【訃報】骨法の堀辺正史師範が昨年12月に死去 https://t.co/rDtxt2vAK4
— 週プロmobile (@shupromobile) 2016年3月2日
骨法の堀辺正史氏が昨年12月に亡くなっていたらしい。最近多くなった、あまり一般にその死を発表しないというご遺族の意向だったらしく、確認を取れるメディアも少ないのだろうか。
現在は専門的なニュースメディアで報じるところは週プロぐらいで少ないが、これから確認を取れればもっと多くの人やメディアが取り上げるだろう。
というのは、自分が「骨法」をこのブログで話題にすると、世界最高峰の総合格闘技UFCより、PRIDEやRIZINよりブクマやアクセスが伸びていたからな(笑)。
というか、取り立てて格闘技クラスタでもないはてな村のお前ら、なんで「骨法」を知ってるんだ(笑)。
……その声なき声の答えを妄想すれば、昭和末期から平成にかけての、あの時代に、意識はタイムスリップする。
週刊プロレス。
格闘技通信。
新日本プロレスで、アントニオ猪木、船木誠勝、獣神サンダーライガーが使いまくる「骨法直伝の浴びせ蹴り・掌底」。
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バイオレンス・ジャック(リアルタイムでは見てなかったけど…なんの雑誌だっけ?)。
ここに詳しい記事がある。
http://sititenbattousai.blog.fc2.com/blog-entry-409.html
上の画像はこちらから。
http://fullusedbook.blog119.fc2.com/blog-entry-1290.html
ビートたけし「スーパージョッキー」のガンバルマン。
追記。自分は馴染みなく失念していたが、餓狼伝説というゲームにも確かに出ていたね。
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これだけのメディアを制覇していたのだ。そしてそれはすべて、部数や視聴率、その結果としての世間への伝播力は、今の数倍…ものによっては数十倍あった。
それは普通の人も、ある世代には、本来は「こつ」という意味で広く使われていた古語「骨法」が浸透していて当たり前だろう。
矢野卓見という、リアルなMMAの世界でもなかなかに知られた存在だが、やはり「知る人ぞ知る」な元骨法の人が、堀辺氏に関してロングインタビューをうけたところ…
ヤノタク まあ、そこまで骨法に興味がある人間がいるのかって話ですけど(笑)。
――ところがこないだ無料公開した前半部分は5万人が読んでるんですよ!(笑)。
ヤノタク へー! やっぱり真実は人間の心を打つんですねぇ……
とね。5万はなかなか行かないぜ。
でまあ、自伝とかは基本、事実じゃないことが多いわけだけど。
父親は東條英機のボディガード
一子相伝の暗殺技術
弥生時代から伝わる技
左翼、右翼の団体に若き日は所属し、内ゲバなどにも遭遇。鉄パイプでの襲撃を素手で撃退
謎の大金持ちが主催する、世界最強を決める闇の格闘技トーナメントに出場し優勝
電話帳を重ねても衝撃が伝わる「徹し」
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などなどがあり、しかしまーなんですねー、だ。
一部は本人が「伝説は、虚構だった。」と認めたりしている。
ウィキペディアには、このへんのことがずらっと並んでいたなあ…と思いきや、なんかかなりすっきりしちゃってる…
だが、名残りを見つけた。ノートでの削除議論と、記事の変更履歴(笑)
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%E5%A0%80%E8%BE%BA%E6%AD%A3%E5%8F%B2&oldid=3447951
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%A0%80%E8%BE%BA%E6%AD%A3%E5%8F%B2&action=history
そして、多くの武道がぶっちゃけ今でもそうであるように(笑)、伝統や創始起源の話がハッタリでもホラでも、実際に実績をあげたら、それは「神話的継承」となりえた。
歴史上の事実とどこまで整合しているのか、疑念も多い「キャッチレスリング」も、それを自称する”プロレスラー”が、組技大会メタモリスで柔術王者からタップを次々奪えば説得力が出てくる。
骨法がそうならなかったのは、一にも二にも、VTの現場で骨法が完敗したからです。
いろいろ堀辺氏は弁明もしたけど、「格闘技通信」の朝岡秀樹氏らは、谷川時代の負の遺産を清算しようと、意を決して「これまで、骨法にページを割きすぎました…」という反省記事を掲載。今思えば、このときの格闘技通信のドラマは、総会屋との関係を清算する銀行マンを描いた「金融腐蝕列島 呪縛」に匹敵するものだったかもしれない。実際に、切り捨てられる側の反発も「呪縛」チックだった。
しかし最初期、UFC(VT)を肯定した功績は大
