INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

呉智英氏が2012年に語った、宗教(仏教)とマンガに関する講演会の記録があったので紹介します

だれかが、twitterの古いツイートをリツイートしてくださって、自分でも忘れてたことを思い出すことがある。


もう十二支が一回りした12年前、東大で呉智英が「つぎはぎ仏教マンガ入門」という講演会を行っていた。
その時の、実際に開催される前の告知情報は、当方のブログにも残っている。
m-dojo.hatenadiary.com




実際に自分はそこに行って、twitterで現場中継メモをしていたようだ。この当時はすでにガラケーからスマホに…変えていたな。でもまだまだ、インターネットは家でPCでやるものであった。通信料も高いし、定額制でもなかったし。
この時は貴重な例外だったのだろう。


なぜ、こんな古いツイートがリツイートされているかは想像がつく。言及されているたかもちげん「祝福王」が11円セールだからだ。これもメジャー雑誌モーニング連載なのだから貴重な、セール作品である。


以下、ツイログ経由で古いツイートを再掲載する。もちろん講演内容を大幅にはしょり、断片的に文字化したにすぎない。

Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

呉智英講演会「つぎはぎ仏教漫画入門」。最初に自分のスタンスを言うとして阿弥陀信仰や法華経がそもそも成立年代や教義的に仏教とはいえない、と。結局仏教は小乗仏教阿含でしかありえない。他の宗派はダメと言う事ではないが、仏教とはいえないと。

posted at 15:10:43

5月19日
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

阿含といっても阿含宗とは関係ありません」以下阿含宗電通について興味深い話出て来るのだがもちろん略。

posted at 15:11:53

5月19日
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

呉智英講演会「阿含という名前が(略)」そこからメディア戦略と宗教という話になり、鎌倉仏教の「メディア戦略」を語る

posted at 15:14:23

5月19日
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

呉智英講演会「日蓮の四箇格言」はリズムもよく、そして各宗派の弱点をたくみについた名コピー」

posted at 15:16:08

5月19日
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呉智英講演会「私は創価系雑誌にも書きつつ、創価批判もしているがそれ程危険視はしていない。批判がされているから」「貧しい地区にいくと公明党共産党のポスターが並んで貼っていて…並んではいないな、大抵片方が破られてる(笑)両方が同じ層を食い合っている」

posted at 15:21:36

5月19日
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

呉智英講演会「国の福祉は法を超えない。超えてもいけない。だが宗教の使命感はそれを超える。創価学会の組織は前科のある人が多いんです。私はテレビCMでこれを自慢しろと言っているのですが、意見が採用されません(笑)彼らを受け入れることで社会を安定させている効果は高い」

posted at 15:27:36

5月19日
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

呉智英講演会「もちろん無償の行為ではなく、見返りがあります。票になります。前科があろうとなかろうと一人は一票。その民主主義が創価学会を支える」
posted at 15:30:59

5月19日
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

呉智英講演会は仏教漫画についてに移る「手塚治虫ブッダはかなり考証がしっかりしている。宗教そのものでなく、宗教に向かう人間を描いている」

posted at 15:40:47

5月19日
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

呉智英講演会「信仰と理解は違う。仏教を理解してもじゃあ信者になるか、といえばならない。その差は一歩だが、あまりに大きい一歩。最後は宗教衝動、とでも呼ぶしかないものに動かされる。その衝動を描けた漫画はくらもちげん「祝福王」井浦秀夫「少年の国」ぐらいだろう」

posted at 15:50:13

5月19日
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

呉智英講演会「ある女性漫画家は祝福王のクライマックスを見て「漫画家はこれを思っても書けない。書いたら壊れる、と私に言っていた。面白いのはたかもちげん創価学会の熱心な信者だった。しかしそれと関係ない形で、たかもち的なオリジナルの宗教衝動を描いている」

posted at 15:53:04

5月19日
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

呉智英講演会「某漫画家が出した、創価学会の教学を解説した本は当時たいへん売れた。しかし、今この本は絶対に重版されません。もし古本屋に出ていたらすぐ買ってください。そして読みながら、どの部分がまずくて今重版されないか考えると面白い(笑)」

posted at 16:03:57

5月19日
Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo)@gryphonjapan

呉智英講演会「ある漫画家も天理教から依頼されて、開祖中山みきの伝記漫画を描いている。だが描いているうちに、今の天理は開祖を裏切っている!彼らのためには書けない!と連載を中止してしまった」

