロフトと屋敷へ赴くと、教授はメイドの証言を否定し、スミスの自殺説を唱える。イギリス1994年制作。
この「金縁の鼻眼鏡」は、ホームズ物の中でそのトリック、推理方法に関する論理性という点ではピカ一の作品で………というか、
「シャーロック・ホームズを”本格推理警察”がチェックした時、唯一『釈放だ、お前は行っていいぞ』と言われるのはこの作品しかない」
と、そう評価されてるのだよ。つまり、いかにホームズ物が全体として見ると、謎解きミステリとしてはアンフェアか、という話でね(爆笑)
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(略)……深夜の訪問者が玄関ホールのランプに照らし出された時、すぐに誰が来たか分かった。将来性を見込まれたスタンリー・ホプキンズ警部だった。彼の仕事振りにはホームズも何度か非常に実務的な関心を寄せていた。「ホームズさんはいますか?」彼は勢い込んで尋ねた。
「あがってこいよ、ホプキンズ」ホームズの声が上から聞こえた。「こんな夜中に何か企んでるんじゃないだろうな」
警部は階段を上り、濡れたレインコートがランプの光に照らされて輝いた。私がそれを脱ぐ手伝いをしている間にホームズは火格子の薪を割って燃え上がらせた。
「さあ、ホプキンズ、近寄って足先を暖めろ」彼は言った。「葉巻はどうだ。ワトソン先生が湯とレモン入りの処方薬を持っている。こんな夜にはいい薬だ。こんな嵐の中をここまで来るというのは何か重要なことなんだろうね」
「まったくそのとおりです、ホームズさん。昼からは本当にあわただしかったですね。最終版に載っているヨクスリー事件を読みましたか?」
「今日は15世紀以降の事は何も読んでいないな」
「まあ、段落一つの記事ですし、全部間違った内容ですから、読む値打ちはありません。私はグズグズと初動捜査を遅らせる人間ではありません。現場はケント州の南方、チャタムから七マイル、鉄道の線路から三マイルのところですが、三時十五分に電報を受け取り、五時にはヨクスリー・オールド・プレイスに着きました。調査を終えた後、最終列車までにチャリングクロス駅に戻り、馬車で真っ直ぐにここへ来ました」
「ということは、どうやら、君はこの事件を解決し切れなかったわけだな?」
「全くお手上げです。最初は非常に単純で、上手く行かないはずはないように思えたのですが、現時点では、これは私がこれまで扱った中で最高にややこしい事件です。動機が全くありません、ホームズさん。それで混乱しているんです、・・・・動機がつかめません。ここに殺された男がいる、それは間違いありません。しかし、私が調査した限りでは、誰かがこの男に危害を加えたいと思う理由がありません」
ホームズは葉巻に火をつけて椅子にもたれた。
「聞かせてくれ」彼は言った。