漫画化されている山田風太郎原作「警視庁草紙」の55話に出てくる漢詩。
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明治の御世をひょうひょうと生きているように見える主人公が、実は「自分も上野の彰義隊に参加し、友と一緒に討ち死にすべきではなかったか…」という鬱屈した思いを抱いている、という場面の、夢想の中で背景として謳われるのが幕末の攘夷派詩人にして志士、梁川星巖の「芳野懷古」という漢詩。
こんらい こおう こと ぼうぼう せきば こえ なく ほうど ある
今来 古往 事 茫々。 石馬 声 無く 抔土 荒る。はるは おうかに いって まんざん しろし なんちょうのてんし ぎょこん かんばし
春は桜花に入って 満山白し。南朝 の 天子 御魂 香し。
この作者・梁川星巖は安政の大獄時に、やはり逮捕命令が幕府から出たが、その直前にコレラだったかな、それで急逝。
世の人は
「星巌は詩に上手(死に上手)」と評し、悼んだ…という話、みなもと太郎氏が「風雲児たち 幕末編」16巻で描いて居りました。
梶原一騎の作品に時々「茫々の夢また夢…」という言葉が出てきたな…