posted at 16:29:05

【教訓】我、またもKADOKAWAのペテン師に敗れる。たった2か月で半額⇒55円に「服を着るならこんなふうに」がなっていた…66円「居酒屋喫茶のぶ」

2024年12月27日現在の価格の話。値段をクリックして確認せよ。あ、1-3巻までね。4巻以降はちがう



この前、たった「半額」というのにつられてしまったばかり。

m-dojo.hatenadiary.com

そもそもこのシリーズは別に猛烈に読みたいわけじゃない。資料として隅に置いておくか、レベルの話でしかなかったんだ。
その差額だけで1000円を軽く超えた……これぐらいになるまで待つべきだったのだ。



戦訓的にいうなら、どうにもKADOKAWAは、あるセールではアコギな、雀の涙程度の割引で売ろうとして、別のセールでは本当にたたき売りをしかける。どうも、現金収入を無理にでも高めて、決算をよく見せたいとかの思惑があるんじゃないか??KADOKAWAとはセールの「我慢比べ」が必要ではないか、というのが、今後の戦争に際しての教訓です。

1巻 110円、 2,3巻は300円台、4巻は900円台…って何?極端だな!!!

いま、単行本が900円の時代かよお…これこそ待って、勝負しなければいけない。

あおぞら弓道



KADOKAWA、経営苦しいんか? 買収とかの絡みで決算額をふやしたいんか?

講談社系漫画に関する各種情報まとめて

忙しかったので講談社サブスク「コミックDAYS」、数週間読むのを滞らせてしまい、まとめて一気読み。

そこから情報を抜き出す


ジャイアントキリング、終わりに近づいてるんだろうけど、MVP発表イベントのあと、椿らのU-22、「天宮杯」タイトル挑戦まであるから…あと2年ぐらい?

「物語は最終章である」と宣言して、それは間違いじゃなかったんだけど、その最終章が何年も続いた作品…5指では足りないもんな(笑)この作品も、そうなる可能性がぷんぷん。

GIANTKILLING

「ふたりソロキャンプ」で「テント何にする?」と「西洋風焼き鳥」出てきた

この作品からは具体的な知識を学ぶべきだろう(というかメインストーリーはあんまり…)なのでメモ。

西洋風焼き鳥とは ふたりソロキャンプ

いや待て。焼き鳥を、バターをたっぷりかけて、網でなく鉄板でやく。それはわかる。旨そうだし一味違った洋風になるだろうさ。だがジェノベーゼソースだへちまだはなんだ。そんなのどこに売ってるんだ。

ジェノベーゼ
(食)
【じぇのべーぜ】
イタリア・ジェノヴァ地方で生まれたバジルの風味が効いたパスタソース。
バジルペーストに、松の実、チーズ、オリーブオイルなどを加える。

テント ふたりソロキャンプ

島耕作が「生コン協同組合」を語る

島耕作 生コン

やぶから
棒に。
単純にリアル世界で知り合った業界人の話がそのまんまテーマになる説もあるんだが。


望郷太郎で「パルティアンショット」描かれる

パルティアンショット 望郷太郎

作品内で、まるで魔法のような、あるいは超絶なSF技術のような扱いをされている「馬上で後ろを向いて弓を射る技術」。

いきなりこれが出てきても混乱する人が多いだろうが、少年ジャンプで数年前「逃げ上手の若君」がこれを特筆大書してたから覚えてるだろう。世界的にはパルティアンショットと呼ばれる、あの技。


元をたどれば、世界最強を誇るローマ重装歩兵が、東で国境を接するパルティア帝国の騎兵にこの技で翻弄、蹂躙され、彼らが恐怖を込めて呼んだ技なのだ。


馬に乗って反対方向へ逃げてるんだから、鎧に剣と盾を持った兵隊が徒歩で走っても追いつくわけがない。そして、後ろへ逃げてるその体勢のまま、時々振り返って弓をヒュッ……次々と、1人、2人と倒れていく。

この技を真似しようとて、子どものころから馬に乗っていない人間がおいそれとは真似できない、という……しかも遊牧民族は子供のころから馬に乗っているからこそ肛門の皮が丈夫になり、痔にならないで済むのだ、と初めて知った(笑)。

望郷太郎 遊牧民族は痔にならない

それではますますマネできぬ。
北条家の若君は、痔は大丈夫だろうか。


あらゐけいいち「CITY」が再開

この作者「日常」も終えたと思ったら再開。CITYも再開。自由なやっちゃなー。しかし、それが普通にできる、一話完結というかそういうスタイルだからね。

CITY

なんでも「アニメになるのでこの作品も再開」だそうです 海外に売れるという話も聞くがどうなんだろ



クッキングパパ、荒岩家が新居を立てて引っ越した!!!

