「アントニオ猪木の神通力」につながる話だ。OMASUKIFIGHTでダナ・ホワイトが語る。
Q(略)ある種の人たちは、MMAのようなものはけして受け入れないような気もします。どこまでメインストリームになれるものでしょうか。
Dana それについてはこう考えている。マスターズゴルフを例にとろう。CBSで放送していて、1200万人が見ている。でも自分は個人的には、ゴルフをやっていても、なんじゃこれは?と思って、チャンネルを変えてしまう。クリケット中継をやっていても、やっぱりチャンネルを変える。MMAなんか見ないという人はいる。でも、いまやろうとしていることは、将来への投資なんだよ。こういう放送をすれば、ある世代の人々がみんな、テレビでUFCを見て育つ。自分がボクシングを見て育ったようにね。人が大きくなっても思い出すような、ノスタルジックなものになっていくんだ。だからこうしてテレビで放送するんだよ。あんたはいくつかね。
Q 32です。
Dana 自分は42だ。ビッグマッチを見て育ったんだ。アリやホームズ、ヘビー級チャンピオンの試合をフリーTVで見ていた。昔はチャンネルも4つくらいしかなかったから、みんなが同じものを見て、一緒に育った。君の言うとおり、それでもけして見てくれない人もいる。でも、フットボールにしてもボクシングにしても、とても暴力的な面があるけれど、それを見て育ったら、もはや暴力的だという風には見なくなるんだ。いまの世代がUFCを見て育ってくれれば、暴力的だと言って騒ぐような人はいなくなっていくだろう。
Q 今回のFOX放送で、あなたにとってのボクシングと同じものを作ろうということなんですね。
Dana 全くその通りだ。しかもアメリカだけじゃなく、世界中で同じことが言えるんだよ。格闘技に関して自分の考えはこうだ。アメリカの三大ビッグスポーツには、バスケットボール、フットボール、野球がある。それぞれのトップ選手を思い浮かべてくれ。そいつらは世界中で有名と言えるか?イギリスに行ってももみくちゃにされるような存在か?
違うだろ。世界規模で有名な人と言えば、それはマイク・タイソンであり、モハメド・アリであり、ブルース・リーなんだよ。国籍も言語も関係なく、人として、格闘技はDNAに染みついてる。見ればすぐにわかるし、誰しも世界一強い男に夢中になるんだ。だからフィリピン出身の百数十パウンドの小男、マニー・パッキャオは世界中で有名なんだ。
うーん、説得力があるような、無いような・・・
だが、よきにつけあしきにつけ、いま少なくとも「放送」に関して時代、というか環境は変わりつつある。
アメリカであっても、40代の人間は4つ程度のチャンネルで放送された番組をみんなで見ていた。その時代のヒーローは「みんなのヒーロー」だった。
そして多チャンネル、PPV、ネット放送時代のヒーローと比べると、あまりにその「地上波限定チャンネルの時代」のヒーローは大物すぎる。その差は埋まるのか、それとも差は構造的に埋まらないのか、それとも種類が変わるのか。
「1985年のクラッシュギャルズ」も、地上波のヒーロー、ヒロインがみんなのヒーローヒロインだったあの時代の熱を伝えている。
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