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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

養子制度に関し、多様性や寛容の欠如した欧州の後進性を憂う〜こどもの日に寄せて

あとで書こうと思ってた話。

日本の養子制度について。

 養子縁組には二つ形態がある。普通養子縁組は、実親との法律上の親子関係は残したまま、養親とも新たな親子関係をつくる。原則、養親の姓を名乗る。養子は実親と養親の両方に対し相続権がある。養子が成年の場合は養親は単身でもよく、双方の合意によって届け出のみで成立する。実親との法律上の親子関係が消滅する特別養子縁組もあり、利用できるのは原則15歳未満とされている。


中央大学法学部の鈴木博人教授のインタビュー記事を適宜抜粋しよう。

www.kobe-np.co.jp





-日本が養子大国とは?

 「司法統計上、国内の養子縁組は年間7~8万件ある。ドイツなら年間3千件ほどしかなく、先進国でとても多い。ただ、日本で成年の養子縁組がどのくらいあるかは把握されていない。家庭裁判所が事前にチェックするのは、家庭に恵まれない原則15歳未満の子を養子に迎える特別養子縁組か、普通養子縁組のうち未成年で、かつ他人の子を養子に迎える場合のみで、多くて2千件ほど。全体のわずか約3%だ」

「養子が養親より1日でも年下であれば本人同士の合意で届け出できる」」

 「家業や家名を継いでもらう場合や、最近は少ないだろうが、同性愛カップルが何らかの法律上の関係を持ちたい場合にも使われてきた。つまり家庭裁判所のチェックが入らないケースは非常に多目的に使われている。だが、実態は全く把握できておらず、日本の養子縁組は無目的と言われる」


 -他の先進国はどのように扱っているのか。

 「英国はそもそも成年の養子自体を認めていない。ドイツやフランス、イタリアは制度上は認めているが、裁判所の厳しい審査があり、あくまで例外的に認めますよというスタンス。なぜなら親子関係を必要とするのは未成熟の子どもで、養子縁組は親の利益のためのものではないという考えがある。(後略)」

欧米に吹き荒れる、養子への年齢差別(?)。




togetter.com
ここのコメント欄から、リンクが飛んでいる。

…この前後から、さまざまなフランス人に「日本にも同性結婚の法制化を進める運動があるか」という質問を受けています。

「そういう運動が一部にあることはあるが、世論を大きく動かしたり、大政党が選挙公約に掲げたりするという話は聞いていない。日本では養子縁組制度を活用して年齢差の殆ど無い同性カップルが法律上の親子になって相互に扶養義務を負い、遺産相続をすることが可能だから」と答えると皆、吃驚(きっきょう)します。

フランスの場合、「養子縁組をするには養親志望者と養子候補者の間に最少16歳の年齢差が無くてはならない」と決まっています。そのため、同性結婚を認めない限り、ほとんどの同性カップルの間で遺産相続が出来ないし連帯責任で育てたい幼児を養子に迎えることも出来ないという事情があったのですが、日本のメディアには、そこまで掘り下げた報道は見つかりません。

フランスでは、同居している同性カップルの一方が死亡した場合にもう一方の生活が物理的にも精神的にも破綻するという悲劇が頻繁に起こったのです。

A氏とB氏のゲイ・カップルの場合は、年齢差が16歳に達しませんでした。A氏の所有する家に二人で住んでいたのですが、ある日、交通事故でA氏が亡くなりました。配偶者も子供もいなかったA氏の財産は、全てA氏の傍系の親族が相続します。A氏は、母親の存命中に家の合鍵を預けてあったのですが、そのことをB氏は知りませんでした。A氏の親族がその合鍵を使ってB氏の留守中に家に入り込んだのだそうです。A氏の訃報に接しただけでも気が転倒していたB氏が帰宅しようとしてみると、家の前の歩道にB氏の身の周りの物が雨ざらしになっていて、扉の錠前は新しいものに変わっていたそうです。