荒岩家の新居

このご時世に!カチグミ!!!

あと、その前の週に伏線があったかというと何もなく「ニラブタ」とかいう大分名物を紹介してた。

ニラブタ

「こどもどろぼう」完結

comic-days.com

最終話の無料更新が1月。この人、この連載直前の読み切り、ねぎを拾った話を書いてたよな。なんだっけ。連載もなかなかに面白かったです

【恒例掲載】シャーロック・ホームズ「青い紅玉」事件と、偏屈店主から情報を聞き出すクリスマス(から2日め)の名場面

この作品冒頭で「クリスマスから2日めの朝」とあるから、12月27日の話ということになる筈でですね。
今年はぴったり日を合わせることができた。恒例の掲載です。



【以下、ほぼ再掲載】


この季節になると思い出す短編が、シャーロック・ホームズ「ブルー・カーバンクル」(「青いガーネット」「青い紅玉」とも訳す。この訳についてもいろんな話が出来るのだがカット)

なぜ印象に残っているかというと、「食べ物」がホームズ物としては比較的登場する回だからだね。
年をとってだいぶ衰えたが、自分は特殊能力が以前はあって、小説やノンフィクション、漫画で、「食べ物を食べるシーン」についての記憶力が異常によく、掌を差すようにその場面を指摘できていたのだった(笑)。――、まあ読んだ本の絶対数にも関係があって、子供の頃と今ではその絶対数が違うのだが。
でもそういうわけで、ドリトル先生、プーさん、三銃士、路傍の石……もろもろの食べる場面を覚えている中で、このホームズの一編を思い出すなり。

そしてネット文化の普及により、いまやホームズ物は無料で日本語訳が全編ネット上にて読める。
(ついでに「勇将ジェラール」も翻訳してくれないかねえ…いや贅沢いうな)

そこで
www.221b.jp


から、今回の一編を。ちなみにホームズ譚でネタバレとか言い出すやつはいないだろうな。配慮はするが、とりあえず時には無視するぞ。
この音楽でも流しつつ…

 

青い紅玉
www.221b.jp

クリスマスから二日目の朝、私は時候の挨拶をしようと思い、友人のシャーロックホームズ宅を訪問した。彼は紫のガウンを着てソファの上でくつろいでいた。右手の届く場所にパイプ掛けがあり、近くにはついさっきまで読んでいたらしい朝刊がしわくちゃになって積み上げられていた。長椅子の隣に木製椅子が置いてあり、背もたれの角には、やけに薄汚れてボロボロの固いフェルト製帽子が掛かっていた。帽子は非常に擦り切れて、あちこちひび割れが入っていた。椅子の座面に拡大鏡とピンセットが置いてあったので、帽子は調査のために椅子に掛けられていたことが分かった。

「とりこみ中か」私は言った。「もしかしたら邪魔したかな」

「とんでもない。調査結果を話し合える友人は大歓迎だ。本当に大したものではないが」ホームズは古い帽子を親指で指差した。「しかしこいつには、いくつか興味深い点もあるし、勉強になる点も全くないわけでもない」

このあとの「帽子のサイズと知能」談議は、時代の限界として目をつぶれ(笑)

ま、さらにその後のストーリーは周知のあれ(あるいはいま、直接読んでくれ)だが、ただ「石などを飲み込める鳥の習性を利用した隠し場所トリック」の嚆矢ではありました。胃袋から、貴重な宝石が出てきたと。


直接的な描写はないが、ガチョウをまるごと一羽料理して食べた、食べないみたいな話が続くので、とてもおいしそうであります(笑)。
ちなみにホームズとワトソンは「ヤマシギ」一羽を夕食にする予定だった。うまいのでしょうか。

「そうだ、これは僕が預かろう。ありがとう。それから、ピーターソン、帰りにガチョウを一羽買って、ここに持って来てくれ。君の家族が今かじりついているやつの換わりに、この紳士に渡す分が必要だからな」

