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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「鎌倉殿の13人」義経の人物造型見て「個性と病気」について少し悩んでしまう(特にアスペルガー症候群など)

歴史人物と物語について、少し。

三谷幸喜の「鎌倉殿の13人」、ちゃんと見続けてますよ。
三谷らしく、最近の”歴史界隈”でもてはやされているトレンドをちゃんとドラマの中に落とし込んでいる。
「鎌倉武士は基本的に、ちょっとひくぐらいに簡単に暴力に訴える”鎌倉蛮族”である」
源頼朝は、板東武士の棟梁に祭り上げられてはいるが、基本的にその板東武士文化になじめず、見下していた」
源義経は空気が読めない。他人の気持ちがわからない。孤独に育って承認欲求が強すぎる」


・・・・・・根も葉もある半面、まあちょっと強調され過ぎてると感じるところも確かにある(のも三谷節だ)




義経が「空気読めない」「サイコパス」だとどうなるかというと、最新話の話に通じるんだけど
義経が、一民族の中に1人か2人いればいい軍事的天才(司馬遼太郎)」だったとして、まず最初に「なるほどこの義経は軍事の才があるらしい。では戦の指揮を任せるか/この大将に従ってみるか」と、どう思わせるか??なんですよね。
誰もが実績を上げるまでは無名で、無経験。最初にどの規模で「仕事を任せるか」になるか、その根回しも人脈も才能のうち。
ついでにいえば実績上げても、監査陣を抱き込まなければコンプライアンス違反で足をすくわれる(伏線)
英伝ヤン・ウェンリーやラインハルトがそれぞれそうやって名を挙げるための「初陣」を、実際の戦史も参考にして自然に描写した(ラインハルトはやや義経より)



ただですね・・・・・・・・今の義経の人物描写を見ていると、「サイコパス」もそうなんだけど





うー---ん……
いや、ここで、思うことあり。
つまり、「個性と病気」。医学的なもろもろ。
これは現代にも通じるわけだけど
一般的に「他人の気持ちがわからない」とか「事情を忖度しないで、思ったことを何でも口に出す」というのは、…それだけを純粋に評価すれば、やはり人格的に問題、あるいは政治的・ビジネス的な未熟さとして言動を評価されるし、断罪されるでしょう。

しかし、医学的に「アスペルガー症候群自閉症スペクトラム)」と、いま誰かが診断を受けたら「そうであるなら、ああいう言動をするのは、これは仕方ない」「配慮して接するべきだし、その性質が障害にならない、あるいは生かせるところで働いてもらおう」に、なるでしょう?


経験的に言って、そもそもその病名が一般的に知られるようになって20年は経ってないと思うんだよね。
これが知られたことで、社会は間違いなく進歩したし、そういう人もその家族も周囲も生きやすくなった。これは慶賀すべきこと。


ただ……そうすると、それは個人的な感覚かもだけど、歴史上の人物も、あるいはそれと重なる部分もあるけど「物語世界の住人」も………ストーリーを動かしやすく、キャラも立ちやすい「一種の天才/だけど空気を読めない/要らんこと言って相手を傷つける」キャラクターを見ると、、特に極端例な場合は今回の「鎌倉殿」の感想のように「このひとはアスペルガー症候群なのでは?」というふうな想像をついしてしまう。

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アスペルガーかも、と思わせるキャラクター

そうすると、上の話で……
普通なら「こいつの言動は酷いね、無神経だね、人を傷つけるね」あるいはその裏返しの「偉い人に遠慮しない硬骨漢だね、豪傑の快人物だね」みたいな評価ができる…ところを


「このひとはアスペルガー症候群じゃないかな?⇒病気ならしょうがないんだよなあ」

になっちゃうんだよね。歴史上の人物の精神病の有無は(ある程度はともかく、厳密な形では)診断する方法はないし、物語の架空キャラクターはさらに……、勝手にそのへんを当てはめると「サイババか!香山リカか!!」的な話になるわけだけど。
たとえば、その特徴としての「言われた言葉はそのまま受け取る。周辺情報と合わせて推定するのが苦手(対策としては事細かに説明する)」とわかっていれば
「5分交代と言われたら、女子の着替えが遅れても5分なのでそのまま入っていく」も、仕方ないと受け止められる。

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アスペルガー症候群の一例 言葉をそのまま受け取って行動(推測ができない)女子の着替え中でも…

逆に病気でないなら、この行動は確かに批判、非難されるわけでさ。


m-dojo.hatenadiary.com
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……こういう人たちの失敗談や、逆にマイペースを貫く彼らに周囲の方が振り回されている様子を見ると(マンガだし)アハハウフフオホホなんだけど、もし仮に彼らが「高度発達障害である」という裏設定を脳裏に浮かべると、とたんに笑い声が小さくなりませんかね?
しかし、同じ行為と同じ反応なのにそうなってしまっていいのか。あるいはよくないのか。
そんな話は哲学的な何かにもつながるような、つながらないような。


https://yusn.net/man/486.html

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アスペルガー症候群、マンガでわかる心療内科より


ということで、今後の義経大河ドラマ内でも、めちゃくちゃ空気を読まないと思いますが…それが当時の「戦の常識」を乗り越えて、その結果として前人未踏の戦果を挙げるわけです。
それを、視聴者はどう受け止める(べき)なのか…

追記 赤毛のアンの「想像力」「能弁」も、虐待の結果の乖離症状…とも読める??

らしい
togetter.com





源義経の「戦の常識を打ち破る」は、当時のある種の「国際法」「人道法」違反でもあったのでは?という話

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ドリフターズ義経サイコパス

398: 風吹けば名無し 2021/09/12(日) 07:40:56.03 id:k280PW+Np
義経の空気読めないエピソード

崖の裏から奇襲かけて敵陣を攻撃
大軍に見せかけるために民家に片っ端から火をつける
壇ノ浦で余興で扇してたら老兵が踊り出したんでそいつも射殺させる
船の漕ぎ手を狙う(水上戦でのタブー)
逃げるために船から船にジャンプしながら戦う
関西武士が手柄あげる必要があったのに無視して勝手に関東武士がやって手柄上げてしまう
そんな立場でもないのにめっちゃ偉そうに振る舞って好き勝手軍を動かす
勝手に朝廷から官位貰ってしまう

あと色々あったけど忘れた
2chtaiga.com


人間「戦争ならば名のルールもない。勝ったものが正義よ!」にはなかなかならず、どこもなぜか暗黙の了解、慣習的な人道法ってできるみたいなんだよね。
それを無視すれば戦果が拡大する。しかし……と。
異民族間の戦争が悲惨になるのも、このルールを共有してないから、互いが互いに「XXなんて、あいつらはなんて卑怯な…/そっちがそうなら、こっちも〇〇なんてルールは守らん!」とエスカレートしがちだから、ともきく。