また私事から。我が家のパソコンもどっかの団体のように「〜ごろには復活する」という予想が、追いかけても追いかけても通常のザクの三倍のスピードで逃げていく。さすがにオルタナティブによる書き込みも今回を最後にしたいところだが。
今回も予定外だったが、ようやく手に入ったGONKAKUについて語りたいので無理して推参した次第。
さて。なぜ「ようやく手に入った」かというと…まずこれも私事に近いし、統計的な裏づけもなしに体験談をそのまま普遍化するのも限界があるが、今回GONKAKUを買うため近所の三つの書店を回ったら全部売り切れていて、苦労しました。どこも、いつもこの雑誌を置いてある書店ですよ。
なぜだろうとつらつら考えるに、やぱりあれだな、117Pのショーン・シャークインタビューが人気を呼んだのだろう。
んな馬鹿な。
で、やはり理由は表紙を飾った山本KID徳郁の「神の恩恵」だと考えざるを得まい。ごらんあれ。
GONKAKU (ゴンカク) 2007年 09月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2007/07/23
- メディア: 雑誌
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PRIDEという、天に挑んだ傲慢のバベルの塔が崩壊し、そしてKIDも五輪の途中で腕を折り、つまりは十字架上で「一度死んだ」。その神の子が復活し、ある意味での「新約」を民に授けるというわけだ。
こういう似非キリスト教の暗喩をこじつけるのは得意(笑)。
神の子は、こう語られた。以下要約。
インタビュー聞き手は松山郷。
◆BJペンのところで10日ほど練習した。ハワイは大好きだし、BJはほんとに天才。彼とは友達だし(機会があっても)戦いたくない。友達でなくっても、ちょっとやる気がしない。
◆(ダイナマイトUSAの感想を聞かれ)フットボール選手はすごい倒れかたしてたね。ダメだよ闘っちゃ。ボール持ってろよ、って(笑)。
◆(レスリングはまだかすかながら出場可能性はあるが)総合に気持ちを完全に切り替えた。こっちでやってく。
◆もう同じジムの朴光哲に70kgはがんばってもらって、俺はその下の階級でやります。もう30歳だし。これまでは軽い階級を盛り上げるためにがんばってきたが、アメリカでもWECが65kgがあるし、谷川さんも作るといっていたはず。70kgで無敵でいられる可能性は半々だし、強い選手はどんどん出てきている。でも自分の本来の階級なら、だれにも負ける気がしない。
◆準備期間が2週間あれば、いつでも闘うことはできる。
◆(アメリカの話題から)自分は前からひじ打ちを練習している。コーチがムエタイ王者だったことと、ヒジを練習すると自然にフックもうまくなるから。
◆俺は今までのHERO'Sでは、相手が70kgだからカウンターを狙う戦法を採らざるを得なかった。65kg級で闘うなら、自分からガンガンいく戦法になる。
◆(ミルコUFC敗戦の話を振られ)自分はヒョードルだから(ヒョードルタイプという意味か、ファンという意味か)。ヒョードル大好きだから。
もちろん、この程度の要約では語りつくせないので、同誌を実際に読むことをお勧めする。
で、まあKIDの要望を谷川が拒むわけもないし、そうする必然性なんか何一つないんで、HERO'Sの65kg級設立は規定路線でしょう。もともとメジャーに無いのは、やっぱりちょっと変だったと思う。いちはやくフェザー王座を作った佐伯繁氏も武士道華やかなりしころ、掲示板でファンの質問に答え
「65kgの武士道は無理。ファンの需要が無い。選手は無理してでも73kgの世界で戦ってほしい」
としていたが、敏腕・サエキングらしからぬ誤手だったと思う。当事者にしてみれば、「今ようやくそうなったんだよ、過去を今の視点から見られても困る」というかもしれないが。
逆に言うとシード何とかとかファン投票かんとかで、KIDが今年のトーナメントに割り込むこともないし、JZカルバンやヴィトー・シャオリンとKIDが闘う必然性も無くなったということ。「KIDは保身で逃げたモナ!!」とかいう人も出てくるかもしれんが、競技的には山本KIDの言うことは正論もいいところだしな。
そういえば菊地昭のHERO'S参戦に関し、KIDは「菊地が、自分に合う階級(76kg前後)を団体に作らせればいいんだよ。それを言える様な存在になるべきなんだよ」と言っていた。有言実行でそれを実地にやってみせたところがすげえ。
私はKIDという存在を、感情的には好きでもなきゃ嫌いでもなく、いつもまったくニュートラルに近い状態で見ているんだが、試合も試合外の行動も、ニュートラルな地点から見て、間違いなく「すごいな、こりゃ」と思わざるを得ない。
やっぱり神の子の名称はぴったりだったのかね。
6 マタイ 14:17 弟子たちは言った。「ここにはパン五つと魚二匹しかありません。」
7 マタイ 14:19 群衆には草の上に座るようにお命じになった。そして、五つのパンと二匹の魚を取り、天を仰いで賛美の祈りを唱え、パンを裂いて弟子たちにお渡しになった。弟子たちはそのパンを群衆に与えた。
8 マタイ 14:20 すべての人が食べて満腹した。そして、残ったパンの屑を集めると、十二の籠いっぱいになった。
これに関係がちょっとあるっちゃあるんだが(笑)KIDのUFC出場は、K-1からのレンタルでもない限り無いんじゃないかと思います。
UFCがいくら桁違いのギャラを提示できたとしても、HERO'Sやダイナマイトの地上波TV放送は日本の中でCMオファーや芸能活動などの膨大な付加価値を生むわけで、それもあわせると決してUFCに見劣りするわけではない。
ましてやKIDはジムの主で、すでにプロで実績を上げている”十二使徒”にパンを分かち合う立場にある。「山本篤や朴光哲、菊地昭もセットで出してくれますか?」という条件に応じやすいのは、やっぱり日本の団体だろう。
そういう点で、KIDは日本でたたかい続ける。そしてPRIDEの現状を見れば、KIDはまだ常に日本MMAの中心であり続け、逆にKIDの輝ける時間が、日本総合格闘技が「メジャー」にとどまる寿命なのかもしれない。
了