(略)
「この入り組んだ事件の解決を見てみたいから、君が広告に書いた時間には戻ってくるつもりだ」

「そうしてもらえればありがたい。7時には夕食をとる。ヤマシギが丸一羽出ると思うよ。ところで、最近の事件から考えて、多分ハドソン夫人に餌嚢を調べてもらうように頼まないといけないな」


落ちていたガチョウ(宝石入り)の、直接の持ち主は無関係のようだった。
では、そのガチョウの流通経路をたどっていかねばならない…ヤマシギはあとまわし。


そして、本日紹介したいところを長めに紹介する。ガチョウの卸売り屋にて…

シャーロック・ホームズ「青い紅玉」の名場面 「賭けるか?」と挑発して捜査情報を聞き出すテク

「はっきり言っているが。アルファに君が売ったガチョウ君にを売ったのは誰か知りたいんだ」

「そうか、それじゃ、絶対に言わねえ。帰れ!

「ああ、そんなに重要なことじゃない、しかしなぜこんな詰まらんことでそんなに熱くなる必要があるんだ」

「熱いだと!多分、お前だって熱くもなるさ。もしお前が俺と同じくらいうるさく付きまとわれたらな。俺がいい品物をいい値で買う、それで仕事は終わりじゃないか。それが、あのガチョウはどこだ、あのガチョウを誰に売った、いくらでそのガチョウを売るつもりだ。あれに関する大騒ぎを聞けば、あのガチョウが世界で最後の一匹だと思うだろうな」

「そうか、他に誰か詮索している人間がいたとしても、それは僕とは関係ない奴だね」ホームズはぞんざいに言った。「もし君が話さないと言うなら賭けは終わりだ、それだけだ。しかし僕は鳥のことなら、いつでも喜んで賭けをする人間でね。僕は自分が食べた鳥が田舎育ちだという方に五ポンド賭けたんだ

「そうかそれじゃ、お前は五ポンドすったな。あれは町育ちだ」店員は鋭く言った。

そんなことはない

「そうだと言っているんだ」

「信じられん」

「子供の頃からずっと鳥を扱っている俺より鳥に詳しいと思っているのか。いいか、アルファに行った鳥は全部町育ちだ」

「そんなことでは信じられんな」

それじゃ賭けるか?

自分が正しいと分かっているから、単に君から金を巻き上げるだけだがね。しかし偏屈になるべきじゃないという勉強代に一ソブリン賭けよう

店員は不気味ににやりと笑った。「帳簿を持ってこい、ビル」彼は言った。

少年は小さな薄い冊子と背表紙が物凄く脂ぎった物体を持ってきて、吊るされたランプの下に並べた。

「さあ、それじゃ、ミスター自惚れ」店員は言った。「俺はガチョウは品切れと思ったが、しかし俺が店じまいする前に、うちの店にまだ一羽いたと分かるだろうな。この小さな帳簿が分かるか?」

「ああ?」

「俺が誰から仕入れたかという一覧だ。分かるか?それじゃ、このページにあるのが田舎の連中だ、そして名前の後ろにあるのが、大きな元帳の勘定だ。では、この別のページに赤インクで書いてあるのを見ろ、これは町の供給者の一覧だ。三番目の名前を見ろ。ちょっと俺に読んでみてくれるか」

「オークショット夫人,ブリクストンロード 117 - 249」ホームズは読み上げた。

「その通り。じゃその元帳を引いてみろ」

ホームズは指示にあるページをめくった。「これだ、オークショット夫人、ブリクストンロード 117 卵と鳥の供給者」

「それじゃ最後の記録はどうなっている?」

「12月22日。24羽のガチョウ 七ペンス六シリング」

「そのとおり。そこだ。下になんて書いてある?」

「アルファのウィンディゲート氏に販売 12シリング」

「何か言うことがあるか?」

ホームズは物凄く悔しそうな顔をした。彼はソブリン金貨をポケットから取り出して、台に投げ捨てて、口も聞きたくないほど腹立たしいという様子で背を向けた。何ヤードか離れてホームズは街灯の下に立ち止まり、彼独特の、心の底からおかしそうな雰囲気で声を殺して笑った。

