てなわけで視聴率男・内藤大助さんが苦しい苦しいDREAMを助けに来てくれました。これで番組的にはやれやれ一安心、となる…のかな?番組内で内藤とDREAMにどーんと活断層が出来たらいやだな。
で、テレビの将来ってことですけど、一ヵ月ほど前かな。ここでも紹介したNHK「日本の、これから」でテレビのこれから、ってのをやってた。その中で楽しめる番組作りとかなんとか、精神論のほうはまあどうでもいい。興味がある一点は、ネットという社会環境の整備によって、どう構造としてのTV放送が動くか、って話でした。
夏野剛という人に話が振られる。ドワンゴの取締役だそうな。ニコニコ動画の親分ですね。
■夏野剛
「ネットとテレビを対立軸でとらえるのがおかしい。
テレビは24時間×365日を埋めているから,すごいお金と労力をかけて作るからすごく質の高い番組が出ているのは間違いない。
でもそれに自分の生活パターンをこちらがあわせなきゃ見られないのはなんで?これ、壮大な資源の無駄だと思う。HDDはもう内閣府調査では普及率40%。でもこれ放送局がオンデマンド放送をすれば本来いらないもの。
10万円のHDDを5000万世帯が買ったら5兆円。オンデマンドをやったほうがいいでしょう。」
■NHK副会長
「同感です。コンテンツを送る機能は幅広くしたい。パソコンでもなんでも伝えられるようにしたい。」
アメリカの現状リポート。その前に、日曜日のテレビをテーマにしたコントを放送
NHKキャスター 「はい、このように日曜の夜は笑点、サザエさん、そして8時から大河ドラマ(笑)というように、テレビの放送時間に合わせて自分の生活時間が出来ているかたもたくさんいると思います。ですがそれがインターネットでまったく変わろうとしています。アメリカでその現状をリポートしました。何が起きるのか。」
ナレーション
アメリカで今、あらたなテレビ視聴が広がっています。パソコンでTVを見る。動画投稿ではなく局が作ったドラマを丸ごと見られます。
自分の好きな番組を好きなときに見られます。
ある視聴者
「TV局の都合じゃなく自分で選べるのがいいですね。」
TV(機)はまったく見なくなりました。「さよなら、TV(笑)」
■アメリカのインターネットテレビ 「JOOST(ジュースト)」社。
テレビ局ながら、スタジオもカメラもなし。世界中から番組を買い、広告を載せて放送。その利益を、番組を提供してくれた世界中の番組会社と分け合うしくみ。
ここに、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」が字幕つきで放送されていた!!
■この社のCEO
「視聴者がありとあらゆる番組を探すことが出来、それを見たいときにいつでも見られるようにする。
私たちは融通の聞かないテレビの放送時間から視聴者を解放し、自由にする!!」
■インターネットでオリジナルのドラマを作っている人を紹介。
自宅が舞台、自分フェリシア・デイさんが主人公兼プロデューサー。スタッフは3人。
放送は1000万回を突破し、番組作りの寄付金があつまってドラマが完成した。
「わたしがこの、インターネット革命をリードしたい」
どのテレビ番組をいつ見るのか。それを決めるのはテレビ局の都合ではなく、これからは視聴者が決める時代。
■ジュースト社「ラジオやテレビはみんなが同時に視聴するという考えに縛られていた。放送時間表をつくる必要があり、『編成』が必要だった。でももう、編成は必要なくなります。」
スタジオに戻る
NHKもオンデマンドを始めましたが…ここでスタジオに聞いてみましょう。
『テレビを「決まった時間に」見る機会はこれから大きく減りますか?』
はいといいえでカードを上げるスタジオの人たち■司会者 おお、視聴者のみなさんはほぼ半々。製作者側は「減らない」がほとんどですね。ここは分かれました。
■「減る」の視聴者 「利便性で考えれば好きなときにみるのが当然です」「若者のTV番組離れといいますが、若者は忙しいからみない。好きなときに見られるほうがいい」
■「減らない」の人 「放送は回転すし。流れているものからおいしそうなものを選ぶ。」
■「減る」の人「わたしは地方在住。東京の番組は見られないものが多い。今でもビデオやDVDで見るから」
■製作者
(日本テレビ)
「減らざるをえないかな、と思いましたがこれはソフトの問題。ニコニコ動画だってライバルだ。魅力的なソフトを送ればいいし、その内容にあったものをその手段で送ればいい。テレビは即時性とかがある。ネットでもテレビでも同じものが流れるのはあらがえない事実」
■(TBS)
「はたして生のニュースを配信して、そのままネットで見ますかね。今、同時に、生で何が起こっているかを共有化する。それがテレビの強み。手前味噌ですがTBSは春の改編で生放送が60%近くになった。7時のニュースもそのひとつ。あとひとつ、手手前味噌ですけど、うちが制作した「おくりびと」が賞をとったが、あれは癒しとか家族とか心とかを描いている。だがあれをPCで個々人が見たいだろうか。やはりお茶の間で一緒に、その場で共有して味わいたいコンテンツなのでないか。そういうコンテンツを作っていくことだと思います。」