だけれども、実戦のニアイコールと言っていい、総合格闘技(MMA)…。いや、そもそも「あれは野蛮な喧嘩大会」「実戦とはまるで違う」「我々はもっとテクニックや礼節を重んじたい」と、いろんな逃げ道があり、ゴング格闘技ですらUFC登場当初は、そっちの方向性で行く気満々だったのに、ターザン・谷川とタッグを組んで「MMA(そういえば、当時こんな言葉はなかった…ノーホールズバード、NHBでありヴァーリトゥード、VTだよ!)こそ、最高の実力測定の場です」「グレイシーは本物(骨法に言われるのもなんだけど…)」「世の格闘家よ、逃げて通るのか!!」とさんざんに煽って、自分たちもふくめて逃げ場を無くした、というのは、UFCのダナ・ホワイトやロレンゾ兄弟がカステラもって挨拶に来てもいいくらいの功績やで。
あのとき、格通も足並みをそろえ「あんなのは野蛮なショー」と言って無視していたら、どうなったことか…
あのUFCの豪壮なオフィスビルの2階ぶんぐらいは、骨法のおかげといってもいい(そうか?)。
この本は、はっきり言ってなかなかの名著です。
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世界が「チョッピリ今より楽しかった」時代
だが…ここからが本題だが、そんな今にして思えば「なんて荒唐無稽なんだ!」的なハッタリや大ボラは、憎む対象になるかというと、なぜか懐かしいのだ。
以前書いた一節だが
80〜90年代 落合信彦、堀辺正史、柘植久慶、あすかあきお……らがいた時代、世界はチョッピリいまより面白かった、ような気がしないか。
そんな「3丁目の夕日」的ノスタルジーを感じつつ。
骨法・堀辺氏をいま追悼するに、自分としてはこの言葉に尽きる。
そして、落合信彦氏も柘植久慶氏もそうだったが…彼らには、ときどきは印刷物や雑誌ジャーナリズムによっての追及もあったけど、最終的にそのうさんくささが浮上、定着するのには、「インターネットによる情報爆発」「プロのメディア関係者、ジャーナリストじゃなくても、誰でも海外資料や旧資料にアクセスできる。実体験の手記をかける。それを不特定多数の人に見せることができる」という、時代の変化があった。
これは実感として、分かる人がかなり多くいるはずだ。
思えば大山倍達、梶原一騎……などは、もちろん後から研究検証されることは多々あるのだけど、実際の世俗の身としては、まだまだ若いうちに亡くなったことで結果的に「逃げ切った」感もある。
骨法や落合信彦は、「かつてはあれでも通用した。だが、今では通用しないんだよ」……と、そういう時代の象徴としても、自分は感じている。
しかし、それでも、
とにかくその、「ハッタリがバレる」過程を含めて楽しかったし、子供心に素直に信じたりしたものだった。
また……いまにして思えば、VTに「出撃」した骨法は、最終的には徹しとか弥生時代から伝わる、とかの起源はともかく、自分たちの技、強さがそういう場でも通用すると言う確信を、堀辺師範をはじめとして持っていたわけだ。
そういう「酔い」を持っていたところも、最後は自分もそれを信じて自爆したところも、なんかひとつの愛嬌として感じられたりもする。まあ、例えば投資詐欺でも、やってる人間が「これウソなんだよね。だけどみんなだまされるなー。さて、いつ持ち逃げしよかね。」と思って集めてるのと、「これこそ革命的経済論だ!これで儲けて儲けて儲けて、俺もみんなもリッチになるよ!」と当人も信じて集めてるのとで、後者を情状酌量する余地があるかどうかは知らないけど…
もちろん、佐村河内氏や、「久保田武蔵」など、それ系が完全に消えることはないだろうし、骨法の共犯者だった谷川貞治氏は、いまや「巌流島」を運営し、逆にそういう「神秘」「伝説」を、そういう実力測定の舞台に出して、「ありゃー、伝説は虚構でしたね。達人は保護されていましたね。チャンチャン♪」、そういうプロセスを商売にしようとしているわけだ(笑)。ある意味、骨法から学んでいる、といってもいい。
だからこそ、昭和の末期から平成初頭にかけて、「ハッタリと大ホラで天下を取る」ということを目指し、それであそこまで成果を上げ、そしておそらくはインターネットなどに敗れていく、そんな存在はなかなか今後は出ない。
そういう点で、もろもろをひっくるめて、やっぱり「ありがとう」である。
魂安らかなれ。
とまあ、いい話をしてるときに微妙にぶちこわしなツイートがあるわけだが。
誰のツイートだよ、まったく。
骨法・堀辺正史氏追悼
— gryphonjapan (@gryphonjapan) 2016年3月2日
そういえば、自分がまだ替え歌師だったころ、
「ジャングル黒べぇ」をもじって作ったのが
「骨法ほりべぇ」だったな…
今更、紹介するもがなだし追悼でも何でもなくなるが、
せっかくだから画像貼っておこう…。 pic.twitter.com/KdSwvORNGc
過去の「骨法」「堀辺正史」に関する、当ブログの関連記事(一部)
矢野卓見、骨法と堀辺師範を語る!「佐村河内氏と堀辺氏は共通点があるのではないか(Dropkickサイト) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140319/p2
「空気読め」の同調圧力が高まると「試合で出来ない技が道場で決まりまくる」という話(骨法でも柔道、柔術でも) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140504/p1
公武堂TVより。格闘家・梅村寛が船木誠勝「ハイブリッド肉体改造法」に抱いた疑問 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110809/p2