ああいう風に頬髯をカットしている男で、『ピンク・アン』(※引用者註、大衆紙の名前=競馬情報などが多いらしい)がポケットから飛び出しているのを見たら、賭けを持ちかければ必ず引っかかる」ホームズは言った。「あえて言うが、もし奴の前に100ポンド積んでいたとしても、賭けを持ちかけるというアイデアで僕が彼から引き出したほど完璧な情報は入手できなかっただろう(後略)」


探偵のやり口というのもさまざまなもので、現場に残された遺留品を虫眼鏡で見て証拠を推理するのもあれば、こうやって関係者、容疑者に直接、いろいろな話をきくこともある。それもストレートに尋ねるものもあれば、このように「カマをかける」場合もある。
元祖ということもないが、まあやはり近代推理小説では、いちばんクラシックな部類に属するホームズ。こういう形で、ひっかけ風に尋問して証拠を聞き出す…というのも、いろんな形で影響を与えたんじゃないでしょうか。


ホームズシリーズは1887年に始まった。
そのひと世代前、1862年にフランスで「レ・ミゼラブル」が発表されており、ここで一種の印象的悪役であった「ジャベール警部」も、その後の警察官像、探偵像に影響を与えているという……ジャベールも「カマかけ」は確かに多かったような気がするな。


あと、自分は「ギャンブラー」のイメージもなんとなくこれに影響されていて、「掛けを持ち出せば、普通に頼んだらやってくれないこともやってくれる」という感じがある。「このトイレを30分以内で掃除できないほうに賭けるね」「その賭け乗った!ゴシゴシゴシ…」一度やってみたいと思っているのだが(笑)。



ちなみにホームズは、この店に行く前にまずパブへ行ってビールを飲んでいる。

ホームズは酒場の扉を押し開き、赤ら顔の白いエプロンをつけた主人にビールを二杯注文した。
「お宅のガチョウと同じくらいだったらビールもさぞ上手いだろう」ホームズは言った。
「ガチョウですか!」男は驚いた様子だった。
「そうだ。僕はつい30分前にヘンリー・ベーカーさんと話をしていたんだ。彼はこちらのガチョウクラブの会員だったね」

ところが、このビールは黒ビールとのハーフ&ハーフで、その影響で自分はハーフ&ハーフを飲むようになった…と公言していたのだが、この翻訳ではそう書いていないのね(笑)。原文はどうなんだろう?それとも別のホームズ譚にハーフ&ハーフが出てきたのか?
自分的に重大な謎として残った。

[asin:B001TZ3MCI:detail]



そして、事件が解決後に、ふたりはとりおいていたヤマシギを食べるのでした。
そのときの台詞がイキだ。

そこのベルを鳴らしてハドソン夫人に夕食を持ってくるように頼んでくれ、ワトソン。そろそろ、別の調査にとりかかろう。こっちも、鳥が主役になるな」



だからこの調査は実質、まさに「朝飯前」ならぬ「夕飯前」のスピード解決。
「事件は今日中に解決します。そして明日には忘れます」をキャッチフレーズにした新米探偵がのしているようだが、まだまだひよっこぞ。
www.youtube.com



今回、付け加えてみたいけど、立川談志が晩年「落語は、江戸の風が吹いていなければならない」とわかったようなわからないようなことを語っていたんだが、ホームズものというのは、推理・トリックの出来不出来を超えて「19世紀ロンドンの風が吹いている」のである。だからこそ、いまだに読まれているのではないかな。



「ホームズの物語なんて、みんなすべて知っていて、言うまでもない。語るまでもない」という前提を自分は持っていたのだが、これは単なる思い込みだったのね(笑)。
そして抜群の知名度や人気を誇っていても、ファンは「再生産」されないと離れていく。
それはこの前の「寅さん」考察のさいに痛感した。

若者の「寅さん離れ」…当然ではあろう。なら「教養」として(例えば学校で)教えるべきか?というか教養って何? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151207/p2

そんなわけで、今回はクリスマスシーズンに、極私的に印象に残っているシャーロック・ホームズの一編を紹介しました。

NHKは年1回「フェイク・バスターズ」を放送するらしい。本日。さてどんな議論が…

この番組、始まった時は興味深かったけど大きな反響も無く終わってしまった…系かな?と思ったけど、年1回、その年を総括する番組になった??みたいね。本日放送



フェイク・バスターズ 2024

初回放送日:2024年12月26日

大きなニュースがある度に「根拠の不確かな情報」が拡散された2024年。「何を信じていいかわからないー」という嘆きの声が聞こえ、「何が真実か」をめぐって民意が“分断”される事態も起きつつある。この1年に起きたネット情報に関する問題を専門家たちと振り返り、「情報との向き合い方」を考える。「アテンションエコノミー」などネット空間で起きている大きな変化や、影響力の低下が指摘されているメディアの役割についても議論する。