■ふたたび視聴者
「でも即時性って、今やテレビだけじゃないですよ。わたしは新しいニュースはネット上で知って、「本当かな」と確認のためにテレビをつける。テレビが情報の流れのトップにあるという考えを捨てたほうがいいと思います。」
「テレビだけが特別じゃないぞ。という気はします」
■夏野剛
「即時性はたしかにテレビが向いてます。ですけど、(TBSの人は生放送が)60%と言ってたけど、じゃあ残り40%はオンデマンドのほうがいいと思います、それがひとつ、あとひとつは、さっきの(アメリカレポート)はたまたま、PCのカタチで見ていましたが、テレビの形でオンデマンドを見られるので、箱の形は関係ない。そこでわたしは質問したいのですが、(製作者のほとんどは「いいえ」だが)即時性が必要なTBSの吉崎さんの番組は別として、ほかは即時性必要にみえないんですが、なぜ「その時間に」見てほしいのか。僕はこの結果に非常に衝撃を受けていて・・・なんでですか?」
■水曜どうでしょうの製作者
「ぼくはネットとTVはまったく違うと思ってます。で、ぼくの番組は確かに生放送じゃない。だけどなんかこう、腹が立ってしょうがないんですけど、テレビマンは…ぼくはいま、腹が立ってしょうがないんだけど、みんなそう思っていると思うんだけど、テレビマンは、『その時間にテレビの前に座ってみてくれ!』といわなきゃいけない。」
■視聴者「はいかいいえじゃなくて、別の見方をしてるんですよもう」
■夏野剛
「そういう気持ちは大事でしょうけど、でもみんな、実際にいそがしいんですよ。ぼく、水曜どうでしょう、見たくても見られないんですから」
■糸井重里
「みんな、一緒に見たいんですよ。人間は一人で生きているわけじゃない。会社で同じ話題、家族で一緒の話題のうれしさはばらばらに、ああ先月に見たじゃなりたたないんですよ。今日XXがあるから帰るね、ってのがうれしいんですよ。人は群れて一緒にやるのが嬉しいんで、オンデマンドはいいこといっぱいあるけど、それで無くならないと思う」
■夏野剛
「ただオンデマンドで一緒に見ますから。わたしのうちは7日×24時間全部録画してるHDDがあるんですから」
■民放連会長
「民法もオンデマンドはやってるんです。ただ無料というわけにはいかない。でも出演者にお金を払わないといけない。契約が一回放送になっているから、とても黒字にはならない」
■夏野剛
「でも、テレビの広告は右肩下がり、ネット無料配信に広告をからめて、やっと維持できるんじゃないですか?」※ここからは大幅に要約
■蔦信彦
「テレビで残るのはスポーツとニュース。これはリアルタイムでみたいでしょう」
■テレビ東京「ガイアの夜明け」製作者
「そんなに皆さん便利なものがみたいのか。便利なものがいいのかと、便利を求めるのもどうなのかと。バラエティみたいにぐだぐだすごすのもあっていいのではないか。情報とかオンデマンドとか、そんな便利なものばっかりを求めてどうするんだろう。人間がギスギスしている。そんな目でやさしくテレビをみてほしい」
こうやって書いてるけど、それこそオンデマンドでこの番組が見られれば必要ないんだろうけどね(笑)
抜き出してみると、また格闘技関係で書いたのは
・相対的に、ライブであることの価値が高いものが生き残る
・それはニュースと、スポーツである
と。短期的にはともかく、長期的には格闘技も含めてスポーツの未来は明るいのですぞ(言いっぱなし)。
あと
・ジュースト社は世界中から番組を集めている。日本の格闘技が売れるかもしれない。
うれれば人気出るかもね。
あなたがた、知ってましたかJoost社。その放送みたことありますか。
しかし「オンデマンドはいやだ」という、作り手の主張はあからさまに論理的に破綻し、支離滅裂だった(笑)
だが、X月X月に・・・・人が見ました、というのはオンデマンドで計・・・人が見ました、というより、大衆動員の「権力」であるのはおそらく事実だろう。オンデマンドはその権力を、テレビ局が手放すということになる、のですよ。間違いなく。
ところで
井沢元彦は「逆説の日本史」連載の中で、数年前にこういう日常をシミュレートしていた。あの当時でもそういう議論はたしかにあったが、分かりやすく一般に解いた功績と先見の明は評価したい。上でも参考にした。
将来的に
PRIDEやDEEPの試合をみんなが録画するのではなく、オンデマンドで試合を引き出してみるようになるのだろうか?どうなんでしょうね。
補足・関連リンク。
コメント欄から。
geometric
2009/04/27 18:37 僕の予想ですが、数年後、このような中間メディアに日本のテレビ局は乗っ取られると思いますよ。まあ表向きは業務提携でしょうけど(笑)。固定時間に拘るのは、番組制作のアウトラインの問題では? ウチの関連エントリです(TB失敗しました)。
http://senkanburian.jugem.jp/?eid=563