http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012091401054
【カイロ時事】米国で制作されたイスラム教預言者ムハンマドを題材とした映画に反発する反米デモが起きた後、初めての金曜礼拝となった14日、世界のイスラム圏のほぼ全域に広がった抗議デモは各地で暴徒化した。(略)・・・抗議行動は宗教対立の様相を呈し、米国以外の権益も標的となった。さらに東南アジアのイスラム圏、インドなど南アジアにも広がっている。
「預言者ムハンマド冒涜」映画への反響が世界的に拡がっている中で・・・
9月7日、「GOODアフタヌーン」が発売された。http://kc.kodansha.co.jp/magazine/index.php/13872
そこに収録されている石川雅之「純潔のマリア」から。
これは、こんな作品です。かもすぞ。
『もやしもん』の石川雅之渾身の最新作!!
- 作者: 石川雅之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/02/05
- メディア: コミック
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中世ヨーロッパ、百年戦争の時代を舞台に描かれる、最強にして処女、魔女にして聖女の名を持つ少女の物語、『純潔のマリア Sorciere de gre,pucelle de force』。教会と天使の理屈に真っ向反逆!!
大天使ミカエルがマリアのもとにつかわしたお目付け役の美少女天使エゼキエル(ふだんはハト)。マリアが人前で魔力を使わないように監視しなきゃいけないのだけれど、あの手この手で魔法を使われ続けちゃってる日々。でも一方で、純粋にみんなの平和を願い戦争をなくしたいと願うマリアの心意気にちょっとずつ共感もしちゃったり。そんな中、百年戦争はますます激化。マリアが見過ごすはずはない!
- 作者: 石川雅之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/07
- メディア: コミック
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もちろん長編漫画の一場面であるからして、これは例えば「そういうおろかな考えを持った迷える子羊が真の神の愛にふれ、”回心”するまでの一過程」のおはなしなのかもしれない。
また、そうであってもそうでなくとも、「純潔のマリア」という作品が・・・個人的にはやや乗り切れない部分もあるが・・・真摯に作者が描いている作品であって、報道を通じて聞くかぎりの、今回の騒動の発端になった映画とは質や製作過程のフェアさの部分でも比べ物にならないであろう。
でも少なくとも外形的には、多くの人が現在なお信仰の対称としている唯一絶対のヤハウェに対して、痛烈な批判を物語中でしている。ちなみに呼び方、解釈に相違はあるが、創造主はもちろん、文中の「イエス、ノア、アブラハム、アダム」も・・・聖なるクルアーンにも登場してくるはずだ。ではヤハウェ=アッラーですか?というド直球の問いには、それは「見なしの自由」も絡んでいて・・・ごにょごにょ、ですが。
で、こういう「ヤハウェ批判」が、公に出版される漫画に掲載されるのは、いいことだなあ、いい社会だなあ・・・と、思う。そう、思いませんか?
実際、東洋の一異教徒には、上の批判ってすっげー腑に落ちるんだよな。
セム系一神教の教えや世界観をちょっとばかりかじると、やっぱり上みたいなツッコミどころって否応無く感じる日本人は多いと思うんだ。ここでも何度か、そういうことを論じた。
「完全教祖マニュアル」の架神恭介が語る「ヤハウェさんパネえっす伝説」
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101224/p6【ヤハウェは裏切り者が嫌い】ヤハウェ「オレを裏切ってモレクに捧げ物をしたやつは死ぬべき」「おまえら、モレクに捧げ物するやついたらちゃんと殺せよ」「じゃないと、お前らごとオレが殺すよ?」
cagamiincage 2010/12/10 01:30:47
ヤハウェの恐ろしいところは、裏切った奴を殺す、じゃなくて、裏切った奴らを殺さないとお前ら全員殺す、ってとこだよな。底知れない邪悪さを感じる。
cagamiincage 2010/12/10 01:30:59
を筆頭にしたリンク集をどぞ。

- 作者: 架神恭介,辰巳一世
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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聖なる日、心を落ち着けて聖書を読もう(2008版)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081224#p9
聖なる日、心を落ち着けて聖書を読もう(2009版)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091224#p4
そもそも無差別に「メリークリスマス」とかいうのはPC的によろしくない。(米国のトレンド)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091224#p5
街でキリスト教の布教者が煩かったら、こう議論を吹っかけろ(「日本思想論争史」より)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080311#p4
新潮選書から「不干斎ハビアン」の本が出ていた。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090825#p4
「神様が全知全能なら、なぜ人間に悪をさせるの?」という問いにキリスト教はこう答えている(三浦綾子)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101224/p7
今回の「純潔のマリア」の1シーンも、こういう発想の系譜につながっていると思う。
このシーンのセリフを、英語とヘブライ語に翻訳したいわー。
アラビア語は・・・どうかな(笑)
でも、あっちはあっちで2000年かけて一番の秀才天才たちがこのへんの問題について考えて、論じてきましたからね。無知蒙昧な異教徒や不信心の徒も分かりやすく納得させる理論も、いろいろあるのでしょう。
一方ヤングアニマル「信長の忍び」(重野なおき)最新号でも・・・本願寺第十一世・顕如の「殺人指令」が描かれる。

- 作者: 重野なおき
- 出版社/メーカー: 白泉社
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- メディア: コミック
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だが「実際に本願寺と織田家の軍事的・政治的対立は存在した」
「本願寺顕如は信者・門徒には宗教的尊崇の対象かもしれないが、歴史上の政治家、軍事指導者でもあり、フィクションも含めて論評やキャラクター化されるのも許容の範囲だろう」と考える。
だいたい、そんなこと言ったらこの後もっと歴史的毀誉褒貶がされ続けている徳川家康さえ「彼は東照大権現であり、信者にとっては神聖な存在である!」とだっていえるしね。
徳川家康(1543年1月31日−(1616年6月1日)
本願寺顕如(1543年2月20日 - 1592年12月27日[2]
ムハンマド(570年頃 - 632年6月8日)