B氏のパソコンは、雨ざらしにされる前に金槌のようなもので強打されていたらしく、故障して修復不可能。B氏の書籍や二人で撮った思い出の写真アルバムやビデオは「見つからないから渡せない」という見え見えの嘘の冷酷な知らせ。きっと焼却されてしまったのでしょう。形見の写真一枚貰うことも出来ず、それどころか・・・葬儀にさえ参列させてもらえなかったのです。

CさんとDさんのレズビアンカップルも、年齢差が16歳に達しませんでした。カップルは、Cさんが人工授精で産んだ幼児二人と四人で仲良く暮らしていました。子供たちは生まれた時から傍にいて面倒を見てくれているDさんにも母親同然に懐いていたのですが、当時の法律ではDさんがCさんの実子を自分の養子にすることは出来ませんでした。Cさんが急病死してしまった後、子供たちは、Cさんの親族の判断でDさんと引き離されて暮らすことになりました。祖父母か叔母のところにいるのか、施設に入れられているのかさえも法律上「赤の他人」のDさんには知る権利が無いのだそうです。

これが日本だったら、A氏とB氏が養子縁組していれば、B氏はA氏の遺してくれた家に住み続けることが出来たでしょう。Cさんと少し年上のDさんが養子縁組していれば、Cさんの実子は、法律上の祖母であるDさんに育て続けてもらえたでしょう。

養子縁組は、結婚と違って公の大きな話題になりませんから、ひっそりと二人だけで決めて実行できます。当事者間の協議で解消することも出来ます。日本の同性カップルの大多数がこれまで「法律上の結婚権」を表立って望んで来なかったのは、「表に立つことをして人目に曝されたくない」ということも勿論ありますが、日本の養子縁組制度が格好の隠れ蓑を提供してくれているからだとF爺は分析しています。
fjii.blog.fc2.com



この話を聞いて、皆例外なく思うはずだ。
「多様性と、当人たちの意図を重んじる日本の優れた制度と比べると、なんと英国を筆頭に欧州各国の養子に関する制度は、多様性の欠如した、不寛容で因習的、後進的なんだろうか!」と。


”NZ議員演説の法則”がありましょう。

あれをほんのちょっと…一部だけ変えて、今回にあてはめてみましょうか。

www.huffingtonpost.jp

※【 】内は改変部

繰り返しになりますが、言わせてください。

今、私たちがやろうとしていることは【「親子になりたいという二人の養子縁組を認めよう」】。ただそれだけです。

外国に核戦争をしかけるわけでも、農作物を一掃するウイルスをバラ撒こうとしているわけでもない。

お金のためでもない。単に、【「親子になりたいという二人の養子縁組を認めよう」】。だから、本当に理解できないんです。なんで……反対するのかが。自分と違う人を好きになれないのはわかります。それはかまいません。みんなそんなようなものです。

(略)……私は約束しましょう。水も漏らさぬ約束です。

明日も太陽は昇るでしょうし、あなたのティーンエイジャーの娘はすべてを知ったような顔で反抗してくるでしょう。明日、住宅ローンが増えることはありませんし、皮膚病になったり、湿疹ができたりもしません。布団の中からカエルが現れたりもしません。明日も世界はいつものように回り続けます。だから、大騒ぎするのはやめましょう。この【養子縁組制度】は関係がある人には素晴らしいものですが、関係ない人にはただ、今までどおりの人生が続くだけです。

(略)
全ての人のために、聖書を引用させて下さい。旧約聖書申命記、1章29節です。

「恐れることなかれ」。

いや、日本だって十全ではない。
なぜか、養親は、養子より1日でも年上でなければいけないらしい。なぜかね。意味ないですね。こんな制限が存在する理由も全くなく、多様性と寛容の視点からはよろしくそんな制限は撤廃されるべきでありましょう。




5月5日、こどもの日に。
養子縁組先進国から、因習と不寛容と多様性が欠如した欧州諸国の、養子縁組をしたくても法制度がそれをみとめないで苦しむ多くの人たち(が、いるかどうかは調べてないのでわからんが)に、連帯のメッセージを送りたい。