というわけで東京ドームシティホールと名前の変わった会場で「修斗伝承」が開催され、ニアライブ中継もあった。
中継試合に凡戦は無かったが、その中でも一際すごかったのが、ランバー・ソムデート欠場と王座返上を受けて組まれた王座決定戦、生駒純司vs 猿丸ジュンジの”ジュンジ対決”だった。
生駒は29歳で修斗を始め、31歳でプロデビュー。
今回の王座決定戦出場は、41歳でつかんだチャンスだ。和製ランディ・クートゥアといえば大石真丈だったが、生駒も十分そう呼ばれるに値する。
煽り映像でも「猿丸の打撃か、生駒の寝技か」と報じられ、会場の幟にも「極職人」との文字が躍ったが……実際にリング上で展開されたのは、火の出るような打撃戦だった。
寝技で攻めると思われた生駒がテイクダウンをしたのはわずか一回。猿丸もタックルを切るのは得意だというが、猿丸が防ぐというより生駒がそもそもテイクダウンしようとしない。手数は明らかに猿丸のほうが多く、ローキックやハイキックで散らしているのに、要所要所では生駒が当てて・・・2回のフラッシュダウンを奪ったのは生駒だった!!
ポイントを奪いつつ迎えた最終3R、こっちは「もう組めよ!テイクダウンを狙って、成功しなくても時間を稼ぐ戦略でいいやろ。危ない危ない」とハラハラ。何度も時計を見てはタイムアップを待ち、そして終了のゴングが鳴った。
会場に響くイコマコール。血まみれの生駒、顔はきれいな猿丸だが、それでも勝利は間違い無く生駒だった。
「41歳の春」というネタは矢野通アナウンサーも使っていたが…(笑)正直、絶対王者ランバーが君臨していて、そこに猿丸が挑むという既定の路線だったら、生駒に挑戦権が廻ってくるのは順調にいってもまだまだ先だっただろう。
奇跡的に訪れた幸運。そしてその運をつかんだ実力。それらが生んだ王者・生駒純司だった。
もしここでランバーが怪我を治したら第一挑戦者となるだろう。その場合は厳しい試合かもしれない。猿丸が再浮上したら、ランバーvs生駒の勝者に再挑戦、となる。修斗フライ級のドラマは、すぐ第二幕が上がる。