このエピソードの放送予定
都道府県(放送局):
東京都(首都圏局)

東京都(首都圏局)
12月26日(木) 午後10:45〜午後11:30

www.nhk.jp


出演の顔ぶれはこんな感じ。さて、情報分析や仕分けの実力者といえるかどうか…

フェイク・バスターズ2024

「このマンガを読め!」が載っている「フリースタイル」が発売、呉智英の楳図かずお追悼文も収録

実は「このマンガがすごい!」より「このマンガを読め!」のほうが先行企画だったんだって。

2004年から始まった「このマンガを読め!」(当初はムック形式)も
これで目出度く20周年。

マンガをめぐる状況も大きく変わりました。
数年前から、電子書籍のほうが、
紙の本よりも売上が多くなっています。
電車やコンビニエンスストア
雑誌を読む人を見かけなくなる日が来るなんて、
20年前に思っていた人はいたのだろうか。

それでも、以前にもましてマンガはその存在を大きくしています。
マンガを出してない大手出版社は
いまでは存在しないと言っていいほどです。

果たしてマンガはどうなっていくのか?
これからもマンガの「アニュアルレポート(年鑑)」として、
本特集を御活用いただければと思っています。

(編集部)

特集
このマンガを読め!

発表! BEST 10

BEST 10作品紹介

まだまだ傑作揃い! 20位まで

BEST作品総評
南信長+ヤマダトモコ斎藤宣彦

全アンケート回答 ベスト10+コメント

マンガ時事放談2025
いしかわじゅん中野晴行+伊作利士夫

マンガの事件簿2025

2024年各賞受賞リスト

緊急寄稿 呉智英
「天才の闇に棲むもの──追悼・楳図かずお

HISTORY OF “THE BEST MANGA” 2005-2024


THE TALK OF THE TOWN
瀬古浩司 / WALKING AROUND
 SHIMOKITAZAWA IN THE RHYTHM
長谷正人 / ビジネスは演劇の一種にすぎない
近藤ようこ / ささやかな闘病記
舘浦あざらし / 手ぶらなんだね
片渕須直 / もうひとつの『枕草子

ONE,TWO,THREE!
矢内賢二/堀靖樹/中条省平盛田隆二小沼純一
飯沢耕太郎/南信長/藤津亮太村上知彦/遠藤諭/
榎本憲男/吉村和明大西祥平/加茂啓太郎/
尾上そら/松浦正人/枡野浩一/佐久間文子/
とみさわ昭仁高橋修窪木淳子/西ヶ谷寿一/
松永良平栗原裕一郎仲俣暁生/伊作利士夫/
山崎浩一米光一成高橋健太郎/風間賢二/
小森収南陀楼綾繁鏡明ヤマダトモコ山田宏一
中野晴行大根仁吉田豪筒井武文柳下毅一郎
order in appearance


Regulars
小林泰彦
オンザロード
第16回 居留地

矢作俊彦 
Screwball Ladies
新連載第1回 ウナギーヌ

江口寿史河野哲郎 
あれも買いたいこれも買いたい
新連載第1回 正しい物欲、邪な物欲

宇田智子
すこし前の話
新連載第1回 エリーゼのせい

宮脇孝雄 
モアベター・ブルース
第7回 空目の時代

安田謙一 
ニューアルバムをひっさげて
第7回 NY生まれのセルロイド

矢内賢二
たいてい、こんなことばっかり
第3回 池内紀さんのこと その一

和田尚久
夜は夜もすがら
第51回 オールタイム・ベスト・コント

鏡明
45RPMから始まる
第36回 ヒットチャートって何だ?

Comics
泉晴紀  イズミくん

とり・みき 遠くへいきたい


表紙イラストレーション
西村ツチカ

デザイン
柿崎宏和
(The graphic service inc.)

ある、Googleのサジェスチョン機能について





「もし家族がいたら」「もし娘がいたら」的なところから考察や意見を言おうとした……ということだと、祈りたい。