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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「王は『一本足』でなくても打てたよ」「成功したの王だけ!」…「昭和のグラゼニ」で、昭和野球の謎が語られる

球漫画「グラゼニ」も、本編の長期連載に加えて、スピンオフがいろいろ出ている。うち一つが「昭和のグラゼニ」。

昭和のグラゼニ

森高夕次/川
昭和45年。それはニッポン中プロ野球に熱狂していた時代。球界の生んだ大スターに憧れる山梨の高校球児が、カネもコネもない中で立身出世を目指す!『グラゼニ』スピンオフ第2弾、ここに開幕!

この時代の「プロ野球」の存在感、ステータスは今とは比べ物にならない。読者も、そして原作者も、「この時代の野球」を描くほうが、いま現在を舞台にした野球を描くより楽しく、そしてゼニになると踏んだのだろう(笑)。プロレスもそんなのばっかで、昭和平成のプロレスを振り返るコンテンツのほうが元気です(俺の観測範囲)。
野球のことも、感覚でわかるよ。
プロ野球の大ファンだったことは一度も無いが、それでもこの時代の選手列伝や技術論はちょっと楽しく読むし、だからこそ、以下の話を紹介するのだ。


長嶋に憧れて立教大で大活躍してプロに挑む、という選手にモデルがいるのか、漫画「チェイサー」のように主人公には架空のキャラを当てはめてお話づくりをしてるのかわからんけど、ともあれ今、舞台はスーパースター長嶋茂雄…がモデルの選手が惜しまれつつ、華々しくも涙の現役引退。
そしてV9川上…がモデルの監督(以下、このパターンの時は省略!)からその地位を受け継ぎ、これも高校野球の大スター定岡をドラフトで得て、さあ初優勝に邁進だ!!というあの時代。

で、いま無料公開されている回(第4期 その7、その8「意識改革」「キャッチフレーズ」の巻)では……

comic-days.com

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※有料だが、ほんとはその前の回から読むともっといい
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長嶋をお手本に打撃を身に着けた主人公はプロ入りしヤクルト…がモデルの球団スパイダースへ。
そして「荒川道場」「一本足打法を王に教えた男」の荒川と、広岡から指導を受けるのだが…荒川は大学ではホームランバッターだった主人公に、「一本足打法」と徹底した「ダウンスイング」を命じる……主人公はそれを必死で学びつつ戸惑う。彼はある晩、自分をこの球団に導いたスカウトについ本音を漏らす…

昭和のグラゼニ一本足打法とは何だったのか?

このへんなー。
なんか米大リーグでも「フライボール革命」とかいうんでしょ?「フライを打つぐらいならゴロを打て(そっちのほうが間違ってヒットになりやすい)」という時代から、その正反対、どうせならフライを打て、という話に、統計分析、おなじみセイバーメトリクスでそうなった……
あちらじゃホームランをそもそも「ビッグフライ」というそうで。なんかカロリー高い料理みたい(笑)



で、内部の人間は言う。要は一本足打法および「荒川道場の教え」は、技術そのものというより、”意識”をさせること、精神的な成長。あるいはゴリゴリのアッパースイング打者に、ダウンスイングと口を酸っぱくして言い続ければ、なんかちょうど良くなる……、みたいな塩梅の話。

昭和のグラゼニ一本足打法とは何だったのか?


ドラゴンボールの神仙水じゃないんだから(笑)

そして、ぶっちゃける。

昭和のグラゼニ一本足打法とは何だったのか?


そして、それを補足する昭和の謎。
一本足打法がそんなに優れた打ち方なら、もっと後継者がいてもいいんじゃね?」

主人公は、カネやん率いるチームとオープン戦で対峙するが…おやおやカネやんも荒川道場には否定的?
そして、こうやって主人公を翻弄する秘策を投手に授け…

昭和のグラゼニ一本足打法とは何だったのか?


言い放つ!!

昭和のグラゼニ一本足打法とは何だったのか?

この種の「XXXXで成功したのは○○だけじゃないか。してみるとXXXXがすごいというより、○○がすごかっただけでは?あるいは○○の特徴に特化した、普遍性のない技術では?」といえば、宮本武蔵の『二刀流』がよく言われた。司馬遼太郎はまさにその理論に基づいて中編を書いているし。

しかしそうではない…とは、武道に詳しい我乱堂@SagamiNoriaki氏が何度もツイートしているところだ。



そして…これ、絶対に読者に伝わらないだろうけどさ、おそらく少年マガジン?に、誰の作品だか…「素晴らしきバンディッツ」という架空の弱小プロ野球球団を描いた漫画がかつてあり、ここでずーっとアッパースイングに拘るホームランバッター?がいたという設定がなされていた。
大して面白い作品じゃなかったが、なぜかうちにどういう経緯か、一冊だけ置かれていて、当時漫画なんてなかった家で繰り返し読まれていたので、そこだけ覚えています。

ありゃ?原作 沢村翔/作画 峰岸とおる? 結構大物の作品だったのか……

とくに電子書籍化も、「スキマ」のようなサイトにも収録されないから、そういうものなのだろう。


comicdate.web.fc2.com





あ、最後に。
栄光に包まれて現役引退し、そのまま華々しく監督に就任、世間の期待に包まれてV1を目指す長嶋巨人……とくれば、今の我々はその後にやってくる未来を知っている…。